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中国でもマルチ商法が問題に 映画『石門』中国社会の暗部を垣間見る本編映像公開

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『石門』 (C)YGP-FILM

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2月28日(金) に公開される映画『石門』より、本編映像が公開された。

本作は、“中華圏のアカデミー賞”と称される台北金馬獎で日本資本の映画として初めて「最優秀作品賞」を受賞し、「最優秀編集賞」との2冠に輝いた作品。監督を務めたのは、中国湖南省出身のホアン・ジーと東京出身の大塚竜治夫妻で、これまでに女性の性に関する問題をテーマに『卵と石』『フーリッシュ・バード』を共同制作してきた。

ホアン・ジー&大塚竜治監督の演出スタイルは演技経験のないキャストを起用し、あらすじをベースに、出演者たちが実際に体験したリアルな出来事を物語に盛り込んでいくことが特徴だ。『石門』では、予期せぬ妊娠によって故郷に帰った主人公のリン(ヤオ・ホングイ)の両親を、ホアン・ジー監督の実の両親が演じている。母親役のホアン・シャオションは、飾らない自然体の演技が高く評価され、香港国際映画祭でヤオ・ホングイとともに最優秀女優賞を受賞している。

今回公開された本編映像は、妊娠していること知ったリンが、両親が経営する診療所に帰宅するシーンから始まる。営業中のはずの診療所には誰も居ない。「今どこに?」と母に電話をかけると、少しの間をおいて「集会よ。お父さんがいるでしょ?」と素っ気ない返事。父がいないと伝えると、「患者さんの家を回っているのね。私のところに来なさい」と娘を呼び出す。

指示された場所に到着したリンの目には、怪しげな集会をする人々の姿が飛び込んでくる。髪の毛を剃り上げた女性や、伸びかけの坊主頭の女性たちが、互いの頭や肩にクリームを塗りこみながら「賞品は10万元の価値がある高級外車だ。ボスも言ってるぞ、“わが社の商品を売ればもれなく家と車を手にできるぞ”」と、儲け話を意気揚々と語る男性の声に耳を傾けているのだ。どうやら一攫千金を謳うマルチ商法の集会のようだ。

「活力クリームの販売目標は5カ月で2千個。ひと月400個で十分だ。車をゲットして買い物や学校の送り迎えをしたら便利だろ。クリームを2千個、それから顔のパックも。車が欲しいならパックも600枚売るんだ」と、男の話は更にヒートアップしていく。その声に元気よく返事をする女性たちの異様な盛り上がりを見つめていたリンは、あきれた様子で母に冷たい視線を送るのだが。

実はこのシーンはあらすじには一切書かれていなかった。母を演じたホアン・シャオションが、実際に“活力クリーム”を売りさばくマルチ商法にハマってしまい、撮影中にもかかわらず髪の毛を剃り上げてしまったため、その現実を脚本に組み込んで撮影することで、より自然体の演技を引き出すことに成功したのだ。また、中国ではマルチ商法は法律で禁止されており、取り締まりの対象となっている。その被害は後を絶たず長年にわたって社会問題化している。昨年公開された俊英グー・シャオガン監督の『西湖畔に生きる』では、お茶の葉を摘むことで生活を営んでいた質実な母が、倍々ゲームを謳うマルチ商法によって全てを失う様が描かれていたように、本作でも現在の中国社会に潜む闇の一端が描かれている。

『石門』本編映像

<作品情報>
『石門』

2月28日(金) 公開

公式HP:
https://stonewalling.jp/

(C)YGP-FILM

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