“落語オタク”桂銀治が珍しいネタ含む二席を口演『第11回 ぴあ寄席』レポート
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左より)桂銀治、橘蓮二
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すべて見る2月9日(日) 東京・らくごカフェにて『第11回 ぴあ寄席』が開催された。
『ぴあ寄席』は、演芸写真家・橘蓮二が注目する新進気鋭の芸人を紹介するプログラムで、第11回は二ツ目の桂銀治が登場。落語二席を披露した。
まずは、前説として橘さんが登場。“落語オタク”でお酒も飲まず真面目に四六時中、落語のことを考えているため同業者も若干引くほどの落語好きと銀治さんを紹介。将来、名人と呼ばれる人たちはこういう研鑽を積んだ人なんだと思うと語り、ハードルを上げていく。
そして橘さんからの紹介を受けると、出囃子が鳴り銀治さんが登場。高座に上がると開口一番、先ほどの橘さんの話に反応して会場を暖める。また、会場入りの際、同じ建物内のカレー屋の行列に向かって「本日はありがとうございます」と挨拶してしまったと、失敗談を話すと大きな笑いが起きた。
その後、自身の身に着けている着物の話からの流れで一席目にかけたのは『思い出』。落語オタクの銀治さんらしく、明治から昭和にかけてその当時新作落語として話されていたが、後に埋もれてしまったネタで、いまでは高座にかける人がほとんどいない珍しい噺だ。
お金に困ったある女房が古着屋に買取を頼むが、僅かな傷により自分の想定より安い値段をつけられてしまい、その傷ひとつひとつの思い出を夢中になって語る。女房が思いを語るにつれて、現実と思い出の区別がつかなくなり発狂する様子に会場は笑いに包まれた。

仲入りを挟んで二席目にかけたのは、古典落語の『不幸者』。もともと上方落語の『茶屋迎い』が、東京に来て『不幸者』として口演されるようになった。道楽息子をお仕置きしようと、旦那みずから飯炊きの恰好をして茶屋で遊んでいる若旦那を迎えに行く噺だ。
前半の旦那と飯炊きの清造のおかしな掛け合いから、後半の茶屋へ行ってから、かつて囲っていた芸者・欣弥との対面パートの対比が素晴らしく、また欣弥との過去から現在にかけての男女の機微を絶妙な時間をかけて描くことによって、ふたりが再び男女の仲になることを期待させる場面に差し掛かったところで「若旦那様お帰りで~す!」と、見事な“間の悪さ”で素晴らしいサゲとなった。
本編を終えて、「相方の登場です」と橘さんを呼び込みトークコーナーへ。お互い友達が少なく、正業で食っていけなくなったら、名前を取って“蓮二・銀治”で漫才師としてやっていくなどと冗談も飛び出し、和やかな時間が進む。
そして、話は“蓮二・銀治”共通の趣味である「マンホールカード」の話へ。一時期メディアに取り上げられた「ダムカード」のように、「マンホールカード」も各自治体にて無料でもらえるカードで、それぞれご当地マンホールがカードとなっている。なんとこの日は、観客の中にも収集している人がおり、カードを見た“蓮二・銀治”のふたりは「あっ!」と、この日一番の声をあげ、笑いを取っていた。
最後は、銀治さんの公演の告知へ。3月1日(土) 東京・巣鴨スタジオフォーにて『桂銀治 ネタ下ろし一人会』を開催。今年一発目のネタ下ろしになることを告げて、お開きとなった。
<公演情報>
『桂銀治 ネタ下ろし一人会』
2025年3月1日(土) 東京・巣鴨スタジオフォー
開場 13:30 / 開演 14:00

■出演
桂銀治
【チケット】
予約:2,000円
当日:2,200円
詳細はこちら:
https://studiofour.sakura.ne.jp/
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