Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > 精緻なビジュアルと多彩な楽曲、重層的な物語――ミュージカル「贄姫と獣の王〜the KING of BEASTS〜」開幕

精緻なビジュアルと多彩な楽曲、重層的な物語――ミュージカル「贄姫と獣の王〜the KING of BEASTS〜」開幕

ステージ

ニュース

チケットぴあ

ミュージカル「贄姫と獣の王〜the KING of BEASTS〜」 (C)友藤 結・白泉社/「贄姫と獣の王」舞台製作委員会

続きを読む

フォトギャラリー(15件)

すべて見る

「花とゆめ」(白泉社)に連載されコミック累計230万部を突破し、アニメ化もされた人気漫画を原作としたミュージカル「贄姫と獣の王〜the KING of BEASTS〜」が3月14日に銀河劇場(東京・天王洲アイル)にて開幕した。

物語の舞台は人外の“魔族”が暮らす国・オズマルゴ。魔族を統べる王(加藤大悟)のもとに人間界から生贄として少女・サリフィ(久家 心)がやってくる。王の前でも物おじせぬサリフィにより、王は頑なに閉ざされた心を少しずつ開いていく。実は、王には人間の血が半分流れているという誰にも言えない秘密があった。サリフィはそんな王に“勇敢な心”という意味のレオンハートという名を授け、2人は人間と魔族の共生を目指し歩み始めるが……。

幕が開き、最初に目を見張るのが、レオンハートをはじめとする魔族たちのメイクと衣装のすごさ。既に昨年の段階でキャラクタービジュアルが公開され、大きな話題を呼んでいたが、実際にステージ上で魔族たちが躍動するさまを見ると、その精巧さ、質感に改めて驚かされる。レオンハートのモフモフの毛並み(肉球やシッポも見事に再現!)や一見、恐ろしげなビジュアルはもちろん、緑色の肌を持つ爬虫族の近衛隊長・ヨルムンガンド(京典和玖)やアミト(永利優妃)のビジュアル、さらには指輪や剣や防具といった小道具に至るまで緻密に再現されており、違和感なくすんなりと魔族たちが暮らす世界の物語に入っていくことができる。

約3時間30分にもおよぶ本作だが、大きく分けて2つの物語で構成されており、前半ではサリフィと王が出会い、心を通わせていくさま、そして王制をひっくり返そうとするフェンリル(白柏寿大)率いる反王制派組織「亡国の幻狼軍」による反乱にレオンハート、サリフィたちが立ち向かっていくさまが描かれる。休憩を挟んで後半では、レオンハートとサリフィは人間との和解・共生に向けて動き出すが、レオンハートの秘密を嗅ぎつけた法官・セト(矢田悠祐)によるクーデター、そしてレオンハートの出生に関するさらなる“真実”が解き明かされていく。

レオンハートとサリフィのみならず、重要な役割を担う登場人物が非常に多いのも本作の特徴。宰相のアヌビス(福井巴也)、ヨルムンガンド、サリフィの親衛隊長でハイエナ族のラントベルト(今牧輝琉)、アミト、幻狼軍のフェンリル、その腹心のグレイプニル(松田 岳)、人間のアナスタシア(小嶋紗里)にオセロット(古田伊吹)、そしてレオンハートの玉座を狙うセト。これだけ多いと混同してしまいそうだが、先述したとおり、ビジュアルのパワーも借りて、ひとりひとりのキャラクターがしっかりと立っている。

己の中に半分流れる人間の血に葛藤し、先代の父王から掛けられたある言葉に苦しむレオンハート、生贄として捧げられる目的のために育てられたサリフィ、爬虫族ゆえに周囲から奇異な視線で見られるヨルムンガンドとアミト、かつては王子の立場にあったが親に見限られて王位継承権を失ったフェンリル、そんな彼に生きる意味を与えられたグレイプニル、そして自分こそは真の王位継承者であると確信するセトが抱える哀しい過去……。それぞれのキャラクターが出生や種族、立場などに起因する葛藤やトラウマ、弱さを抱えているところが魅力的で、敵味方の区別なく感情移入してしまう。

もちろん、楽曲もこうしたキャラクターの魅力を際立たせる大きな要素となっており、個々のキャラクターごとに曲調もガラリと変わり、心情を繊細かつ力強く響かせる。初主演の加藤は力強くも甘い歌声を響かせ、魔族の王、そして人間として揺れ動くレオンハートの強さと弱さを見事に体現。またクライマックスで、矢田が演じる“ラスボス”セトが自らの心情を歌い上げるナンバーも必聴だ。

人間と魔族という異種族間に横たわる問題だけでなく、魔族の社会にも存在する身分や血筋、出身種族による差別や偏見といった現代社会にも通じる深いテーマ性をしっかりと描いており、その重層的な物語に唸らされる。

王たる者の資格とは何か? 血筋や身分、種族といった属性ではなく“個”として人生を選択していくことの難しさと大切さ、そして、あるがままの自分を認め、愛することの尊さ――壮大なファンタジーを通して、観る者に様々なことを問いかける。

取材・文/黒豆直樹
(C)友藤 結・白泉社/「贄姫と獣の王」舞台製作委員会

<公演情報>
ミュージカル「贄姫と獣の王〜the KING of BEASTS〜」

【東京公演】
日程:2025年3月14日(金)〜23日(日)
会場:天王洲 銀河劇場

【大阪公演】
日程:2025年3月28日(金)〜30日(日)
会場:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/stage-niehimekob/

フォトギャラリー(15件)

すべて見る