『TBSドキュメンタリー映画祭 2025』小川彩佳らスペシャルサポーター発表
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左より)荻上チキ、小川彩佳、矢田部吉彦
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すべて見る3月から4月にかけて全国6カ所で開催される『TBSドキュメンタリー映画祭 2025』のスペシャルサポーターが発表された。
本映画祭では、現代を取り巻く重要な社会問題を考える「ソーシャル・セレクション」、多様な生き方や新たな価値観を見つめる「ライフ・セレクション」、表現者や歴史的発見を通して新たな感性に出会える「カルチャー・セレクション」の3つのテーマに沿って、14作品を選出。あわせて、戦後80年企画と題して、戦時下や戦後を生きた人々を映した3作品を特別上映する。
上映作品の魅力を発信するスペシャルサポーターには、テレビ朝日『サンデープロジェクト』『報道ステーション』など報道・情報番組を中心に担当し、現在はTBS『news23』のメインキャスターとして活躍する小川彩佳、メディア論を中心に、政治経済、社会問題、文化現象まで幅広く論じる評論家である荻上チキ、そして映画の配給と宣伝を手がける一方で、ドキュメンタリー映画のプロデュースや、フランス映画祭の業務に関わり、2004から15年以上にもわたり、東京国際映画祭の上映作品選定の統括を担当してきた矢田部吉彦の3名が就任した。
小川彩佳は、「“タイパ”の時代、効率を求め、興味のあることだけに時間を費やしがちです。その流れに逆らうように存在するのが、ドキュメンタリー映画といえます。膨大な取材をもとに積み重なる映像の時間。現代のスピード感とはかけ離れたものといえます。しかしいったん触れれば、いつの間にか引き込まれ、心が揺さぶられる。圧倒的なリアルの力、取材者の熱量」と、せわしない現代におけるドキュメンタリー映画の存在意義を、ニュースに携わる者としてコメント。
荻上チキは、「ドキュメンタリーに没入するという経験は、その社会問題を擬似体験するかのよう。数時間を超えるドキュメンタリーのために、映像関係者らは、数百時間を超える取材、撮影、編集などを行う。それだけの熱量ある映像はそれ自体として希少であるが、今回の出展作品は、いずれの作品も問題提起の力が鋭い」と、圧倒的な時間や手間を掛けて社会問題を提起するドキュメンタリーの必要性を説いている。
矢田部吉彦は、「『巨大蛇行剣と謎の4世紀』では歴史と考古学への好奇心が刺激され、自身で旅立ちを選択した人物の稀有なポートレートである『彼女が選んだ安楽死』は、激しく心を揺さぶられるとともに、日本の硬直化した制度に一石を投じる極めて重要な作品であり、本映画祭の核となる1本だろう。社会への厳しいまなざしとしては『誰のための公共事業』も必見であり、さらに『クマと民主主義』は、クマの駆除対策を通じて行政と民間の難しい関係が可視化され、社会を考える見事な窓となる作品」と、個々の作品についての見所を述べた。
<スペシャルサポーター コメント>
■小川彩佳(『news23』メインキャスター)
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皆さんは、仕事や学校、家事から解放された時間を、どのように過ごしていますか? ショート動画を次々と再生、ソファーに座ってネットショッピング、SNSをなんとなくスクロール。そんな時間の使い方、してしまいますよね。
「タイパ」の時代、効率を求め、興味のあることだけに時間を費やしがちです。その流れに逆らうように存在するのが、ドキュメンタリー映画といえます。
膨大な取材をもとに積み重なる映像の時間。現代のスピード感とはかけ離れたものといえます。しかしいったん触れれば、いつの間にか引き込まれ、心が揺さぶられる。圧倒的なリアルの力、取材者の熱量。1.5倍速では捉えきれない行間の余韻、表情の機微、温度。それらがそっと心に響き、物語の終わりに、ふと気づくのです。画面の向こうにいたはずの「誰か」は、「自分」なのだと。作品を監督する記者たちは、私の仕事仲間でもあります。伝えたい思いを放送の枠に収めようともがいてきた彼らが、映画という形で思いを解き放つ。その瞬間を、私も心待ちにしています。まだ見ぬ世界を、一緒に体験しましょう!
■荻上チキ(評論家、TBSラジオ『荻上チキ・Session』パーソナリティ)
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ドキュメンタリーに没入するという経験は、その社会問題を擬似体験するかのよう。困惑するような実態に圧倒されながら、「こんな出来事があってね」と人に話したくなる。諫早湾干拓事業、関西生コン事件、群馬の森の朝鮮人追悼碑撤去。メディアで触れたニュースが、ドキュメンタリーによって顔が見えるようになる。北海道のクマハンターをめぐる地方自治、南米アマゾンで広がるメチル水銀中毒(水俣病)。知らなかった出来事が、具体的な景色とともに刻まれる。数時間を超えるドキュメンタリーのために、映像関係者らは、数百時間を超える取材、撮影、編集などを行う。それだけの熱量ある映像はそれ自体として希少であるが、今回の出展作品は、いずれの作品も「問題提起の力」が鋭い。数々の作品を浴び、語らいに参加してほしい。ドキュメンタリー映画祭という場は、間違いなく豊かな向き合いの場になってくれる。
■矢田部吉彦(前東京国際映画祭ディレクター)
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TBSドキュメンタリー映画祭のバラエティの豊かさには驚かされる。『巨大蛇行剣と謎の4世紀』では歴史と考古学への好奇心が刺激され、巨大な「蛇行剣」とはそもそも何なのかを解明する過程で、資料が無いが故に「謎の4世紀」と呼ばれる時代の社会の様相が浮かんでくる様がスリリングで堪らない。自身で旅立ちを選択した人物の稀有なポートレートである『彼女が選んだ安楽死』は、激しく心を揺さぶられるとともに、日本の硬直化した制度に一石を投じる極めて重要な作品であり、本映画祭の核となる1本だろう。社会への厳しいまなざしとしては『誰のための公共事業』も必見であり、巨大な公共事業の無残な「大失敗」の例を知ったならば、愕然とする気持ちを抑えることは出来ないはずだ。さらに『クマと民主主義』は、クマの駆除対策を通じて行政と民間の難しい関係が可視化され、社会を考える見事な窓となる作品であり、編集やナレーションや音楽のセンスも含めて最高の完成度を誇る1本である。
<イベント情報>
『TBSドキュメンタリー映画祭 2025』
3月14日(金)〜4月3日(木) 東京・ヒューマントラストシネマ渋谷
3月28日(金)〜4月10日(木) 大阪・テアトル梅田
3月28日(金)〜4月10日(木) 愛知・名古屋センチュリーシネマ
3月28日(金)〜4月10日(木) 京都・アップリンク京都
3月28日(金)〜4月10日(木) 福岡・キノシネマ天神
4月5日(金)〜4月11日(金) 北海道・シアターキノ
公式サイト:
https://tbs-docs.com/2025
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