【サンダンス映画祭レポート】アンサンブルキャスト賞作品『Plainclothes』
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『Plainclothes』 (C)Sundance Institute
キャスト全員の演技に対して贈られる審査員アンサンブルキャスト賞を受賞した『Plainclothes』の舞台は、1997年のニューヨーク州シラキューズ。主演は『ハンガー・ゲーム0』で大ブレイクした英国俳優トム・ブライス。
主人公ルーカス(ブライス)の仕事は、公衆トイレで性的な行動をする男たちを捕まえる覆面警察。逮捕された男たちは抗議することができるが、そのためには裁判所に出廷せねばならない。家族や職場に自分がゲイであることを隠している彼らは決してその選択をせず、いつも警察が勝つ。
それまでにも密かに自分は男性が好きなのかもしれないと気づいていたルーカスは、ある日、逮捕するべきだった男性に心を惹かれ、あえて逃した。相手はもちろん彼が警察官とは知らず、ふたりはまた会う約束をする。初めての本当の恋にルーカスは夢中になるも、妻、子供、まじめな職業を持つ相手は、これ以上はもう会えないと言ってくる。
監督兼脚本家は、これがデビュー作となる新人カーメン・エミ。シラキューズ出身の彼にとってこれはとてもパーソナルな作品だ。1997年を選んだのは、子供だった彼がスーパーマーケットにいたところ、ある女性客が、あるセレブの子供がゲイだということを大きな罪のように話していたのを耳にした年だったからということ。そのせいで、彼は、ゲイであることに大きな引け目を感じることになったのだ。
ブライスの相手役を務めるのは、英国俳優ラッセル・トヴェイ。エミ監督自身の父も小さな役で出演している。
文=猿渡由紀