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松下洸平×松下優也『ケイン&アベル』対談【前編】~枠に留まらない僕らだからこそ~

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右から)松下洸平、松下優也(撮影:石阪大輔)

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イギリスの国民的作家ジェフリー・アーチャーのベストセラー小説『ケイン&アベル』がミュージカルとなって再誕。新年1月、世界初演の幕を開ける。クリエイター陣には、音楽フランク・ワイルドホーン(『ジキル&ハイド』)、脚本・演出ダニエル・ゴールドスタイン(『ザ・ミュージック・マン』)など世界の精鋭が集結した。ボストンの名家に生まれ、裕福に育ったウィリアム・ケインと、ポーランドの山奥に生まれ孤児となり、苦境を生き抜いて来たアベル・ロスノフスキ。同じ日に生を受けたふたりの青年は、ケインは銀行頭取に、アベルはホテル王へとのし上がり、運命の出会いを果たして激しくぶつかり合う。ケイン役の松下洸平とアベル役の松下優也、ともに俳優であり、また音楽アーティストとしても華々しい活躍を見せるふたりが、激動の人間ドラマを主導する。ぴあアプリでは、開幕を前に1月1日より配布中のステージぴあに掲載中のふたりのインタビューを再編集し、誌面に載せきれなかったお話も公開! 昨年秋に行われた製作発表会見後、初共演で世界初演の大作に挑むふたりの熱き思いプレイバックしてお届けします。

王道のグランドミュージカルで、どれだけ自由に表現できるか

――まずは、製作発表を終えた今の率直な心境からお話いただけますか?

洸平 いよいよ動き出しそうだなという感じですね。まだ台本や楽曲などの素材が全部揃っていないので、どんな舞台になるのか想像するしかない部分もたくさんありますけど。でも優也君を始めキャストの皆さんや関係者の方々とお会いできたので、始まるな!という感じがしました。皆さんとお話して、面白い稽古場になるんじゃないかなと思いましたね。

優也 僕も、新作ミュージカルを作る責任の重さを感じたりもしていたんですが、今日皆さんとお会いして、すごい心強いキャストだなと思って。自分が無理して頑張らなきゃというより、皆で一緒に作っていけそうだなという安心感が生まれましたね。次にまた稽古場で皆さんと会えるのが楽しみになりました。

――素材が全部揃っていないとのお話ですが、現時点での台本や楽曲の感想など、伺えますでしょうか?

優也 台本はまだ準備稿という段階で、一番最初にいただいた時から、もう何度もアップデートされているんですよ。その度に面白くなっていっている印象です。小説が原作なだけあって、場面の描写もディテールがとても丁寧に書かれているし。

洸平 うん、確かに。楽曲のほうもまだデモなので、メロディーラインを追うくらいしか出来ない段階ですね。でも本当にフランク・ワイルドホーンさんのメロディーは美しいなと思います。これを皆でせーの!で歌う日が来ると思うと、ちょっといい意味でゾワゾワッとしますね(笑)。どんなに分厚い音になるだろうなと。

――洸平さんのケイン、優也さんのアベル、それぞれの個性が際立つソロナンバーも?

洸平 そうですね。アベルの場合は、野心を持ってニューヨークに来る場面の歌も、すごくダイナミックな音楽ですし。あと僕、個人的にはワイルドホーンさんのバラードがめちゃくちゃ好きなので、あれは早く歌いたいなと思います。

――ケインには素敵なソロバラードがあるんですね。

洸平 でも、ふたりともにあるんじゃないかな?

優也 まだ全部揃ってるわけじゃないから、わからないよね。

洸平 そうなんだよね。台本も今はまだ直訳っぽいので、たぶん稽古が始まったら「こう言ったほうがいいのでは」とか意見が出て来るんじゃないかと。グランドミュージカルという王道のものに、どれだけ僕たちが縛られずに、自由に表現できるかというのは考えますね。たくさんのミュージカル俳優さんがいる中で、僕と優也君が選ばれているわけですから、いい意味で型にハマらない表現の仕方もトライしてみたいなと思います。

ミュージカル『ケイン&アベル』ビジュアル

「親近感しかない」ふたりで挑む“世界初演”

――おふたりが会って話をするのは、本作のビジュアル撮影に続いて今回が2回目と伺っていますが、すでに意気投合といった雰囲気ですね。

洸平 もともと優也君の存在は知っていましたし、僕はいちファンとして優也君の音楽を聴いていたので。同じようなジャンル感で音楽を作っている者同士で、そして同じ松下なので(笑)、勝手に親近感を持っていました。いつかどこかでお会いするんだろうなとずっと思っていたので、あらためてこうして会っても、さほど距離感を感じないですね。

優也 僕もずっと洸平君自身のこと、洸平君の音楽活動やバックボーンも知っていたので、もう親近感しかない(笑)。洸平君も自分と一緒で役者と音楽、両方やられていて、しかも第一線で活躍されている。自分がその両方をやる楽しさと大変さを知っているから、洸平君はどんな思いでやっているんだろうな〜というのは正直、いろいろ聞きたいことは山ほどあります。悩んでいることとか、共鳴出来る部分はきっとあるだろうなと勝手に思っていて。

洸平 うん、そうだね。

優也 だから、早く一緒に飲みに行きたいです。飲みに行ったらもう完成するような気がしますね。

洸平 ハハハ!

――洸平さんは、ミュージカル出演は7年ぶりだそうですね。

優也 え、7年ぶり!?

洸平 うん。最後に『スリル・ミー』をやったのが2018年で、それは小劇場ミュージカルだから、グランドミュージカルはその前の2017年の『スカーレット・ピンパーネル』以来だとすると、7年ぶりぐらいですね。

――本作のオファーに、躊躇などはなかったのかなと。

洸平 いや、躊躇しましたよ、メチャクチャ躊躇しましたよ!(一同笑)そもそも、僕はもうミュージカルはやらないかな……と思っていたので。やっぱり本当に大変でしょ?

優也 ミュージカルが? いや、まあ大変ですけど、映像でも何でも大変ですし。大変さの質が違う感じは、ありますけどね。

洸平 そう、ミュージカルには歌があるから“音符の正解”があるわけじゃないですか。そこを毎公演、しっかりなぞって完璧にこなし続けるミュージカル俳優の方々を本当にリスペクトしているんですよ。凄いな!と。だからミュージカルを観に行くことは好きなんですけど、それをやるとなると、そりゃ勇気がいりますよね。失敗したらどうしよう〜とか。でもそれは主演とかは関係なく、全員が同じリスクを背負って舞台に立っているわけだから、やっぱり凄いことだなと。大変だけど、全員の呼吸がうまくハマっていいグルーブが出た時は、普通のお芝居では感じられない、また別の感動が絶対にあるんだろうなと思います。

――優也さんは、多くのミュージカル作品を経験されていながらも、“ミュージカル俳優”という枠に留まらない印象があります。

優也 そうなんですよ。“ミュージカル俳優”で検索しても僕は出て来ないんです(笑)。自分でも自分がよくわからないです。まあ、それを決めるのは見てくださっている皆さんだし。どこを自分の魅力と思ってくれているのか、わからないですからね。ただひとつ言えるのは、自分はエンタメ、芸事が好きなだけであって、ミュージカルだから、映像だから、音楽だからというジャンルの違いはそんなに意識していないんですね。もちろんアウトプットの最終形はそれぞれ違うけど、“表現する”という意味では結局一緒なので。自分がやる作品に関しては、ミュージカルも好きですよ。だから、それこそ『ケイン&アベル』をやる洸平君と僕は、いわゆるミュージカルの正統派とは違うかもしれない。そんな僕らにやらせてもらえるってことは、何でもやっちゃっていいのかな〜と。

洸平 ハハハ! そういうことだよね。

優也 まずはその心意気が嬉しいですね(笑)。本当に新しいものを作ろうとしているのだろうなと思います。ワイルドホーンさんの楽曲を世界で最初に僕らが歌う、それは非常に楽しみです。ブロードウェイ作品の翻訳版をやる場合、すでにお手本があるじゃないですか。それを踏まえて自分はこんなふうに表現してみよう、と考えるわけだけど、今回はこれが世界初演だから、自分の表現がお手本になるわけで。責任感も湧いてくるし、作り甲斐があるな!と思いますね。

洸平 素晴らしい。優也君、頼もしいです。メチャクチャ頼ります。

優也 いやいや、お互いに頼り合いましょ(笑)。

海外でも上演されるくらいの作品を

――おふたりがやるからこそ立ち上がる新感覚のミュージカル、期待が募ります。

優也 ただ、この『ケイン&アベル』は作品としては古典的な要素も押さえているから、まったく新しいものをやるというより、古き良きものに新たなスパイスが加わる、みたいな感じになるんじゃないかなと思うんですね。

洸平 より演劇的なものを作りたいな、という欲はあります。優也君が言ってくれたように、古典的な部分と新しいものをうまくミックスさせつつ、芝居としても高いクオリティのものを目指せたらいいなと。それは僕たちだけが思っていても叶わないことなので、出演者全員で、同じテンションでやれるといいなと思っていますね。もちろんミュージカルの熟練の方々のお知恵をお借りしながら、自分たちが目指すのは、古典的だけど攻めた作品。いかに楽しんで崩しながらも継承していくか、が課題かなと思っています。

――製作発表で優也さんがおっしゃった、“東の松下、西の松下”のタッグを、多くの観客が楽しみにしているはずです。

優也 ほら! もう皆に言われてる〜!(一同笑)そうですね。“東の松下、西の松下”を観に来てもらって。東京公演に大阪公演もありますので、もしかしたら東京は僕がアウェーになって、大阪は洸平君がアウェーになるかも……!?

洸平 いやいや、それは大丈夫でしょう(笑)。本当に、面白いエンターテインメントが出来ると思うし、演劇ファンの人たちもミュージカルファンの人たちも、見応えのあるものを持って帰っていただけるんじゃないかなと思います。

――シングルキャストなので体調に気をつけて、ぜひ完走していただきたいと思います。

優也 それですよ! 本当にそれが心配です。

洸平 あ、それを心配って思ってくれているんだ、良かった〜。皆心配だよね、そこは。

優也 心配だと思います。ただ、全員がシングルやから、逆に気持ち一緒って思えると、頑張れそうな気がする。

洸平 そうだね、そこはみんなで支え合っていけるといいですね。このカンパニーなら大丈夫な気がします。

優也 うん、いつか海外でもやってもらえるくらいのいい作品を、僕ら皆で作っていきますよ!

取材・文 上野紀子 撮影:石阪大輔

★稽古開始後のふたりを直撃した【後編】掲載中!
松下洸平×松下優也『ケイン&アベル』対談【後編】

<公演情報>
ミュージカル『ケイン&アベル』

原作:ジェフリー・アーチャー
音楽:フランク・ワイルドホーン
歌詞:ネイサン・タイセン
編曲:ジェイソン・ハウランド
振付:ジェニファー・ウェーバー
脚本・演出:ダニエル・ゴールドスタイン

【配役・キャスト】
ウィリアム・ケイン:松下洸平
アベル・ロスノフスキ:松下優也
フロレンティナ:咲妃みゆ
ザフィア:知念里奈
ケイト・ブルックス:愛加あゆ
ジョージ・ノヴァク:上川一哉
マシュー・レスター:植原卓也
リチャード・ケイン:竹内將人
ヘンリー・オズボーン:今拓哉
アラン・ロイド:益岡徹
デイヴィス・リロイ:山口祐一郎

【東京公演】
2025年1月22日(水)~2月16日(日)
会場:東急シアターオーブ

【大阪公演】
2025年2月23日(日)~3月2日(日)
会場:新歌舞伎座

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/kaneandabel/

公式サイト:
https://www.tohostage.com/KANEandABEL/

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