世界の映画祭で高評価。『石門』が描く“現代社会”
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『石門』
映画『石門(せきもん)』が2月28日(金)から公開になる。本作は、現代社会を容赦なく描く側面と、そんな世界で懸命に“進むべき道”を探そうともがく女性の心情を描く普遍性の両方を描き、世界各地で年齢や性別を超えて幅広い層の観客から支持を集めている。
本作の主人公リンは、フライトアテンダントになることを目指して勉強しているが、望まない妊娠が発覚し、それまでの暮らしが一変する。父親は別れたばかりの元恋人で、彼は遠回しに中絶を勧めてくる。リンは診療所を営む両親が死産の責任を追求されていることを知り、自身の身ごもった子を“賠償金の代わり”にすることを思いつく。
『石門』では様々な場面で命が“モノ”として扱われる場面が描かれる。リンは自身の子を“賠償金”として利用しようとするし、彼女が接触する卵子提供ビジネスの現場では、人間が出身や経歴などで分類されている。少しでも良い遺伝子がほしい、条件の良い卵子を手に入れたい。ここでは命が“モノ”として扱われ、優劣がつけられている。現代社会のある一面を本作から垣間見ることができるはずだ。
その一方で、社会環境が変わっても観る者を魅了し続ける普遍性も備えている。
どれだけ命が“モノ化”しようと、どれだけ社会が殺伐としようと、女性が不条理な“痛み”に襲われていることは変わらない。望まないままに身体が変化し、どうしようもない痛みが襲ってくる。主演のヤオ・ホングイは全編にわたって繊細な演技で主人公を演じているが、彼女の表現する“痛み”は、どの時代の観客にも伝わるだろう。
『石門』
2月28日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開
https://stonewalling.jp
©YGP-FILM
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