ミュージカル『昭和元禄落語心中』制作発表会――山崎育三郎、日本オリジナルミュージカルへの思いを熱弁
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ミュージカル『昭和元禄落語心中』メインビジュアル
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すべて見るアニメ化、連続ドラマ化もされた雲田はるこの人気漫画を原作としたミュージカル『昭和元禄落語心中』の制作発表が1月31日に都内で開催され、山崎育三郎、明日海りお、古川雄大が出席。山崎は本作に企画段階から深く関わっており、日本オリジナルのミュージカルへの思いを熱く語った。
戦前から平成に至る落語界を舞台に展開する本作。同日に落語の世界に入門した菊比古(のちの八雲/古川)と初太郎(のちの助六/山崎)は固い友情を結び、芸者のみよ吉(明日海)にも支えられ、それぞれに己の落語を追求していくが、やがて思いもよらぬ運命の荒波が押し寄せ……。
この日の会見場は、落語の高座をイメージしたものになっており、山崎、明日海、古川は着物姿で登壇。山崎と古川は冒頭でそれぞれ「野ざらし」、「死神」の一節を披露した。
山崎は、NHKで2018年に放送された連続ドラマ版「昭和元禄落語心中」でも助六役を演じたが、当時の経験について「いろんなドラマに携わりましたが最も苦しくて、つらい思い出のほうが多い(苦笑)」と述懐。セリフに加え、古典落語9演目を覚えなくてはならず、クランクインの直前まで『モーツァルト!』に出演していたが、出演中も舞台袖でモーツァルトの衣装まま、落語を覚えていたという。それでも「作品自体が役者をいざない、引き上げてくれる強いエネルギーを感じました。300名のエキストラの前で落語を披露した時から『いつか舞台にしたい』という思いがあった」と明かす。 今回、同じ事務所の古川、明日海と新たな作品を創作することになった時、「雄大しか八雲を演じられる人はいない。明日海さんのみよ吉も、すぐにイメージが湧いてきて絶対に面白くなると思った」と言葉に力を込める。
山崎は12歳の時に、歌手の小椋佳が企画したアルゴミュージカル『フラワー』でミュージカルデビューを果たしたが、そこでオリジナルミュージカルの創作を目の当たりにしたことが自身の「原点になっている」と語る。日本オリジナルのミュージカルに企画から携わり、そこで落語を題材にした本作を選んだ点についても「これまでブロードウェイチームとご一緒させていただき、海外のチームが日本にいらっしゃったとき、よく言われたのが『僕たちのミュージカルをやってくれるのは嬉しいけど、君たちは日本のミュージカルをつくらないのか?』ということ。僕もそう思っていて、日本人だからできるミュージカルをつくりたかった」と語る。
「僕は落語をすごく音楽的に捉えていて、落語をしゃべっているとメロディをしゃべっているような感覚になって、(落語と歌が)うまくリンクするなと感じました。日本で(海外の)ミュージカルをやる際に、日本語でしゃべる難しさを痛感していて、英語だとひとつの音符にたくさんの言葉が詰まっているけど、日本語だと伝えたい情報が3分の1くらいになることもある。いま、稽古場で日本語からゼロから作っていて、日本語の言葉に合わせてメロディラインをつくったり、和の音楽に言葉を乗せるのがすごくスムーズにできています」と手応えを口にした。
菊比古と助六、みよ吉の3人の愛憎の混じった関係性が物語の大きなカギを握る。明日海は山崎を「育さま」と呼び、山崎直々のオファーによる本作への出演を「夢のよう」と喜びつつ「みよ吉は、かわいらしい面があって一途で、でも腹の据わったところもある女性。女のダメな部分、もろい部分が味になっている、魅力的に映えている女性だなと思います」と語る。
以前から山崎の日本オリジナルミュージカルへの夢を聞かされていたという古川は「やっと実現するんだという思い。日本の良さがふんだんに詰め込まれていて、これが世界への第一歩で、ここから世界に発信できる、その第一歩に携われるのが嬉しい」と感慨深げ。
「八雲は落語と出会い、同時に天才・助六とも出会い、葛藤しながら落語に魅了されていくんですが、すごく真面目でプライドが高く、陰もあり、黙々と稽古する真面目過ぎる役です。独特の色気を助六に気づいてもらい後押しされ、みよ吉と恋愛することで、自分にしかできない落語を見つけていきます。いろんな人に動かされ、いろんな人に憧れ、嫉妬し、動かされて落語を背負ってしまう役なので、みなさんの力をお借りして作っていきたい」と語った。
山崎は「(菊比古と助六の)2人の間に流れている、親友でも家族でも恋人でもない、もっと何か深い魂のつながりを感じていますが、雄大とはミュージカルでずっと一緒に戦ってきた仲。ふたりの積み重ねた関係性から役に入れているので、お別れするシーンでも、グッと泣けちゃうようなものがあった」と語り、古川も「グッとくるのをこらえて八雲として立っていたんですけど、パッと見たら育もウルウルしていて(笑)、その瞬間にふたりの関係性が見えてきました」とうなずいていた。
山崎、古川、明日海のほか、菊比古と助六の師匠である七代目・八雲を中村梅雀、八雲に弟子入りする与太郎を黒羽麻璃央、助六とみよ吉の間に生まれる小夏をミュージカル初挑戦の水谷果穂、そして原作でも人気の七代目、八代目・八雲に仕える付き人の松田を金井勇太が演じる。
ミュージカル『昭和元禄落語心中』は2月28日(金) から3月22日(土) まで東京・渋谷の東急シアターオーブにて、3月29日(土) から4月7日(月) まで大阪・フェスティバルホールにて、4月14日(月) から23日(水) まで福岡市民ホール・大ホールにて上演。
取材・文/黒豆直樹
<原作漫画情報>
昭和元禄落語心中 新装版1巻&2巻
著者:雲田はるこ
発売日:2025年2月13日(木)
価格:定価1,540円(本体1,400円) 判型:B6


2025年3月13日(木) 3&4巻同時発売
2025年4月11日(金) 5巻発売
<公演情報>
ミュージカル『昭和元禄落語心中』
【東京公演】
2025年2月28日(金)〜3月22日(土)
東急シアターオーブ
【大阪公演】
2025年3月29日(土)〜4月7日(月)
フェスティバルホール
【福岡公演】
2025年4月14日(月)〜23日(水)
福岡市民ホール〔大ホール〕
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/rakugoshinju/
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