村瀬継蔵が遺した技術が今の特撮に生きている、若狭新一・三池敏夫・原口智生が追悼
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左から若狭新一、三池敏夫、原口智生
“怪獣造形界のレジェンド”と呼ばれた美術造形作家・村瀬継蔵が総監督を務めた特撮映画「カミノフデ ~怪獣たちのいる島~」の上映会が、本日2月11日に東京・調布市文化会館たづくり くすのきホールで開催。2024年10月に89歳で死去した村瀬の追悼上映として行われ、親交があった造形師・若狭新一、特撮美術監督・三池敏夫、造形師でアニメ特撮アーカイブ機構修復師の原口智生が登壇した。
「大怪獣ガメラ」「大魔神怒る」「ゴジラVSモスラ」など数々の作品に関わった村瀬が自身の長年の構想を初の総監督作として映画化した「カミノフデ ~怪獣たちのいる島~」。同作では主人公の朱莉が亡き祖父の残した映画企画「神の筆」をめぐり、同級生・卓也とともに冒険を繰り広げるさまが描かれる。鈴木梨央が朱莉、楢原嵩琉が卓也を演じた。
MCから「村瀬のすごさ」について尋ねられた若狭は「ウルトラマンなどに登場する怪獣や仮面ライダーの怪人、その造形を1週間ほどで作れるようにしたのが村瀬さん。映画ならではの作り方ではなく、テレビサイズでの造形技術のことです。日本ならではの造形技術を村瀬さんが開発し、それを制作会社や僕たちが継いでブラッシュアップしてきた。村瀬さんが教えてくれた技術が僕たちのベーシックなんです」と語る。
三池は「日本における怪獣映画の元祖は1954年の『ゴジラ』。村瀬さんはその頃から特殊造形に携わっていて、いろんな新素材を開発するんですよ。発砲ウレタンや透明のビニールホースを使ったものとかね。村瀬さんの貢献は日本の特撮史において非常に大きいと思います」と明かす。原口は「村瀬さんが作った怪獣の造形はとてもきれい。新しい材料を積極的に探したり、アイデアマンのような一面もある。創意工夫に長けていますよね」と続けた。
また「カミノフデ ~怪獣たちのいる島~」を鑑賞した若狭は「村瀬さんらしい作品だった」、三池は「80歳を超えられてから映画作りに挑戦する。すごいことです。ミニチュア特撮が非常に有効に入っていて、ここまでの映画が撮れるんだとびっくりしました。アナログのよさを生かした素晴らしい作品でした」と絶賛する。
原口は「“村瀬パパ”とご一緒した作品はないけれど、楽しんで仕事に取り組む姿勢は受け継いでいると思っています。『カミノフデ』は村瀬パパそのものを表現したような映画。偉大な大先輩です。この映画を観れば村瀬パパのことを思い出せる。皆さんもこの映画を大事にしていただけたら」と思いを馳せた。
©︎2024 映画「カミノフデ」製作委員会