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『ミッキー17』主演&監督インタビュー。「こんな脚本はこれまで読んだことがない」

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『オクジャ/okja』『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督の最新作『ミッキー17』が3月28日(金) から公開になる。本作は何度も“死んでは生き返る”任務についてしまった主人公の逆襲を描くエンターテイメント作品。『ライトハウス』『THE BATMAN-ザ・バットマン-』など近年、意欲的なプロジェクトに数多く取り組んでいるロバート・パティンソンが主演を務めた。

監督は語る。「この映画では、ある時期に起きた特定のこと、あるいは私たちがニュースで毎日見る特定の問題ではなく、歴史の中で繰り返し起きてきたことに焦点を当てたつもりです」

本作の主人公ミッキーは、とにかく運のない男、凶暴なわけでも圧倒的な悪党でもないが、ちょっとした悪さをしたことをきっかけに追い詰められ、地球から逃亡。そこで得たのが“何度も生まれ変わる夢の仕事”だ。しかし、それは過酷な環境に放り込まれては死んではまた生き返る仕事だった。さらにどん底に落ちたと思った17番目のミッキーの前に、なんと18番目のミッキーが出現。彼は人生を取り戻すために逆襲を開始する。

原作は米作家エドワード・アシュトンの小説『ミッキー7』。ワーナー・ブラザース映画と、デデ・ガードナー、ブラッド・ピットらが率いる制作会社プランBから監督のもとにプロジェクトが持ち込まれたという。

「最初に要約を読んだ時から、ミッキーのキャラクターに強く惹かれました。彼を通じて現代の若者、現代の労働者階級を描けると思ったからです。原作のミッキーはもっとインテリで、歴史学者という設定でしたが、現代の若者、ワーキングクラスの人たちがもっと共感しやすいキャラクターにできると思いました。なにせ、彼の仕事は、毎日死ぬことなのですからね。そのこと自体、すごく興味深いです」

これまでもポン・ジュノ監督は繰り返し、社会の片隅で光を当てられていない人物、何の支援もないままの人たち、苦しんでいるのに無視されている人たちを描き続けてきた。そして『オクジャ/okja』ではその視線が人間だけでなく動物たちにも及んでいる。

「この映画では、ある時期に起きた特定のこと、あるいは私たちがニュースで毎日見る特定の問題ではなく、歴史の中で繰り返し起きてきたことに焦点を当てたつもりです。

『グエムルー漢江の怪物―』では、政府から何の手助けもしてもらえない家族を描きました。『スノーピアサー』でも、やはり力を持たない階層の人たちを描きました。この映画のミッキーのジャーニーにも、そこに通じるものがあります。ミッキーも権力を持ちません。彼には何の権限もありません。私は“なぜ?”と問いかけます。なぜ私たちは、力のない階層の人たちを目にし続けているのか。私たちはしょっちゅう未来や、テクノロジーの進化について語ります。社会は前進しているはず。なのに、どうしてここは向上しないのでしょう? この物語はそこを探索すると思います」

私たちの社会や歴史、日々の暮らしに確実に存在する深刻な問題に目を向ける。ポン・ジュノ作品はそんなシリアスな題材を一級のエンターテイメントと完全に並行して描いてしまうところに魅力がある。本作もロバート・パティンソンが“使い捨て”のミッキーに扮し、場面によってはミッキー17とミッキー18を演じ分け、観客をスクリーンに釘付けにする冒険を繰り広げる。「僕はポン・ジュノ監督の作品の大ファンでした」とパティンソンは語る。

「『殺人の追憶』を観たのは随分前ですが、あの映画はずっと心に残ってきました。あの映画の役者たちの演技はすばらしかったです。優れた演技が出てくる映画を観ると、その監督と仕事をしたいと、僕はいつも思うのです。その人と仕事をしたら、僕にもそのレベルの演技ができるのではないかと思うから(笑)。

それに、彼はフィジカルなコメディをやるのがとてもうまいです。僕はあまりそういうのをやったことがなかったですし。そんなところへこの脚本が現れて“こんなものはこれまで読んだことがない”と思いました。これはすばらしいプロジェクトになると、僕はすごく興奮しました」

次から次へと新しい展開と笑いが起こる中、ミッキーは逆襲に向けて行動する。パティソンは「この映画でミッキーが一番嫌う質問は“死ぬとはどういう感じなのか?”です」と語るも、こう考察する。

「ほとんど死にかかって生き返った人には“すごく神秘的な経験をした”と言う人もいれば、“何も起きなかった”と言う人もいます。そんな人を見ると“どんな体験だった?”と聞きたがりますが、それは説明できないことなのではないでしょうか。“生まれる前はどうだった?”と聞かれるのと同じ。それをみんなから常に聞かれるのだとしたら、すごく奇妙な感じがするでしょうね。

僕自身はというと、命に関してはすごくシンプルな考えを持っています。文字どおり、朝起きたら何が起きるのか? それだけです」

<作品情報>
『ミッキー17』

3月28日(金) 公開

(C)2025 Warner Bros. Ent. All Rights

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