万博にちなんだ宝塚OGのスペシャルショー EXPO2025『未来へのOne Step!~世界を結ぶ愛の歌声~』
ステージ
インタビュー


左から安寿ミラ、真琴つばさ (撮影/石阪大輔)
4月13日(日) に開幕するEXPO 2025大阪・関西万博。その敷地内に建てられたEXPOホール「シャインハット」にて、4月29日(火・祝) から5月1日(木) まで、宝塚歌劇団の元トップスターらが出演する『未来へのOne Step!~世界を結ぶ愛の歌声~』が上演される。宝塚の楽曲だけでなく、海外ミュージカルの名曲やシャンソン、ジャズ、ポップスのスタンダードナンバーまで盛り込んで綴られるスペシャルショー。万博公演では、1970年の大阪万博から現在までの軌跡をたどりながらノンストップの1幕で構成。その後の東京国際フォーラム(5月17日(土)~20日(火))と梅田芸術劇場(5月25日(日)~27日(月))での公演は、さらに宝塚の名曲を追加し2幕構成で贈る。メインキャストとして出演する安寿ミラと真琴つばさに話を聞いた。
万博と宝塚の縁は深く、55年前の大阪万博でも『タカラヅカEXPO’70』が上演されたほど。実はこの作品で初舞台を踏んだのが、元雪組トップスターで現在は女優として活躍する麻実れい。本作では“語り部”役として登場し、現在までの軌跡をたどる(大阪・関西万博公演のみ出演)。
安寿は「まさか自分が万博に関わらせていただくとは思わなかったので、出演できて本当に光栄です。それに麻実さんは万博と宝塚の象徴のような方。出てくださると知って嬉しかったですし、やっぱり安心できますね」と話す。真琴もうなずきながら、「麻実さんの期は70人もいらして(※現在は40名前後)、音楽学校の予科室に入りきらなくて大変だったそうなんです。そんな当時を知る麻実さんが語り部をされるのは貴重ですし、宝塚OGが万博で上演することの意味を改めて感じています」と話す。
万博での公演に限っては、万博の入場券を持っていれば予約のみで観劇できる。国内外を問わず“宝塚”を知らない来場者も多く見込まれるため、世界各地のスタンダードナンバーや、『ME AND MY GIRL』『エリザベート』など名作ミュージカルの曲も多くピックアップ。また会場の「シャインハット」は円形劇場ということもあり、ライブ感あふれるステージになりそうだ。
「“万博にゆかりある国々を巡る”がテーマのショーなので、皆さんご存じの曲ばかり。宝塚に馴染みのない方にも安心して観ていただけると思います」と語る安寿。真琴も「海外からいらして、たまたま来てみたという方もきっといらっしゃいますよね。それでも音楽なら万国共通ですし、スタンダードナンバーが入り口となって楽しんでいただけるかと」と自信をのぞかせる。安寿が「コンサート会場のようなステージなので、お客様もライブのように一緒に盛り上がってくれたら嬉しいな」と言うと、真琴も「お客様も共演者! ですよね」とうなずくなど、初めて体験する会場を楽しみにしている様子だ。
一方、ファンにとって気になるのが宝塚作品のナンバー。
「私とマミ(真琴)が参加したロンドン公演(1994年)の『ミリオン・ドリームズ』からも、何曲かお届けします。今回はロンドン公演に行ったOGが6人出演するので当時の配役のままで出るシーンもありますし、当時は踊っていたけれど今回は歌う役になったりと意外な配役もあるから、そこが見どころかな」という安寿。
「宝塚ファンの方にとっては懐かしさもありつつ、新鮮な驚きもあるかもしれないですね。そういえば稽古場でヤンさん(安寿)があるシーンの譜面を渡されていて、当時は踊っていらしたから、歌は初見なのでは? と思いながら見ていました(笑)」と真琴が言うと、安寿がすかさず「難しい! だからあの日はキーの音取りだけして帰ってきた……」と冗談めかして返すなど、テンポのいいやりとりに仲の良さがにじむ。それもそのはず、真琴が月組でトップスターになる前、初舞台から9年間所属していたのが花組。その頃花組でトップスターに就いていたのが安寿だ。
「当時の花組は、のちにトップスターになる下級生(真矢ミキ、愛華みれ、真琴つばさ、紫吹淳、姿月あさと、匠ひびきら)がたくさんいましたね。だからマミは“月組のトップスターさん”なのに失礼なのだけど、いつまでも自分のところの下級生という感覚になってしまって」と笑う安寿。真琴が「私もそうですよ。自然と当時の“25歳”になってしまうから、ヤンさんといるととても安心します」と真顔で答えると、安寿が「(25歳ではなく)しっかり成長しているけどね」とまたツッコみ、笑い合うひと幕も。この変わらないあうんの呼吸も、宝塚OG公演の魅力だろう。
宝塚の魅力と共に、OGならではの大人のパフォーマンスを
万博での公演後は、東京国際フォーラムと梅田芸術劇場公演が控える。ファンにとっては胸が熱くなるような宝塚の名曲やラテンナンバーを盛り込んで、さらにボリュームアップした2幕構成だ。
安寿は「今回、宝塚の魅力をお届けするということで創られた作品なのですが、そこはきちんと押さえつつ、宝塚OGの皆さんは本当にミュージカルに舞台にと頑張っているので、そういう人たちが集結しているんだっていうステージをお届けしたいですね。もちろん私自身も、若かったけれどあれこれ拙かった当時から比べて少しでも進化したところをお見せできれば」と話す。
真琴も「宝塚の良さって、やっぱりチームプレーだなって思います。だからOGになっても集まったら自然とパワフルな舞台になる(笑)。同時に、当時には出せなかった大人のパフォーマンスが出来るとも感じているので、この作品がEXPOホールをはじめ各劇場でどう立ち現れるのか、いま本当にワクワクしています」と笑顔を見せる。
万博にちなんだ今回のみのスペシャルショー。その本番を、楽しみに待ちたい。
取材・文/藤野さくら
撮影/石阪大輔
<公演情報>
EXPO2025『未来へのOne Step!~世界を結ぶ愛の歌声~』
【東京公演】
日程:2025年5月17日(土)〜20日(火)
会場:東京国際フォーラム ホールC
【大阪公演】
日程:2025年5月25日(日)〜27日(火)
会場:梅田芸術劇場メインホール
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/expo2025/