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代表作「星座」シリーズからFCバルセロナのポスターまで 大回顧展「ミロ展」開幕

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「花火I、II、III」

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東京都美術館(上野)で3月1日(土) より開催される「ミロ展」の開幕を前に報道陣・関係者向けの内覧会が開催。ミロ財団のマルコ・ダニエル館長が来場し、東京都美術館の髙城靖之氏による作品解説が行われた。

ピカソ、ダリと並びスペインの三大巨匠のひとりに数えられるミロ。太陽や星、月など自然の中にある形を象徴的な記号に変えて描いた、詩情あふれる独特な画風は日本でも高い人気を誇るが、そんなミロの代表作〈星座〉シリーズをはじめ、バルセロナ以外での展示は40年ぶりとなる「太陽の前の人物」、日本初展示となる「花火」などの傑作の数々が世界中から集結した。初期から晩年までの各時代を彩る絵画やポスター作品、陶芸、彫刻、テキスタイル、オブジェなどを包括的に紹介する大回顧展となっている。

挨拶に立ったダニエル館長は、1966年にミロが東京と京都での個展開催のために初めて来日した際に発したという「長い間、日本を夢見ていた。いまは日本の文化や芸術を深く学びたい。とりわけ絵巻の絵画的な様式と詩に興味がある」という言葉を紹介したが、今回の個展は、その1966年以来、約60年ぶりの日本での大規模な回顧展となる。

同美術館の髙城氏も、1983年に90歳で没するまで、約70年にわたって創作活動を行なったミロについて「その間に作風を変化させていて、いろんな作品を創作しているので、同じ時代であっても全然違う表現を試みています」と語り、「これまで、日本ではひとつの時代やテーマに絞って、多面的なミロの一面を深掘りするような展覧会が多かったと思いますが、今回は久しぶりに画業の全体を振り返って、彼の全体像を見ていただくものになっています」と今回の大回顧展の意義を強調する。

展示は5つの章で構成されており、「第1章 若きミロ:芸術への決意」では、初期の名作「ヤシの木のある家」などを展示。1893年にバルセロナで生まれ、父の強い勧めで望まぬ会計の仕事に就くも心身に不調をきたし、両親が別荘を所有するモンロッチで療養することになったミロ。両親の許しを得て画家への道を歩み始めた彼が、キュビスム、フォーヴィスムやセザンヌの影響を受けながら描いた初期の具象的な風景画や緻密に風景を描写した細密画が並ぶ。

第1章_自画像(1919)

続く「第2章 モンロッチ – パリ: 田園地帯から前衛の都へ」では、1920年に初めてパリを訪れて以降の1920年代の作品を中心に展示。それまでの具象的な作品から徐々にモチーフが記号化、デフォルメされたものへと作風が変化。さらにシュルレアリズムの詩人たちとの交流を経て、詩と絵画の共存、融合という独特の表現を確立し、パリの画壇でもシュルレアリズムの画家として人気を博すことになる。同展では「絵画=詩(おお!あの人やっちゃったのね)」、「絵画=詩(栗毛の彼女を愛する幸せ)」などが展示されているほか、そうして人気画家となったミロの絵画のマーケットや伝統への反発心――“反絵画”の作品の数々も見ることができる。

第2章_オランダの室内 I

「第3章 逃避と詩情:戦争の時代を背景に」で展示される作品群には、1936年に勃発したスペイン内戦が深く影を落としている。この時期に彼が描いたのが、代表作である「星座」シリーズ。「厳しい状況に置かれた画家が、現実を超えたその先の希望を描いた」(髙城氏)という23点からなるシリーズのうち、本展では「明けの明星」、「女と鳥」、「カタツムリの憐光の跡に導かれた夜の人物たち」の3点が展示されている。

第3章_カタツムリの憐光の跡に導かれた夜の人物たち

「第4章 夢のアトリエ:内省を重ねて新たな創造へ」で紹介されるのは戦後の作品群。パリからスペインに帰ったミロだったが、アメリカでその人気が高まりを見せ、戦後にはミロ自身も渡米し、アメリカ人の画家たちから大いに影響を受けることになる。またマジョルカ島にアトリエを完成させたこともあって、自身の活動を見直すことになる。

第4章_絵画(エミリ・フェルナンデス・ミロのために)

最終の「第5章 絵画の本質へ向かって」では1970年代以降の晩年の作品を紹介。既に世界的な巨匠として名を成していたが、創作意欲は収まることなく、様々な新たな技法にも挑戦。カンヴァスに絵を描いた後にガソリンをしみ込ませて火をつけた「焼かれたカンヴァス2」、「花火I、II、III」などの80代を超えてからの大作を堪能することができる。

第5章_焼かれたカンヴァス2

本展では他にも、故郷のカタルーニャを抑圧するフランコ独裁政権に対抗する政治的・文化的取り組みとして、ミロが作成したポスターの数々も展示。カタルーニャの象徴ともいえるサッカークラブ・FCバルセロナの75周年を記念した「バルサ FCバルセロナ75周年」などが展示されている。 なお、音声ナビゲーターをEXILE/三代目J SOUL BROTHERSの岩田剛典が、ナレーションを声優の坂本真綾が務めている。

「ミロ展」は東京都美術館にて7月6日(日) まで開催。

取材・文・撮影/黒豆直樹
※記事内の写真は全て同展の内覧会展示風景を、許可を得て撮影されたものです。

<展覧会情報>
ミロ展 Joan Miro

日程:2025年3月1日(土) 〜7月6日(日)
会場:東京都美術館

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/miro2025/

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