三浦涼介＆岡本圭人 美しさと高潔さにあふれるオイディプス王とクレオンを熱演 『オイディプス王』稽古場レポート

舞台『オイディプス王』の稽古の様子が2月5日、報道陣に公開され、主演の三浦涼介、岡本圭人、演出の石丸さち子が意気込みを語った。

2023年に三浦主演で、東京・パルテノン多摩のリニューアル1周年を記念して上演されたギリシャ悲劇の傑作の再演となる。三浦は前作に続きオイディプス王を、今回の再演からの参加でギリシャ悲劇初挑戦となる岡本は、オイディプスの妻・イオカステの弟で国民の信頼の厚い摂政・クレオンを演じる。

この日の稽古は、疫病に苦しむテーバイの民たちが救いを求めて王・オイディプスの元を訪れるシーンからスタート。演出の石丸はキャスト陣に「現在、自分が背負っているものを感じながらやりましょう！」と呼びかける。

窮状を訴える人々にオイディプスは救済を誓い、クレオンを神託のためにアポロンの神殿に遣わしたことを明かす。そこへ、神託を受けたクレオンが到着。クレオンは「吉報です！」と語り、「穢れを追放せよ――先王・ライオスを殺害した犯人を見つけ、テーバイから追放せよ」という神託を高らかに伝える。三浦演じるオイディプスはどこか神々しささえ感じさせ、岡本演じるクレオンと共に、国民を救おうとする高潔な精神、美しさと力強さをもって圧倒的な存在感を放っている。

続いてオイディプスは盲目の予言者・テイレシアス（浅野雅博）を呼び寄せライオス王殺害の真犯人について尋ねる。なかなか“真実”を口にしようとしないテイレシアスだったが、やがてオイディプスに向かい「この国の穢れとはそなた自身」と告げる。何も知らぬオイディプスは怒りに打ち震え、クレオンが王位を狙ってテイレシアスと結託したのではないかとまで疑い、最後には怒りを通り越し、泣き出しそうな表情を浮かべ、懇願するように「私は国を救いたい」と語るが、テイレシアスはオイディプスが呪われた運命の渦中にあることを示唆し、我が子に手を引かれて去っていく。

公開されたのは30分ほどの場面だったが、間にはコロス（合唱隊）による祈りやダンスも挟み、エネルギーにあふれた白熱のシーンが展開された。

その後、三浦、岡本、石丸の3人が報道陣の取材に応じたが、三浦は1年半前の初演を振り返り「本当にたくさんのことがありまして『本当に舞台に立てるんだろうか？』という不安の中で日々を過ごして『初日が明けたということは僕が生きていたということ』という話をしていました（笑）」と苦しみながらの初演だったと明かす。

そして今回の再演に際して「前回、たくさんのキャスト、スタッフのみなさんに支えられてオイディプス王として立たせていただいたので、今回はできる限り『自分が渡せるもの、できることなら助けてあげられることを……』と心に決めて稽古場に入りました。毎日、みんなのことを見ることが仕事のひとつになっていて、それがオイディプス王を演じるにあたって大切なことになっています。とても充実しています」と思いを口にする。

岡本は「初めてのギリシャ悲劇ですが、もともと強い憧れがありました」と語り、「セリフを言うにつれて、自分が持っていなかったこと、自分の知らない感情を、ギリシャ悲劇の言葉が自分の奥底から出してくれているように感じます」と充実した表情を見せる。

岡本はさらに、クレオンがオイディプスについて語る「真の友を切り捨てようとするのは、その身から最も大切な命を切り捨てるもの」というセリフを引用し、三浦と「早く真の友になれるようにしたい（笑）」と意気込む。その第一歩(？)として、三浦のインスタグラムをフォローしたことを明かし、三浦について「本当に素晴らしいです。こんなオイディプスを演じられる俳優さんは、なかなかいないんじゃないかと思います」と称賛を口にしていた。

演出の石丸は、初演時の三浦について「2500年前の戯曲をオーソドックスに、すごくプリミティブな人間の力で演じようとする時、オイディプス王の運命があまりに苛烈過ぎて、三浦涼介さんはずっと恐怖と戦っていたように思う」と評しつつ「その恐怖を跳ね返した時の美しさ――本当に悲劇だけを見るなら、いまの世界を見ればいくらでも胸が痛む時代ですが、悲劇を演じる中に独特の美しさがある。我々のつくった『オイディプス王』は、それでもまだ生きていて、自分を追放することで国を救ったんだという希望の持てる『オイディプス王』にしようという話を三浦さんとずっとしていた」と、単なる悲劇ではなく、美しさと希望があると強調。「いままでのギリシャ悲劇のイメージ覆す、鮮烈で繊細な心の揺れが表現されたとても美しい『オイディプス王』になる」と仕上がりに自信をのぞかせた。

三浦は初演のゲネプロ終了時に「命を懸けます」と口にしたことに触れつつ「今回は命を大切にします（笑）」と宣言。「やっぱりお芝居をするにも身体の健康、心の健康がすごく大切だと思ったので、自分のことも相手のことも大切にして精一杯、使命を果たせればと思います」と晴れやかな表情で語った。

＜公演情報＞
『オイディプス王』

作：ソポクレス
翻訳：河合祥一郎
演出：石丸さち子

出演：
三浦涼介　大空ゆうひ　岡本圭人
浅野雅博　外山誠二　大石継太　今井朋彦
福間むつみ 小野妃香里 池下重大 若松力 相馬一貴 岡野一平 津賀保乃 林田航平 小田龍哉 笠井瑞丈 宮河愛一郎 碓井菜央 鷹野梨恵子 嶋崎綾乃 モテギミユ 沼舘美央／久米俊輔（少年・家来）

【東京公演】
2025年2月21日(金)～24日(月・休)
会場：東京・パルテノン多摩 大ホール

【大阪公演】
2025年3月1日(土) 12:30開演 / 17:00開演
会場：大阪・ＳｋｙシアターＭＢＳ

チケット情報：
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2454482

公式サイト：
https://www.oedipus.jp/