夫婦監督と主演俳優が3度目のタッグ。映画『石門』が公開に
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『石門』
世界各地の映画祭で高評価を集める映画『石門(せきもん)』が2月28日(金)から公開になる。
本作は、中国湖南省出身のホアン・ジーと、東京出身の大塚竜治が、ヤオ・ホングイを主演に迎えて撮影した作品で、私生活上では“夫婦”でもある監督コンビと主演女優が手がける3作目の映画になる。
ホアン・ジーと大塚竜治のコンビはデビュー作に続いて、2012年に『卵と石』を発表する。主人公は農村で暮らす14歳の少女ホングイ。出稼ぎをしている両親と離れ、叔父夫婦の家で暮らす彼女は封建的な地域と、自分のことしか考えない身勝手な大人に囲まれて抑圧を感じている。まだ自立する前で自分ではどこにも行けない焦燥感が増す一方で、自身の身体はどんどん成長し、変化していく。
本作はロッテルダム映画祭の最優秀作品賞受賞にあたる“タイガー・アワード”を受賞。“デビュー作にはその作家のすべてがある”というフレーズが頭をよぎる濃密な1作になっている。
2017年の『フーリッシュ・バード』もまた出稼ぎの両親と離れて暮らす少女の物語だ。16歳のリンセンは学校にも家にも居場所がなく、出口のない日々をおくっている。ある日、彼女は教師が生徒から没収したスマートフォンを盗み、親友とネットを通じて知り合った男に売ることで金を得る。ふたりは金を手に美容院に向かうが……。日本では映画祭「福岡アジアフォーカス」でも上映された本作は、ベルリン映画祭など世界各地の映画祭で高評価を獲得した。
『石門』を含む3作品はすべて独立した作品だ。監督と主演は同じだが話に直接的な関係はなく、それぞれが違う主人公の異なる物語が描かれが、どの作品も女性の受ける苦痛や理不尽な仕打ちを、精神的、そして身体的な痛みとして描いている。
『石門』は、同一の監督と主演女優の長年にわたるコラボレーションの“結晶”のような作品になった。その完成度の高さと純度が、世界の観客の心を揺さぶり続けている。
『石門』
2月28日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開
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©YGP-FILM
『卵と石』『フーリッシュ・バード』
2025年春、UPLINK吉祥寺ほか全国順次公開
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