水谷千重子“またまたまたまた”50周年記念公演「乗っかるしかない」の気持ちで、ご一緒に楽しんで

その圧倒的な歌唱力で、長年にわたり芸能界の第一線で活躍し続ける水谷にとって、明治座は念願の舞台。2019年2月に開催した初座長公演『水谷千重子50周年記念公演』を皮切りに、コロナ禍にも関わらず満員御礼となった2021年、さらにパワーアップした内容でファンを魅了した2023年と、回を重ねるごとに、明治座への思いもより深いものになっている。

水谷　明治座さんは老舗ですし、劇場の設備も素晴らしい。何より、お芝居が好きなお客様がたくさんいらっしゃるから、舞台に立つと皆さんの期待を肌で感じられます。それって、明治座さんならではの雰囲気で、デビュー50周年の私にとっても、すっごく新鮮なことなのよね。

『水谷千重子50周年記念公演』の醍醐味といえば、「お芝居ステージ」と「歌謡ショー」の2部構成で“魅せる”豪華で賑やかな構成だ。今回、第一部のお芝居ステージでは、60年代のニューヨーク・ブロードウェイを舞台に、花売りの若き女性フローレンスがダンスで頂点を目指す姿と、そこに待ち構える様々な苦難が描かれる。親友・友近が以前、テレビ番組で披露した「青春グラビティ―」というショートネタから着想を得たそうだ。

水谷　老婦人のミス・フローレンスが、ダンサー時代の思い出を振り返るっていうネタで、あまりに良い内容だったから、それを題材に、千重子が演じて彼女の一生を描きたいなって。周りにはどんな人がいたのかとか、新事実も発覚します。メインは20代のミス・フローレンスになってきますけど、千重子がどんな風に演じるのかお楽しみに。ほら、友近ちゃんもたまに、赤ちゃんとか子どもを演じるネタをやるでしょ？ だから、千重子もきっと違和感のない20代を演じられると思います。もちろん、ダンスも披露する予定ですよ。

そして、自身のヒットナンバーや数々の名曲を惜しみなく披露するのが、第二部の歌謡ショー。毎回、豪華ゲストとの“ジョイン”にも期待が寄せられるが「今回は、千重子がひとりで歌うことになるかもしれなくて」と語る。ということは、八公太郎、倉たけし、六条たかやといったお馴染みの“千重子ファミリー”の出番もなし？

水谷　そうそうそうそう。あいつらも毎回呼んでもいないのに来ちゃって、出演したところで、何しに来たのって（笑）。段取りはすぐ忘れるし、興奮して暴れちゃうし、声はでかいし。かと言って、あいつらのために新曲作るのも嫌だしね。でも、まあ、お客様が楽しみにしてくださっているのであれば、声をかけてもいいかもしれませんけど。あっ、御崎進だけは推しているのよ。ポテンシャルが高いし、あの子だけは何かあるかもしれないわね

めでたく芸能生活50周年を迎えた水谷。いまや芸能界の重鎮として、揺るぎない地位を確立したのは言うまでもないが、やはり一番の幸せは「舞台に立って、お客様の笑顔が見られること」なんだとか。

水谷　あっ、今日はこんなお客様が来てくださったんだって確認作業ができるのは、うれしいことですよ。皆さんの反応を見ながら、じゃあ、次はこんな風に楽しんでもらおうって常に考えていますし、「千重子さんに元気をいただきました」というメッセージもいただきますから、これは長く続けていかないとなって。私もね、お客様の笑顔、そして笑い声を浴びると幸せなのよ。少し調子が悪いなってときでも、舞台に立つとあっという間に元気になっちゃう。本当にね、病院ではもらえないお薬なんです。それって、この何年かで、すごく感じるのね。

取材・文／内田 涼
撮影／石阪大輔

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水谷千重子プロフィール

幼少時に飛び入り出演した『歌まね生一本』でグランドチャンピオンとなり、番組の審査委員長でもあった二葉菖仁の目に留まり芸能界入りを果たす。少女時代はその抜群の歌唱力から“北陸のひばり”と呼ばれ数々の大会を荒らす存在に。デビュー曲「万博ササニシキ」は大ヒットとなり、その後も「スコッチがお好きでしょ」「ミズチエルンバ」などで数々の音楽賞を受賞している。近年では演歌とJ-POPの架け橋的存在として幅広い活動を繰り広げている。

＜公演情報＞
『水谷千重子50周年記念公演』

【東京公演】
日程：2025年8月22日(金)～9月7日(日)
会場：明治座

【福岡公演】
日程：2025年9月13日(土)～9月22日(月)
会場：博多座

【大阪公演】
日程：2025年9月27日(土)～10月5日(日)
会場：新歌舞伎座