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ソーシャル・アントレプレナーシップ・プログラムから箱根駅伝まで、きらぼしグループと中央大学の包括連携に迫る

スポーツ

インタビュー

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(左から)藤井誠氏、米倉晶子氏、藤井拓輝氏

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JリーグのFC東京のオフィシャルパートナーとして知られるきらぼし銀行および東京きらぼしフィナンシャルグループは、いくつもの地元プロスポーツチームのスポンサードから地域のスポーツイベントの支援までスポーツに深い関わりを持っている。

昨年10月には中央大学陸上競技部を支援する一般社団法人CHUO EKIDEN CLUBとユニフォームスポンサー契約を締結。正月に『第101回東京箱根間往復大学駅伝競走』で5区途中まで首位を快走する中央大学のユニフォームに踊る「東京きらぼしFG」の文字を記憶している人も多いだろう。

今回は2021年3月に「包括連携に関する基本協定」を締結し、人的・知的資源の交流と活用を図り、相互に協力してきたきらぼしグループと中央大学の取り組みについて紹介。東京きらぼしフィナンシャルグループ 経営企画部 広報室・米倉晶子次長と、中央大学OBで戸田建設株式会社に勤める藤井拓輝氏、同じくOBで株式会社BuySell Technologiesに務める藤井誠氏の鼎談をお届けする。

――きらぼしグループがスポーツに取り組む際のスタンスを教えてください。

米倉氏「私たちは地域金融グループですので、地域や地域のお客さまとのつながりを大切にしています。スポーツには喜怒哀楽があり、勝っても負けても一体感の中で色々な感情を共有することができます。そんなスポーツの「つなぐ力」を信じ、さまざまなスポーツの協賛をさせていただいています。そして、スポーツが生む感動の根源は、アスリートの最後までやり抜く力だと思っています。」

米倉晶子氏

――FC東京との連携に合意したのはJ2降格となった2010年12月なのも、きらぼしグループらしさですよね。

米倉氏「そのタイミングは結果論なのですが、ファン・サポーターのみなさんの心に響いたようですね。今年の『箱根駅伝』では中央大学のユニフォームを見たFC東京のファン・サポーターの方にXで『大矢運送さんの下に東京きらぼしFG!熱いな(笑』とポストしていただきました。長く応援していることで、ファン・サポーターのみなさんにも愛着を持っていただけているのだと思います。」

――包括連携を結んでいる中央大学とはどのような取り組みをしているのでしょうか。

米倉氏「代表的な取り組みとしては、藤井拓輝さんも参加されていた『ソーシャル・アントレプレナーシップ・プログラム』で奥多摩三村(檜原村・小菅村・丹波山村)の地域課題に学生がアプローチしていくことに対して、企業版ふるさと納税を活用し講座への支援を行っている事と、3年前から起業家向けプログラムの講師を派遣させてもらっている事のふたつです。プラス、藤井拓輝さん、藤井誠さんのおふたりが所属されていた渡辺岳夫教授のゼミと様々な面で協働させていただいています。」

――昨年、渡辺教授にお話を伺った際、「きらぼし銀行さんはスポンサーではなく、パートナー」とおっしゃっていました。

米倉氏「いい循環ができていると思います。それは渡辺先生の求心力が大きいです。渡辺先生はスポーツ界のみならず、色々な人脈をお持ちで、さらにフットワークが軽く、さまざまな決断を迅速に行ってくださいます。きらぼしグループもスピード感を持ったチャレンジを心掛けているので、波長も合うのかなと思っております。」

――ぴあスポーツビジネスプログラム(ぴあSBP)のきらぼし銀行枠を藤井拓輝さん、誠さんが活用されたわけですが、そちらも渡辺教授との関係からでしょうか。

米倉氏「初年度はきらぼしグループが応援しているスポーツ団体の職員の方に受講いただきました。2年目以降はどなたに受講いただくのがよいか検討を進めている中で、どうしたら地域に還元できるかを社内で話し合い、意欲が高く、『将来スポーツビジネスを通じて地域を変えていきたい』『スポーツ界を変えていきたい』という人材がいるならば、その人材に投資した方がいいのではないかという結論に至り、渡辺先生に相談したところ、ゼミのOBの方に声を掛けていただきました。」

――おふたりはなぜぴあSBPを受けようと思ったのですか。

拓輝氏「大学時代は体育会で競技に取り組んでいたことや、コロナ禍で交友関係を広げられなかったこともあり、社会人になって人間関係が固定化していたことを課題に感じていました。そんな中で学生時代の恩師であった渡辺先生からぴあSBPのお話をいただきました。私自身、競技者としても観戦者としてもスポーツに興味があったことや、ぴあSBPでの学びがお仕事に生きる部分もあるかもしれないなと思い、ぴあSBPへの参加を決意しました。」

誠氏「私はもともとスポーツ関連に就職したいと思っていて、学生時代には渡辺先生の授業やゼミに参加していました。社会人になって別の業種に勤めているのですが、やはりスポーツ業界への思いは消えなかったので、即戦力になるためにスポーツビジネスの根幹を知って、今後羽ばたきたいという思いで参加させていただきました」

~藤井拓輝氏

――ぴあSBPで印象に残っている講義は何ですか。

拓輝氏「一番印象に残っているのが、スタジアムビジネスの講義です。鹿島アントラーズの春日洋平さん、横浜DeNAベイスターズの木村洋太さん、梓設計の永廣正邦さんの講義が印象に残っています。スポーツ施設が街に与える影響を、実際に創り上げてこられた方々の生の声を通して学ぶ中で、スタジアムやアリーナがまちに与える影響の大きさや、その価値を学ぶことができました。会社で建築について考える中でもぴあで学んだことはすごく生きているなと感じています。」

誠氏「私はスポンサーシップの講義が印象に残っています。学生の時、東京23FCと1試合提携して、集客する授業に参加していたのですが、当時はスポンサーと会うと『資金をください、こういう広告を出します』と一方的に話していました。ぴあPSBを通して、スポンサーのあり方を学びました。スポーツチームが相手企業に伴走していく、ともに課題を解決していく存在だと気付くことができました」

~藤井誠氏

――おふたりはスポーツの課題をどうとらえていますか。

拓輝氏「実体験に通じる部分もあるのですが、長距離ランナーが『箱根駅伝』で燃え尽きて、競技をやめてしまうケースが多いことを課題に感じています。陸上競技が稼ぎにくい背景を受けて、将来を見越して実業団の道に進まない選手や、実業団に進んだ後も将来を悩んでいる選手がいることを身に染みて感じています。解決策を見つけていくのは簡単ではないと思いますが、一度競技を諦めた身として、競技を選んだアスリートが安心して競技を継続できるような世界にできればなと思っています。」

誠氏「私がやってきたスポーツはバレーボールなので、競技人口も少なく、注目も集まらないのが課題だと思っています。今『春高バレー』を開催していますが、同じ高校スポーツの高校野球や高校サッカーに比べてメディアの露出が少ないですし、そもそも生中継をやっていなかったりします。せっかくオリンピックで人気になって、『SVリーグ』もスタートしたのですが、それが競技人口につながらないので、工夫していく余地はあるのかなと思います」

――さまざまな支援をされているきらぼしグループではスポーツを楽しむ文化、スポーツを応援する文化は育まれていますか。

米倉氏「FC東京の冠試合には毎年、多くの職員が応援に行きます。様々なスポーツ競技に協賛していますので、学生時代にやっていたスポーツなど、職員それぞれにとって馴染みのあるスポーツに出会える会社になっているのかなと思います。」

拓輝氏「それだけ社内で浸透しているのはすごいですよね。私の会社でもバレーチームやプロアスリートの支援を行っているのですが、きらぼし銀行さんほどスポンサーとして深く社内に浸透させていくのは簡単なことではないなと感じています。」

米倉氏「継続の力は大きいと思います。きらぼしグループの中でも特に根付いている協賛の一つがFC東京です。私も調布市民なので、もともとホーム感を持って応援しています。応援しているチームが負けると当然悔しいですが、FC東京に対する思いは勝ち負けを超越しているかもしれません。スタジアムの一体感は特別ですし、1万人、2万人と喜怒哀楽を共有できるのは現地観戦の醍醐味です。娘にも現地の熱をリアルに体験させたいと思い、ほぼ全競技に娘を連れて行ったことがあります。」

――拓輝さんは当事者として、今年の『箱根駅伝』はどのように観ていましたか。

拓輝氏「流石に卒業して3年経つと当事者というよりはファンの気持ちになりますね。5区で後輩が走る予定だったので、電車で移動しながら1区から2・3・5区と順番に現地で観戦しました。いきなり1区で飛び出し、どこまで行くんだと思ってたらどんどん行っちゃって、本当に強いチームになったなと感じました。『箱根駅伝』のあとに、コーチとも話したのですが、一般社団法人の組織運営の部分でもきらぼしさんにチームをサポートしていただいているそうで頼もしい存在だと言っておりました。来年以降も引き続きご支援いただけると嬉しいです。」

米倉氏「トップで走ったのは中央大学さんと青山学院大学さんだけですから、応援する方としても楽しく拝見させていただきました。中央大学さんにいただいたジャージを応接フロアに飾っているのですが、とても反響が大きくて。プロスポーツチームのユニフォームも並ぶ中で、お客さまからのリアクションが一番多いのが中央大学さんのジャージです。『箱根駅伝を見ました』とたくさん声を掛けていただきました。」

――おふたりから米倉さんに質問がありますか。

拓輝氏「スポンサードする価値をどうやって会社に表すのだろうと疑問に感じています。スポーツチームを支援することのメリットは数値化が難しいのではないかと思っているのですが、社内でどのように了承を得ているのですか」

米倉氏「メディア換算価値で説明できるのは限られたトップチームだけなので難しいですよね。最初に地域や地域のお客さまとのつながりを大切にしているとお話ししたのですが、その地域におけるチームの存在感や、スポンサー企業各社とのきらぼしグループのお取引状況、お客さまや職員の観戦人数など、営業面での効果を捉えたり、福利厚生の観点で見たりと、さまざまな検証をしています。」

誠氏「さきほど『箱根駅伝』でXの反響がすごかったというお話がありましたが、試合があるたびにSNSはチェックされているのですか」

米倉氏「SNSに関しては、風評リスクの所管部署として、どちらか言うとリスク管理の観点でチェックしています。冠試合開催時など、「きらぼし」の名前でどれだけ反応があるのか、ネガティブなコメントもポジティブなコメントも確認しています。ただ、特徴としてスポンサーに対してはポジティブな投稿が多いので、ありがたいです。冠試合で結果が出なかった時に、FC東京のサポーターの方が『きらぼし銀行Day、いい加減に勝たないと失礼じゃないか』というようなポストをしてくださったことがあります。ファン・サポーターの方もチームを一緒に応援している仲間だと思ってくれているのだなと嬉しくなりました。」

――おふたりは今後ぴあSBPで学んだことを生かしたいという思いはありますか。

拓輝氏「まだ会社で、というよりは個人的な構想段階ですが、ぴあSBPでの学びをまちづくりに生かしていければなと思っています。ぴあSBPの講義の中でも鹿島アントラーズの事例が印象に残っていて、スポーツを中心に地元企業や地元住民が一体となり、そこに全国のファンも集まって大きな輪ができているのだと感じました。建物を建てるゼネコンだからこそ、スポーツチームや様々な企業と一緒にそういったソフト面まで作り上げることができれば、すごく面白いんじゃないかと思っています。」

誠氏「自分が務めているリユース事業でどう関わっていけるかはわからないのですが、顧客対応として一人ひとりのお客様に寄り添う提案として、スポーツはすごく力になれるのではないかと思っています。また大学4年間サッカーの現場でアルバイトをして、お客さんの案内や警備など現場を知っているので、現場力と顧客対応力を生かせればと思っています」

――米倉さんからおふたりにメッセージはありますか。

米倉氏「藤井拓輝さんのぴあSBP受講後の報告会をお聞きしたときに『こんなにきちんと学んでくれたんだ』とびっくりしました。自分のものとして落とし込み、しっかりと人に伝えられるほど学びを深めてくれた藤井さんの姿を見て、ぴあSBPの意義を感じました。お二人がぴあSBPでの学びを、いつかアクションに結び付けるとき、きらぼしグループも協創したいですし、私がスポーツ協賛の担当者でいる間に実現するといいなと思っています。そして、このご縁が地域の未来を良くする“何か”につながることを願っています」

ぴあスポーツビジネスプログラム
https://fan.pia.jp/psb/

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