尾上菊之助、襲名披露公演で坂東玉三郎・尾上丑之助と3人での「京鹿子娘道成寺」に喜び「大切な時間に」
ステージ
ニュース

尾上菊之助
八代目尾上菊五郎の襲名を控える尾上菊之助の取材会が、本日2月14日に東京都内で行われた。
菊之助は、既報の通り5・6月に東京・歌舞伎座で、7月に大阪・大阪松竹座、10月に愛知・御園座、12月に京都・南座、来年6月に福岡・博多座にて、息子で六代目菊之助を襲名する尾上丑之助と共に襲名披露公演を行う。会見の冒頭で菊之助は、5月の歌舞伎座公演が「五月大歌舞伎」から「團菊祭五月大歌舞伎」に公演名が変更となり、同公演の昼の部「京鹿子娘二人道成寺」が「京鹿子娘道成寺」に変わる旨を発表。なお、「京鹿子娘道成寺」は“三人花子にて相勤め申し候”として、3人の白拍子花子の共演によって演じられる趣向となり、花子を菊之助、丑之助に加え、坂東玉三郎が勤める。
玉三郎の出演に、菊之助は「ただありがたいの言葉に尽きます」と言葉に力を込める。菊之助は、3人の花子による「京鹿子娘道成寺」を、1992年に自身の祖父である七世尾上梅幸、父・七代目菊五郎と共に花子として舞ったことに触れ「当時は手も足も出ず、自分の至らなさを痛感いたしましたが、祖父と父に見守られながら『道成寺』に向き合えたことは、私にとって芸に向き合う姿勢の転換期となりました。今年は、祖父が没してから30年の節目となります。こうした3人での『道成寺』はなかなかかなわないと思っておりましたが、玉三郎のお兄さんに入っていただいたことで実現し、祖父もすごく喜んでいると思います」と笑顔を見せる。また「玉三郎のお兄さんは、女方の最高峰のお方。一緒に舞えることは、丑之助の将来にとっても、とても大切な時間になる」と瞳を輝かせ、「私自身、『二人道成寺』で玉三郎のお兄さんから教えていただいたことが『道成寺』の糧になっており、1人で挑むときも、玉三郎のお兄さんが隣にいらっしゃるつもりで踊ることがあります。大先輩と一緒に踊るということは、歌舞伎俳優にとって、何ものにも代え難い時間なんですよね。お兄さんも『(丑之助に)いろいろ話すね』と言ってくださり、楽しみです」と話した。
また菊之助は、「團菊祭五月大歌舞伎」にて、自身の襲名披露狂言となる「京鹿子娘道成寺」の前に、市川團十郎が武蔵坊弁慶、自身が富樫左衛門を勤める「勧進帳」の上演を希望している旨を明かし「初代菊五郎は、二代目の(市川)團十郎さんに見出され、江戸に出てまいりました。(歴代の團十郎と菊五郎の)さまざまな歴史的な観点からも、私が八代目を襲名した折には、ぜひ團十郎さんと舞台に立たせていただき、菊五郎のスタートを切りたいと思っておりました。襲名演目の前にそういった演目を上演することは異例ではございますが、現在は実現に向け、お願いしている最中でございます」と述べた。取材会では松竹より、「勧進帳」の上演は決定ではなく、現在調整中であることがアナウンスされた。
記者から、1996年に五代目菊之助を襲名してから今日までの実感を問われた菊之助は、しばし考えたのちに「私が菊之助を襲名したのは、18歳でした。(襲名披露公演では)昼夜で『弁天娘女男白浪』と『春興鏡獅子』を勤めましたが、自分で納得できる出来では到底なく、どうしたら先人たちのように舞台に立てるんだろう、というところからのスタートでした。そこから、先輩方より教えを受け、蜷川(幸雄)さんに出会い、新作歌舞伎を作る中で自分の至らなさをまた痛感し、そうして自問自答を繰り返した菊之助時代でございました」と話す。「菊之助は、菊五郎になるまでの修行時代でございます。今回、丑之助は11歳で菊之助を襲名させていただきますが、彼にとっても次の名前までの修行期間となります。芸に終わりはないですし、一生かけて鍛え上げていくものですから、千尋の谷に突き落とすような稽古をしつつ、焦らず、長い目で見守っていこうと思っております」と息子への思いを言葉ににじませた。
「團菊祭五月大歌舞伎」は、5月2日から27日まで、「六月大歌舞伎」は6月2日から27日まで歌舞伎座にて。「團菊祭五月大歌舞伎」のチケットの販売は、4月14日を予定。なお、3月31日には、12時より「襲名披露お練り」が東京・神田明神にて行われる。
%play_3044_v2% %play_3046_v1% %play_3047_v2% %play_3048_v2%