のん&藤ヶ谷太輔が殺し屋バディに「普段の5倍話せたのは藤ヶ谷さんのおかげです」
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のん、藤ヶ谷太輔 (撮影/梁瀬玉実)
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カメラにチャーミングに微笑みかけるのんと、キリッとクールな佇まいを崩さない藤ヶ谷太輔。ふたりが挑んだのは、私たちの身の回りにもいそうな理不尽なことを押し付けてくる人間を殺し屋として始末する令和のダークヒーロー。パワハラ上司に悪質クレーマーを痛快アクションを交えてサクサクと始末していく姿に思わずスカッとするドラマ。それがDMM TV配信「幸せカナコの殺し屋生活」だ。
人を殺すことにためらいながらも隠された才能を開花させていくカナコを演じたのんとカナコの不愛想な相棒を演じた藤ヶ谷。殺し屋バディを演じた二人の相性は、抜群だったようで……。
バディを演じるためにコミュニケーションをとりました
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――お二人は今作で初共演ですが、お会いする前、お互いにどんな印象を抱いていたのかお聞かせ下さい。
のん お会いする前、テレビで拝見していた藤ヶ谷さんのイメージは、ちょっと怖くて、気軽に話しかけられないかもって思っていたんですよ。
藤ヶ谷太輔(以下、藤ヶ谷) えっ、そうなの?
のん パフォーマンスのイメージでそう思っていました。
藤ヶ谷 クールってことね?(笑)。
のん はい。クールなイメージだったんですけど、お会いしてみたら、誰にでも分け隔てなくフランクで優しくて、オープンな方でした。藤ヶ谷先輩と喋っていると、「私、人見知りが治ったんだ!」って勘違いしてしまって。試しに初対面の人と喋ってみたら、全然喋れなかったです(笑)。
藤ヶ谷 そうなの? のんちゃんは、フワッとしているイメージがあるよね。俳優業だけでなく、音楽やアートでも活躍されていたり、ファッションが好きだったり。いろんなことに興味がある方なんだろうなと思っていたら、本当にそのまんまでした。フワッとしているけど、泣きの芝居や怒りの芝居をする時は、お芝居の瞬発力がすごくて。お芝居が終わったら、またホワンとした感じに戻る(笑)。
――そうなんですね。お二人が演じたのは、殺し屋のバディ役ということで、現場ではたくさんコミュニケーションをとって挑まれたんでしょうか。
のん 普段の私から考えると、めちゃくちゃコミュ力高くコミュニケーションをとれたと思います。普段の5倍話せたのは、藤ヶ谷さんのおかげ。
藤ヶ谷 いえいえ。最初、全然噛み合わない2人が、だんだんちゃんとしたバディになってくストーリーなので、結構早めから、コミュニケーションを取っていた方がいいのかなと思って。でも、のんちゃんが、それを求めているかは分からないので、ちょっとずつ歩み寄っていきました。
のん 本当にお世話になりました(笑)。
藤ヶ谷 撮影の時は、結構いろいろ喋ったけど、それから時間が空いて、久しぶりに会見でお会いして壇上で喋ったら、全然噛み合わなかったよね(笑)。のんちゃんは、ちょっと期間が空いちゃうと人見知りが出ちゃうんじゃないかな。
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――今は息ぴったりなので大丈夫です(笑)。バディ感を出すためにお話しされたことはありましたか。
藤ヶ谷 朝1番に毎日監督が僕らのとこに来てくれたんですよ。他愛もない話をする中で、「今日はこういう風に撮ろうかなと思ってます」って説明してくれて。監督とのんちゃんと3人で喋る時間がすごく大事だったなと思います。
のん 監督は、私がパック中にお話して下さいました(笑)。
藤ヶ谷 「こうしてくれ、ああしてくれ」っていうことだけじゃなくて、こっちがどうしたいかも聞いてくれて、良かったなって。あの時間があったおかげで、すごくやりやすかった。
のん 本当にそう。カナコと桜井は、テンション感が違うので、監督が「お芝居のトーンが合ってなくていいです」っておっしゃっていて、それもヒントになりました。
藤ヶ谷先輩のアクションは本当にすごかったです
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――藤ヶ谷さんから見て、のんさんのカナコはどう映りましたか。逆にのんさんから見て、藤ヶ谷さんのクールな殺し屋の桜井のハマりぶりはどうだったのか、知りたいです。
藤ヶ谷 カナコはチャーミングなキャラクターなので、のんちゃんのふわっと感にマッチしていて。カナコが一人で結構暴走するんですけど、それがわがままじゃなくて、チャーミングなキャラクターに見えるのは、のんちゃんが演じたからこそ。
のん ありがとうございます。元々、藤ヶ谷さんはクールな印象だったので、桜井に合っているなと思いました。本当に素晴らしいくらい桜井役にぴったり。正直、漫画の桜井よりも今回台詞を減らしてますよね? 台詞のない、「‥‥」の時の自然な動きやしぐさ、佇まいで、桜井が何を考えてるのか伝わるように細やかに演じられてたので、すごいなって。
藤ヶ谷 1番最初の準備稿では、結構、桜井の台詞があって。おそらく気を遣っていただいたのかな? 桜井は、台詞が少なければ少ないだけ面白いんじゃないかと思って、それを監督に相談したら、台詞が今の量になった。のんちゃんがボケて、桜井が「殺すぞ」って一言だけツッコむのは、台詞が多いよりも逆にハードル高いお芝居が求められて大変でしたけど。
のん 本当にそうですよね。
藤ヶ谷 桜井の台詞がなく、「‥‥」のト書きの所は、首を傾げるとか、何かやっていても、僕の前に立っている俳優さんは気づかず。監督が「ここは桜井が1個芝居をやっているんで、ちょっと間を空けて待って下さい」って他の俳優さんに言って下さって助かりましたね。キャラを活かしてもらったなぁと。
のん そうだったんですね。藤ヶ谷さんが細やかに桜井を演じているのは分かっていましたけど、もしかしたら、見えてなかったとこもあるかもしれないです。監督に「ここは、ちょっと間をください」って言われたりしてました!
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――アクションシーンは、稽古を重ねて挑まれたそうですが、お互いのアクションぶりは、いかがでしたか。
のん 藤ヶ谷さんのアクション、本当にすごかったです。私は、アクション初挑戦なので、練習を重ねて「いい感じじゃん」って思えてきた時に、藤ヶ谷さんのアクションシーンの練習を見学したんです。自分よりもすごいアクションだったので、「えっ、こんなすごいことやってんの!?」ってビックリしたと同時に落ち込んだくらい。アクション俳優になってほしいくらい恰好良かったです。
藤ヶ谷 えっ、アクション俳優? 僕も本格的なアクション経験がないから、アクション指導の方に教わって練習して。アクションもバディものだと、お互いを利用したり、助け合ったり、一緒に組み合わせしたり。そういうアクションの立ちまわりは大変だったけど、楽しかったな。
のん ホント、面白かったですよね。コミカルなアクションシーンもあって、すごく特殊な印象です。
藤ヶ谷 ひとりで悪いやつをスピーディーに倒す、激しいシーンがあって。でも、その後ろでのんちゃんがアクション中にパッと消えたりする(笑)。僕がどれだけ頑張っても、カナコが美味しいところを持って行くのが面白い。監督に「またカナコに持ってかれてますよ」って言われましたね。
のん そうでした。桜井はこんな恰好いいことやってんのになぁって感じでしたね(笑)。でも、アクションシーンで桜井先輩がポンコツのカナコを操りながら、倒してく姿は、本当に恰好良かったです。
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――会話のテンポ感がスピーディーで面白いですが、監督とその辺りも話し合いましたか。
のん そうですね。藤ヶ谷さんと掛け合いしてみて、そのリズムに身を委ねました。
藤ヶ谷 監督に「ここはちょっと目線を」とか細かい指示があって。その通りにやってみると監督が本番にゲラゲラ笑ってるんで、音声さんは大変だったんじゃないかな。我々は、監督が笑ってくれるなら大丈夫かなって安心しましたけど。
のん 「クックックッ……」とかじゃなく、爆笑だったから、嬉しかったです。
藤ヶ谷 こっちが思わず笑いそうになるくらい、監督は楽しそうでした(笑)。
――笑いに溢れた和やかな現場だったんですね。
のん 藤ヶ谷先輩が盛り上げてくださったから。
藤ヶ谷 いやいや、別にそんなムードメーカーだった覚えはないよ。
のん くたびれて不機嫌になることってないんですか?
藤ヶ谷 あったとしても、普通はここで言わないんじゃない?(笑)。いや、現場が和やかだったのは、監督の空気感のおかげです。監督がピリピリした空気感を出されていたら、緊張感あるチームになるだろうし。
のん 確かにそうかも。
藤ヶ谷 本当に素敵な監督に出会えて良かったなって思います。
――ちなみに、のんさんは、藤ヶ谷さんのことを“藤ヶ谷先輩”って現場で呼ばれていたんですか?
のん 最初は「藤ヶ谷太輔先輩」って裏で呼んでいました。
藤ヶ谷 裏で?(笑)。
のん 裏で呼んでました!
藤ヶ谷 クランクイン前、作品のチームの皆さんとお祓いに行ったんですよ。神主さんが僕の名前を「藤ヶ谷ノ太輔」って読み上げたことで、のんさんチームの中で「恰好いい」ってなったんだよね? それからちょっと話すようになった時に、「じつは、私たちチームは、裏で藤ヶ谷ノ太輔さんって呼んでます」みたいなやりとりがあって(笑)。
のん そうでしたね。最初は、藤ヶ谷太輔先輩ではなく、「藤ヶ谷ノ太輔先輩」って呼んでました。
藤ヶ谷 長すぎるだろ(笑)。
のん ですよね。私も藤ヶ谷さんと一緒にお祓いをした時、のんはどうなるのかなって楽しみに待ち受けていたら、一拍置いてからの“のん”だったので、悔しくて(笑)。藤ヶ谷ノ太輔は、バシッと決まっていて、いいなってうらやましかったです(笑)。現場に入ってからは、「藤ヶ谷先輩」、最終的には裏で「ガヤ先輩」って呼んでました。
藤ヶ谷 裏っていうのは、スタイリストさんとかメイクさんチームのことでしょ。
のん そうです。藤ヶ谷先輩の前では呼んでなかったですけど、楽屋裏では、「ガヤ先輩、もう帰っちゃったよっ」みたいな感じでしたね(笑)。
「この人許せないな」と思う人は?
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――今作は痛快アクションコメディで、殺し屋が主人公の作品です。ちなみにお二人は、演じるにあたって参考にされた作品はありますか。
のん 『スナッチ』は何度も観ているくらい大好き。ちょっと乾いた世界観で、殺すのが面白いみたいな映画で。そこはポップな今作と共通していそうです。
藤ヶ谷 僕が演じた桜井みたいに喋らない殺し屋はなかなかいないんですよね。でも、好きなのは、「チェイサー」。韓国系の作品が好きです。何の躊躇もなくスピーディーに殺しをやるっていうところがクライムサスペンスならではの世界観なんです。
――カナコと桜井が狙うのは、ヤクザや犯罪組織ではなく、私たちの身近にいそうな許せない人です。おふたりは、「この人、絶対許せない!」と思ったことは?
のん 私は意図的にぶつかってくる人が許せない(笑)。高校生の時は、よくあったんですよね。道が混雑しているわけでもないのに正面から歩いてきたサラリーマンの方に、ボーンってぶつかって来られること。
藤ヶ谷 えっ、カナコみたいじゃん(笑)。
のん そうなんです。何度もやられたんで、意図的にぶつかってくる人が分かるようになって、踏ん張って吹っ飛ばしたことがあります。あと、満員電車で突然「ブス」って言われたり。
藤ヶ谷 マジ? 芸能界に入って、のんになるか、殺し屋になってカナコになるか、分かんない人生だったんだ?(笑)。
のん いや~、殺し屋にならない人生で良かったです。
藤ヶ谷 許せない人かぁ。昔お世話になった年下のマネージャーさんかな。空き時間があるから、「これ食べに行こうか」って言った時にそのマネージャーさんは「いいですねぇ」って指パッチンと鳴らして、人に指を刺してくるの。(実際にやってみせる)僕、それがすげぇムカついて。番組でコントやる時に人をイラつかせる時のネタでそれを使わせてもらいました(笑)。
今ふたりが開花させたい才能は?
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――主人公のカナコが殺し屋としての才能をどんどん開花させていくストーリーにかけて、今、開花させたい才能が知りたいです。
藤ヶ谷 なんだろうなぁ。台詞をぱっと覚えられる才能が欲しい(笑)。パッて1度速読した瞬間にもう頭に入る、みたいな。まぁ、今回の役は、台詞が少なかったから、必要はなかったですけど、『ドラえもん』の暗記パンみたいに食べた瞬間に台詞を全部覚えられるぐらいの勢いで覚えられたらいいなって。もし記憶効果を高める飲み薬があったら、買っちゃいそう(笑)。
のん ふふふ。私は運動の能力がないので、これから開花させたいです。運動音痴ってわけではないですけど、体育の授業は得意じゃなかったですし、自分でも動きがもったりしている気がするので(笑)。最近は、身体を鍛える系のトレーニングはしていなくて、20歳を過ぎてからバレエを始めたわりに身体の柔軟性がないんですよね。180度に足が開くようになりたい! あと、ケンカも強くなりたい! 開花させたいこと、いっぱいあります(笑)。
――最後に観る人をスカッとさせる作品にかけて、最近、爽快な気分になったエピソードを教えて下さい。
藤ヶ谷 コーヒーマシーンを新たに買ったんですよ。慌ただしくなりがちな朝の時間に、そのマシーンでコーヒーを丁寧に煎れている時間は、贅沢でいい時間なのかなって。気分爽快っていうか、朝からリフレッシュできるひと時ですね。
のん 私は、普段はある程度、お部屋を片づけるほうなんですけど、年末は家が散らかってしまって。洋服が積み上げた状態で、ごちゃっとしてしまっていたんです。お正月にお母さんと妹がうちに来てくれて、大掃除をしてくれたおかげで部屋がめちゃくちゃ綺麗になって、スカッと気分爽快でした。物が多いので、部屋をキレイにキープし続けられたら爽快です!
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DMM TV配信「幸せカナコの殺し屋生活」
2月28日(金)より配信開始
https://info.tv.dmm.com/original/pre-membership/kanako/
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撮影/梁瀬玉実、取材・文/福田恵子
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