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【サンダンス映画祭レポート】静かで深い、父と息子の感動物語

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『Sukkwan Island』(C)Sundance Institute

フランス人監督ウラジミール・デ・フォントネイの『Sukkwan Island』は、静かで、深く、最後に大きなサプライズが用意された父と息子の物語だ。

ロイという名の青年が、懐かしい場所を10年ぶりに訪れるところからスタート。だが、場面はすぐに、ロイが13歳だった頃に切り替わる。

両親の離婚以来、母と一緒に暮らしていたロイは、父トムの提案を受け入れ、ノルウェーの島にある小屋で1年を過ごすことに。島には他に誰も住んでおらず、いるのは野生の動物と彼らだけ。夏の間は楽しく過ごし、絆を強めていく父子だが、冬が訪れ、環境が厳しくなっていくと、関係は変化していく。

原作は、アメリカ人作家デビッド・バンによる『Legend of a Suicide』に含まれる同名小説。バンが自らの体験をもとに書いたものだ。デ・フォントネイは、美しくもあり、過酷でもある大自然を、トムとロイの心理に重ねながら描いていく。ロケは、ノルウェーのフィヨルドで、2月と6月の2回に分けて行われたという。

事実上のふたり芝居とあり、演技は大きな見どころ。トムを演じるのは、昨年のオスカー候補作『落下の解剖学』のフランス人俳優スワン・アルロー。13歳のロイを、『カモン カモン』でホアキン・フェニックスの相手役を見事に務めたウディ・ノーマンが演じる。離れ島に住むふたりが頼れる唯一の女性アナ役の女優はアキ・カウリスマキ監督の『枯れ葉』に主演したアルマ・ポウスティで、キャストには実力派が揃う。

ワールドシネマ・ドラマチック・コンペティション部門の上映作品。映画祭は2月2日まで。

文=猿渡由紀