ミュージカル「昭和元禄落語心中」開幕、山崎育三郎「日本のミュージカル界に新しい風を吹かせたい」
ステージ
ニュース

左から黒羽麻璃央、古川雄大、山崎育三郎、明日海りお、中村梅雀。
山崎育三郎、明日海りお、古川雄大らが出演するミュージカル「昭和元禄落語心中」が、本日2月28日に東京・東急シアターオーブで開幕する。これに先駆け、昨日27日に囲み取材とフォトコールが行われた。
本作は、雲田はるこのマンガ「昭和元禄落語心中」(講談社)を、小池修一郎が脚本・演出、小澤時史が作曲・音楽監督を担いミュージカル化するもの。戦前から平成に至る落語界で、芸に打ち込む者たちの業や愛憎、因縁が浮き彫りにされる。山崎と古川は、それぞれ落語家の初太郎(助六)と菊比古(八代目有楽亭八雲)、明日海は助六と八雲の2人の間に立つ芸者・みよ吉を演じる。
フォトコールでは、山崎と古川によるメイン曲「落語心中」の歌唱披露が行われた。パフォーマンスは、舞台中央にせり上がった一室で、落語を披露する初太郎と、その姿を瞳を輝かせながら見つめる菊比古のシーンからスタートし、そこからシームレスに歌唱へと移り変わった。「落語心中」は、若き初太郎と菊比古の落語を愛する気持ちを乗せたポップなナンバー。山崎は、落語の才能あふれる初太郎を、軽やかな立ち居振る舞いと歌声で表現し、古川は艶っぽさのある菊比古を、品の良い身のこなしとしっとりとした歌声で立ち上げる。2人は声を合わせながら、「落語となら心中したって構わない」と伸びやかに歌い上げた。
囲み取材には、山崎、明日海、古川、そして八代目八雲に弟子入りすることになる与太郎役の黒羽麻璃央、初太郎と菊比古の師匠である七代目有楽亭八雲役の中村梅雀が出席。山崎は、2018年にNHKで放送されたテレビドラマ版の「昭和元禄落語心中」に同じ役で出演していたことに触れつつ、「当時の自分が感じた『この作品はミュージカルにしても魅力的なのでは』という直感と妄想が、こうやって形になり、いよいよ初日を迎えることにワクワクしております」と瞳を輝かせ、「原作が壮大なストーリーですので、それを3時間以内のミュージカル作品としてまとめるという作業が一番大変でしたが、お客様にどのように受け止めていただけるか楽しみです」と話した。
明日海は「みよ吉は、助六と八雲という仲の良い2人の関係を、ちょっとこじらせさせるタイプの役。繊細に、自分らしく楽しんで演じられれば」と語る。また報道陣から着物姿を絶賛されたあと、演技で意識した点を問われると「所作を美しくすることを意識しました。また首のラインや指先も美しく使えたらいいなと思い、日本舞踊の先生に指導をお願いしたり、いろいろな絵を観て研究しました」と明かす。古川は「八雲は、元々踊りをやっていたのですが、足のけがでできなくなり、落語と出会うお役です。天才である助六の影響を受けながら、葛藤しながら落語を背負っていくというお役です」と自身の役どころを紹介したあと、「『落語心中』を通して、落語の魅力を伝えていけたら。また、役を通して落語を披露することもそうですが、作品の中で年齢も重ねていくので、そういったところを落語で表現するのがすごく難しい」と苦労を言葉ににじませる。
黒羽は、自身の役について「このお二人(山崎、古川)の“約束”の穴を埋めるような存在でありつつ、ここにはいない松田さん(金井勇太)や小夏(水谷果穂)と共に、どちらかというと“現代パート”を担うキャラクター」と説明。また黒羽は「僕は、座組の中では最年少のほう、かつ、今回演じるのは“弟子”というポジションなのですが……。自分の年齢的に、そろそろタイムリミットが迫っている役どころだと思っています(笑)。今回は甘えられる先輩方がたくさんいらっしゃいますので、1つでも多く技術を盗んで帰りたい」と意気込みを述べた。梅雀は「私はこの人たち(山崎、古川)の師匠の役ですが、七代目八雲が自身の大名跡をどうするか、というのも物語の軸となっています」と話す。さらに梅雀は「こう見えて私、噺家の役をやるのは初めてなのですが、実は私の父・中村梅之助の母親のお父さんが、二代目談洲楼燕枝という噺家。今回お話をいただいたとき、『ついに噺家の役が来たな』と」とニヤリと笑った。
山崎は、楽曲について「それぞれのキャラクターに合わせた音楽が披露されます。例えば助六はすごくパワフルでエネルギッシュなキャラクターなので、ロックサウンドになっていたり、“和”の要素だけではなく、いろいろなジャンルの音楽を楽しんでいただけるのでは」と述べる。また、稽古場に原作者である雲田が訪れたことを明かし、「通し稽古を観ていただいたあと、『落語とミュージカルが、こんなにマッチするなんて』という言葉をいただいて、すごくうれしかったです」と笑顔を見せた。最後に山崎は「今回このような形で、日本のチームで0から作ったものをお客様にお届けできることが、自分としても光栄な気持ちでいっぱいです。日本のミュージカル界に新しい風を吹かせたい思いで、この作品にみんなで挑んでおります。ぜひこの劇場で体験していただければ」と来場を呼びかけ、会見を締めくくった。
上演時間は休憩ありの約3時間10分で、東京公演は3月22日まで。その後、大阪・フェスティバルホールで29日から4月7日まで、福岡・福岡市民ホールで4月14日から23日まで上演される。
%play_1988_v3%