「すごくワクワクします」相島一之、東京サンシャインボーイズ復活公演『蒙古が襲来』に熱い思い
ステージ
インタビュー
相島一之 (撮影:You Ishii)
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すべて見る1983年に三谷幸喜を中心に旗揚げされた劇団「東京サンシャインボーイズ」。人気絶頂の最中に「30年の充電」を発表し、活動を休止した。そんな東京サンシャインボーイズがついに復活! 新作『蒙古が襲来』を上演する。そこでメンバーの相島一之に、現在の稽古の模様と劇団への思いを語ってもらった。
メンバー全員にとってかけがえのない「東京サンシャインボーイズ」
――東京サンシャインボーイズが「30年の充電」を発表されたのが1994年。ついに復活公演が決まりましたが、その道のりは決して容易ではなかったと思います。
本当に実現できてよかった。これはやっぱりメンバー全員が、「東京サンシャインボーイズ」っていうのをどこかですごく大事にしているからだと思います。あと2009年にシアタートップスが閉館した時(※現在は新宿シアタートップスとして営業中)、『returns』という作品で一度集まれたことも大きかった。あの時はみんな忙しくて稽古期間も短かったですけど、なんとかほぼ全員無理くりスケジュールの都合をつけて参加して。しかもそれが結構楽しかったんですよ。で、「あれ、もしかしたら15年後にまた会えるかもしれない」と思った一番のきっかけにはなりましたね。
――そしてついに始動、稽古も順調のようですが、ここまでの感触はいかがですか?
やっぱり年は取っていますよね。稽古場を見渡しても、「うわ、年寄りばっかりだな」って思いますから(笑)。ただやっぱり僕らは、三谷(幸喜)が書く脚本が好きで、三谷の世界を実現するために集まってきたメンバー。それが三谷の演出で動いているっていうのはやっぱりすごく面白いし、感動しますよね。まずは本読みから始めるわけですが、すでにただの本読みじゃないですから。さっそく三谷のチェックがどんどん入ってくる。的確な、細かい、「ここはこんな感じ」みたいなチェックが。で、それを言われることで、ガラッとみんな変わっていくんです。もうそのスピード感たるや! あ、そうだ。これがうちの劇団の、三谷の演出だって思い出して、すごくワクワクします。
――内容に関しては、鎌倉時代の対馬の漁村が舞台であること。異国の襲来が目の前に迫っていること。明かされているのはこれら断片的なものですが、どういったタッチの作品になりそうでしょうか?
これまで東京サンシャインボーイズでは、笑いがたくさんあって、みんなが頑張ってひとつのことを成し遂げて、そこで大団円っていうコメディを多く作ってきたわけです。で、今回もそういうものを作るのか。それともまったく違う、60歳を過ぎた僕らと、今三谷がやりたいと考えているものを作るのか。そのどちらをやるのか、三谷もすごく考えたそうなんです。で、彼は新しいことをやろうと。まぁ三谷らしいですよね。とても三谷らしい。だからどうなるのか、今は正直わかりません。ただ脚本はすごく面白いです。
「演劇って楽しい」と思ってもらえることが、自分の使命
――現段階で「面白い」と言い切れるのは、とても心強いですね。
面白いです! ただいわゆる『ショウ・マスト・ゴー・オン』のような、ジェットコースターのようなコメディにはならないと思うので、これからどうなるのか楽しみです。僕は60越えた今でも、『ショウ・マスト~』の時の演出の言葉なんか思い出したりするんですよ。だから稽古をしながら、30年前と今がリンクしているような感覚で。「(梶原)善は相変わらずこんなこと言っているな」とか、「そうそう、小林隆はこうだよね」とか。なんかそれがすごく面白いんです。
――劇団以外でも数々の舞台を生み出してこられた三谷さんですが、東京サンシャインボーイズで作られるからこその面白さとはどういったところにあると思いますか?
彼はよくこう言ってくれるんです。「劇団が私を作家として育ててくれた」と。「固定のメンバーにどんどん新しい作品を書いていかなければいけない中で、彼ら彼女らを毎回どう新鮮に見せていくのか。座付き作家としてすごく鍛えられた」と。そんなふうに僕らに最大限の賛辞を送ってくれるわけですが、三谷にとっての東京サンシャインボーイズっていうのは何なんでしょうね。それはちょっと僕にはわからないかな。三谷に聞いてみたいけど、きっとその時々によって言うことが違うんでしょうね(笑)。
――なにはともあれ復活公演に歓喜されているファンの方も多いかと思います。最後に公演を楽しみにされている方にメッセージを!
「あぁ、演劇って楽しいな」って思ってもらえるようにすることが、自分が舞台に立つ使命だと思っています。中でも東京サンシャインボーイズの芝居っていうのは、演劇好きな方はもちろん、今まで演劇をご覧になったことのない方にとっても非常にとっつきやすいものなんじゃないかなと。笑いがあって、面白くて、恐らく「なにか」がある(笑)。だから劇場に足を運んでいただけたら、本当に嬉しいなと思います。
取材・文:野上瑠美子 撮影:You Ishii
ヘアメイク:国府田雅子(b.sun)
<公演情報>
パルコ・プロデュース2025
東京サンシャインボーイズ 復活公演
『蒙古が襲来』
作・演出:三谷幸喜
出演:
相島一之 阿南健治 伊藤俊人 小原雅人 梶原善
甲本雅裕 小林隆 近藤芳正 谷川清美 西田薫
西村まさ彦 野仲イサオ 宮地雅子 吉田羊
【東京公演】
2025年2月9日(日)~3月2日(日)
会場:PARCO劇場
【岡山公演】
2025年3月7日(金)~3月9日(日)
会場:岡山芸術創造劇場ハレノワ中劇場
【京都公演】
2025年3月13日(木)~3月16日(日)
会場:京都劇場
【長野公演】
2025年3月21日(金)~3月23日(日)
会場:まつもと市民芸術館 主ホール
【宮城公演】
2025年3月28日(金)~3月30日(日)
会場:電力ホール
【北海道公演】
2025年4月3日(木)~4月6日(日)
会場:札幌市教育文化会館 大ホール
【大阪公演】
2025年4月11日(金)~4月14日(月)
会場:SkyシアターMBS
【愛知公演】
2025年4月18日(金)~4月20日(日)
会場:穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
【福岡公演】
2025年4月25日(金)~4月28日(月)
会場:キャナルシティ劇場
【沖縄公演】
2025年5月3日(土・祝)~5月5日(月・祝)
会場:那覇文化芸術劇場なはーと 大劇場
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