国宝《燕子花図屏風》を公開する根津美術館の春の恒例企画 今年は円山応挙《藤花図屏風》、鈴木其一《夏秋渓流図屏風》を合わせて展示
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国宝《燕子花図屏風》(右隻) 尾形光琳筆 6 曲1双 日本・江戸時代 18 世紀 根津美術館蔵
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すべて見る尾形光琳の名高い国宝《燕子花(かきつばた)図屏風》を所蔵する東京・南青山の根津美術館は、毎年、カキツバタの咲く季節になると、この国宝を中心とした企画展を開催するのを恒例とする。本年は、同館所蔵の重要文化財の屏風2点と取り合わせた特別展が、4月12日(土)から5月11日(日)まで開催される。
日本と東洋の優れた古美術品のコレクションを誇る根津美術館は、現在、国宝・重要文化財をあわせて100件を所蔵する。その内、日本近世の絵画は、光琳の国宝《燕子花図屏風》と円山応挙の重文《藤花図屏風》、そして鈴木其一の重文《夏秋渓流図屏風》の3件のみ。数は少ないものの、いずれも六曲一双の金屏風の大作は、全コレクションにおいても文字どおり鮮やかな輝きを放っている。

興味深いことに、この3件の屏風は、制作された時代や場所を違えながらも、相互に画風的なつながりを有しているという。江戸時代の中期に京都で活躍した琳派の光琳と円山派の祖・応挙は、ともに無背景の総金地に草花や花木を描いており、一方、江戸後期に活躍した江戸琳派の其一の作品は、律動的なモチーフの配置の点では光琳の、また写実性を備えた描写の点では応挙の影響を示している。同展は、こうした3件の屏風を中心に据えた3章構成をとり、各々の真価を際立たせる、あるいはその魅力をさらに高める他の作品を並べることで、3件の屏風の価値を深掘りするものだ。リズミカルに配置された燕子花による意匠的な構図が圧巻の光琳作品を核として、光琳が敬愛した俵屋宗達、応挙、応挙の高弟である山口素軒、そして其一と、江戸時代を代表する絵師たちの作品を見比べられるのも楽しみだ。


なお今回は小企画として、同展に合わせた「女面の魅力 ―能『杜若(かきつばた)』に寄せて―」が同時開催される。展覧会を楽しんだあとは、ぜひ、庭園の散策を。タイミングが合えば、カキツバタの生花も愛でることができる。
<開催概要>
財団創立85周年記念特別展『国宝・燕子花図と藤花図、夏秋渓流図 光琳・応挙・其一をめぐる3章』
会期:2025年4月12日(土)~5月11日(日)
会場:根津美術館
時間:10:00~17:00、5月5日(月・祝)~5月11日(日)は19:00まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜(4月28日、5月5日は開館)、5月7日(水)
料金:オンライン日時指定予約一般1,500円、大高1,200円
公式サイト:https://www.nezu-muse.or.jp/
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