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加藤拓也が別の語り口で描き出す、「ドードーが落下する」改訂版が開幕

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劇団た組「ドードーが落下する」より。(c)迫村慎

本日1月10日、神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオでのプレビュー公演を皮切りに、劇団た組「ドードーが落下する」がスタートした。

加藤拓也が作・演出を務める「ドードーが落下する」は、2022年に初演され、第67回岸田國士戯曲賞を受賞した作品。作中では、芸人の夏目と相方の賢、イベント会社に勤める信也ら友人たちを軸にした物語が展開するが、再演にあたり台本が改訂され、舞台美術も変更された。本作では平原テツが夏目役を演じるほか、金子岳憲、秋元龍太朗、今井隆文、鈴木勝大、中山求一郎、秋乃ゆに、安川まり、諫早幸作が出演する。

加藤は改訂版上演にあたり、「22年の段階では再演するつもりはまったくありませんでした。この作品の一部分、『死ぬと伝えてくる友人を死なないように見張り続けなければいけない強迫観念』という自身の一部分と、上演を通じて心の距離を取ることができたから」とコメント。さらに「この作品においては先にあげたテーマ以外にも補強された視点の多さに、またはその余白に別の語り口として、もう一度作られる可能性を感じた」と心境を語った。

上演時間は約2時間。神奈川公演は1月19日まで。その後、25・26日に大阪・近鉄アート館、2月8・9日に三重・三重県文化会館小ホール、15・16日に茨城・水戸芸術館ACM劇場でも上演される。開幕に際しての加藤のコメントは以下の通り。

加藤拓也コメント

「ドードーが落下する」はひとりのお笑い芸人とその友人達の話ですが、お笑い芸人といってもお笑いのことはあまり出てきません。お笑いの物語ではないからです。

この作品は2022年に初演を迎え、約2年と少しが経って再び上演されることになりました。厳密には再演と呼べないと思うほどに書き直しをしていて、場所によっては改訂版と呼んだり、リクリエーションと呼んだりしています。
正直なところ、ほとんどゼロから立ち上げ直したのでなんと呼べばいいのか自分でも決めかねています。22年の段階では再演するつもりはまったくありませんでした。この作品の一部分、「死ぬと伝えてくる友人を死なないように見張り続けなければいけない強迫観念」という自身の一部分と、上演を通じて心の距離を取ることができたからです。同時に、主軸に置いていたテーマとはまた別のテーマ、職業によって透明化されることの方が、濃く反映されることにも気が付きました。勿論それはどの作品でも起こりうることであり、これまでも起きてきたことなのですが、この作品においては先にあげたテーマ以外にも補強された視点の多さに、またはその余白に別の語り口として、もう一度作られる可能性を感じたのです。改めて補強された視点を持ち込むのであれば、語り口を変えて、でも大きな骨格は同じで、再び上演することは面白くなるのではないかと思い、書き直すことを決めました。だから感覚としては、大きく変更したことと大きく変わっていないが共存しているというのが正しい感覚で、まだなんと呼べばよいのか決めかねているのです。

初演も同様に、お笑い芸人といっても、お笑いのことが物語になっているというわけではほとんどなくて、特に参照されているお笑いの世界はローカルでアンダーグラウンドな部分が濃く、一面的で、これがお笑い業界だとも言い切ることはできないんじゃないかとも思います。あくまでも物語のコアな部分に寄り添っている肩書きです。しかし、この物語では個人的な肩書きが、普遍的な問いに繋がっています。

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