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阿部真央は15年間、聴く人に寄り添い、勇気や優しさを与えてきたのだと感じた『阿部真央らいぶ2025 -15th ANNIVERSARY-』レポート

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『阿部真央らいぶ2025 -15th ANNIVERSARY-』 Photo:森好弘

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Text:川上きくえ Photo:森好弘、Ryuji Kainuma

阿部真央にとって2024年は、デビュー15周年を記念したツアーやアルバムリリース、様々な形態のライブイベント出演などを行い、15年という歳月の濃さを自他ともに味わう1年だったといえる。特に、プライベートレーベル“KAGAYAKI RECORDS”からの初フルアルバムリリースとなる通算11枚目のニュー・アルバム『NOW』と、その楽曲を引っ提げた全国5カ所のZeppツアー『15th Anniversary Abe Mao Zepp Live Tour 2024』は、周年とはいえ過去を振り返るのではなく、阿部真央の今もっとも新しいメッセージを提示する機会となった。そして迎えた、周年イヤーの集大成でもある東京ガーデンシアター『阿部真央らいぶ2025 -15th ANNIVERSARY-』。そこには、なぜ彼女は歌うのか、なぜ人々は彼女の歌を欲するのかのアンサーが散在していた。

Photo:Ryuji Kainuma

少し前に35歳の誕生日であり16回目のデビュー記念日を迎えたばかりというこの日の選曲は、阿部自身が歌いたい曲、ファン人気の高い曲を中心にしたと思える内容。デビュー当時の阿部と現在の阿部が並ぶオープニングムービーから1曲目の「HOPE」、「Believe in yourself」といきなりスピードのある曲を続け、まるでここはライブハウスだったかと錯覚するような圧迫感で場内を埋め尽くす。そこに「ふりぃ」のイントロが鳴ると地鳴りのような歓声がステージに向かい、阿部はそのエンジン全開な盛り上がりっぷりに、微笑むどころかケタケタと本気で笑っていた。おそらくそれは、お互いの求めるモノが合致した際の、気恥ずかしさ残る幸福感。一階席の中程まで伸びた花道で、ゆっくり客席を見渡し、「いやぁもう、胸がいっぱいで……声が揺れる揺れる(笑)。感動してまーす!」と言いながら深く頭を下げる阿部。鳴りやまない拍手は、観客もまったく同じ想いでいることを代弁していた。

Photo:森好弘

この日の演奏は、いつものバンドメンバーにストリングス隊が加わっていることもあり、アップテンポの曲はより重厚に、ミドルテンポの曲はよりリッチなサウンドで披露される。しかし、どんな曲調でもやはり胸を打つのは圧倒的な声量とクオリティを誇る阿部の歌唱力で、少しも迷うことなく音を狙い、少しも油断することなく伸ばしてく声に、何度も何度も鳥肌が立った。

Photo:Ryuji Kainuma

アコギを爪弾きながら切々と歌う恋心と、孤独感を一気に爆発させるサビとのコントラストが胸を締め付ける「morning」。「優しい人ほど年を重ねるにつれ誰かを信じるのが怖くなっちゃうけど、私のことは信じてほしいな」という気持ちで書いたと語った「Everyday」。そして、母になるという経験を得たからこそ生まれた「母である為に」。たったひとりであれ不特定多数であれ、楽曲の中にその曲を届けたい相手が明確なことが多い彼女の歌は、聴き手の心をヒリヒリさせる。だけど聴き終わるとそのヒリヒリは、熱を生み、身体全体を突き動かす力になる。阿部真央の書く歌詞のリアリティと唯一無二な歌声は、こうして15年間、聴く人に寄り添い、勇気や優しさを与えてきたのだと感じた。

Photo:森好弘

メンバー紹介を終え、よっこらせと言わんばかりにステージと花道の段差に腰をかけ、マイクで雑談しながらひと休み。頭上高くまで人で埋め尽くされた会場なのに、醸し出す距離感がコンビニでばったり会った感じなのが面白い。つまり、いつでも素で生きている人なのだろう。だからこそ、ここ数年でいろんな出来事があり、自分を鼓舞するために書いたという「I’ve Got the Power」も、どんな人にとっても自分のための歌だと思える説得力を持っていた。スリリングな低音と爽やかな高音が自在に行き交う歌声が、観客の興奮をガンガンに煽っていく。そして、続く「Somebody Else Now」は、観客にスマートフォンのライトの点灯を促し、全員参加の即興演出の中で披露。無数の光と大合唱に包まれる阿部の姿は、まるで満点の星空の下で歌っているかのようだった。

Photo:森好弘

バラードはとことんしっとり、ロックチューンはとことん跳ねるのが、阿部真央の流儀だといえる。それゆえにライブの見せ方・曲の並べ方においてもふり幅が広いのだが、その領域を先導する阿部のタフさがすごい。「まだいける? 私もとっても楽しいです!」と叫び、これまたニュー・アルバムから「進むために」へ。「うおおおお」という地鳴りのような歓声が上がり、アグレッシブな演奏とともに場内の盛り上がりは頂点を目指す。悲しい出来事を自分で終わらせ、明日へ進むという切なくも強いマインドを歌った歌詞は、まさに阿部真央というアーティストの生き様を映し出す。そこから本編ラストの「それぞれ歩き出そう」まで、場内を明るくして観客の一人ひとりを見つめながら歌っていく阿部。ギターを掻き鳴らし、呼びかけ、ノンブレス&ハイトーンの歌唱も難なくこなす。疲れを見せないどころか声の張りは強くなり、ステージ全体のテンションもさらに上昇していく。阿部真央の存在から放たれるモンスター級のエナジーに、再び鳥肌が立った。

Photo:森好弘

「みんなが思うように生きて、たまにパワーが必要になったり、楽しいなと感じたくなったらいつでもライブに来てもらえるように。私はこれからも歩みを止めずに、この活動を続けていく。それが私の目的であり使命であり目標であり人生です。みんなが笑っていられることが、私の幸せです。明日からのみんなの人生が、さらにキラキラと輝きますように」

Photo:森好弘

本編ラストは、デビュー5周年のときも10周年のときも、大きな舞台で歌ってきたというポップス「それぞれ歩き出そう」。場内全体を明るくし、全員で歌った同曲は、“自分の幸せを優先しあってそばにいる”という、この先も揺るぐことのない阿部とファンの関係性を約束していた。

アンコールでは、「特攻隊長、阿部真央!」という紹介ムービーにあわせて、白い特攻服に身を包んだ阿部が登場。背中にはレーベルロゴの「輝」、フロント左側には「変幻自在」の刺繍が施されたこだわりよう。

Photo:森好弘

その似合いすぎる風貌に大歓声が上がる中、「I wanna see you」から、シンガーソングライターとしての原点ともいえる「伝えたいこと」、コンプラ的にギリだけど共感度120%のラブソング「ストーカーの唄~3丁目、貴方の家~」など、阿部真央を語る上で欠かせないナンバーを続けて聞かせていった。

Photo:森好弘

そして大ラスは、花道でギター1本の弾き語りによる「母の唄」。最後の最後まで迫力と艶をキープした歌声は、もはや神秘的な響きをもって届けられた。デビュー16年目に突入した2025年も、すでに大きなツアーが複数本決定。そのエネルギッシュな歌声は、これからも多くの人々の生活に輝きを与えるだろう。

Photo:森好弘

<公演情報>
『阿部真央らいぶ2025 -15th ANNIVERSARY-』

2025年1月26日 東京ガーデンシアター
バンドメンバー:吉田佳史(ds) / 三浦淳悟(b) / 西川進(g) / 和田建一郎(g) / ミトカツユキ(key) / ぬましょう(per) / 秋谷弘大(mp)
ストリングスメンバー:門脇大輔(vl 1) / 田島華乃 (vl 2) / 高橋輝(va) / 村中俊之 (vc)

<ライブ情報>
「ABE MAO Billboard Live Tour 2025」

6月7日(土)神奈川・Billboard Live Yokohama
1stステージ OPEN14:30 / START15:30
2ndステージ OPEN17:30 / START18:30

6月14日(土)大阪・Billboard Live Osaka
1stステージ OPEN14:30 / START15:30
2ndステージ OPEN17:30 / START 18:30

6月21日(土)東京・Billboard Live Tokyo
1stステージ OPEN14:30 / START15:30
2ndステージ OPEN17:30 / START18:30

特設サイト:https://abemao.com/feature/billboard_tour

「阿部真央 ホールツアー2025 - On My Way Home -」

10月11日(土)大阪・大阪 オリックス劇場
10月13日(月・祝)福岡・福岡市民ホール 中ホール
10月18日(土)北海道・札幌 共済ホール
10月26日(日)愛知・名古屋 Niterra日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
11月3日(月)東京・渋谷 LINE CUBE SHIBUYA
全公演:OPEN16:00 / START17:00
【チケット情報】
前売全席指定 / 前売着席指定:7,800円(税込)
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2503248


特設サイト:https://abemao.com/feature/hallTour2025

公式サイト:https://abemao.com/

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