セットリスト
■fumi(band set)
1. 名前のついていない人
2. 街
3. 天国
4. ハイライト
5. ワルツを忘れて
6. 夏の日
7. アラーム
■乙女絵画
1. 川
2. 冬子
3. 朝日について
4. 風の模様
5. Untitled
6. おやすみなさい
■成山剛(sleepy.ab)
1. メロディ
2. エトピリカ
3. 息継ぎ
4. ドレミ
5. high-low
6. ねむろ
7. 街路樹
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『VINTAGE ROCK × チケットぴあ presents FUTURE RESERVE vol.7』2025年3月19日 東京・外苑前 青山月見ル君想フ (Photo:kondohmidori)
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すべて見るText:吉羽さおり Photo:kondohmidori
VINTAGE ROCKとチケットぴあが推す“今見たい! 見てもらいたい!”バンドをピックアップする共同企画、『VINTAGE ROCK×チケットぴあ presents FUTURE RESERVE vol.7』が3月19日に青山月見ル君想フで開催された。今回の出演は、乙女絵画、成山剛(sleepy.ab)、fumi(band set)の3組が出演。成山と乙女絵画はともに札幌を拠点に活動し、またfumiはボーカル・ギターの吉田涼花が北海道出身という北海道つながりの一夜となったが、奇しくも東京はこの日、季節外れの雪が舞った。北の空気も一緒に運んできたようなこのタイミングには彼ら自身がいちばん驚いていたが、このスペシャル感とエネルギッシュなステージとで、それぞれの存在感をより深く刻むFUTURE RESERVEとなった。
まずステージに登場したのは、2023年に活動をスタートした吉田と藤谷真吾(g)によるプロジェクト、fumi。今回はドラム、ベース、ギターをサポートに迎えたバンドセットによるステージとなった。三島想平(cinema staff)がサウンドプロデュースを手がけた昨年リリースの「名前のついていない人」でスタートしたライブは、変則拍子やポリリズム的なバンドアンサンブルが冴える。美しく凛としたアルペジオと重厚で硬質なリフやビートによるポストロックなアプローチがあり、そこに乗るドリーミーで柔らかなタッチの吉田のボーカルで曲に甘美な余韻を残す。サウンドと歌とのハーモニーが絶妙だ。
爽やかな風を吹かせるような「街」を演奏して、改めて「fumiです、よろしくお願いします。お越しくださってありがとうございます」と挨拶をした吉田は、新しい衣装どうですか?と笑顔で真っ白なワンピースを見せる。また藤谷は「月見ル君想フへの出演は目標でもあった」と出演の喜びを語り、「どんどん曲をやっていきますので、楽しんでいってください」と、次なる曲「天国」の細やかなギターフレーズを紡いでいく。北欧ポップスのような爽やかな風を纏ったこの曲から、ドラマティックでエモーショナルな流れを持った「ハイライト」、そしてワルツのリズムがあったりとダイナミックに曲が展開する「ワルツを忘れて」と連投。5人のバンド編成によるボリューム感のある演奏と、そのサウンドと歌との鮮やかさは観客をグッと掴むパワーがある。
さらに後半の2曲ではボーカルの吉田もギターを持ったトリプルギターで演奏の温度を上げる。とくにラストの「アラーム」は、バンドセットのfumiならではと言えるアグレッシヴなアンサンブルと繊細なメロディ&ボーカルとが、美しく濃密な時間を編み上げて、会場を陶酔感で包んでいった。4月からは、吉田と藤谷によるdigital setで3カ月連続企画ライブや新作もリリースするという。さまざまな形で表現されるfumiの世界が楽しみだ。
続いて登場したのは、北海道大学で結成し札幌を拠点に活動する、乙女絵画。2023年にリリースした1stアルバム『川』は、四畳半フォーク的な心地から、いつしかその床も天井も突き抜けて幻影的な空間を遊泳しているような、エクスペリメンタルな体験をするアルバムとなり、昨年のEP『境界』はまさに夢と現や感情が微かに揺れ動くその瞬間をとらえたような作品となった。メンバーは20代前半というバンドだが、昭和歌謡からプログレッシヴロック、ノイズ、エクスペリメンタル等をその感性で、歌心と色彩にあふれた豊かな音楽へと昇華し注目を集めている。月見ル君想フのシンボリックな月が青白く輝くなか「川」でスタートしたライブは、そこにいる観客たちを別世界に、またそれぞれの心の奥深くへと連れていくようなサウンドを響かせた。
ゆったりとスロウに刻まれるビートや穏やかで静謐なギターから、徐々に熱量を上げ、いつしか音の波に飲まれるような「冬子」、哀愁感を滲ませたメロディとタイトなビートのコントラストがその言葉を引き立てる「朝日について」、「風の模様」は静かに記憶に呼びかける。その演奏には緊張感がわたりながらも、酩酊感を誘う。ギター・ボーカルの佐々木優人はMCで、うまく喋れずすみませんと言いながらも「今日は(出演者が)札幌の人が多いので楽しみにしていました」と言い、6月22日(日) にteiichiとの共同企画を下北沢 近道で開催することをアナウンスした。ラストはまだ音源化のされていない2曲を披露。蜃気楼的な美しさのある「Untitled」、懐かしい記憶の縁を撫でるような「おやすみなさい」でステージを締めくくった。
ラストは、札幌在住の3ピースバンドsleepy.abから、ボーカル・ギターの成山剛が、アコギを相棒にソロで登場した。「こんばんは。最後はアコースティックで、エンディングみたいな感じでゆっくり楽しんでいってください」。そういうとゆったりとアルペジオを奏で、バンドが2006年にリリースしたアルバム『palette』からの名曲「メロディ」を歌う。一段と空気が澄んだような会場に、成山の甘い、ペールトーンのボーカルが響く。ファンタジックな「エトピリカ」では口笛混じりで、語りかけるように歌い、会場の空気や観客の体も柔らかにほぐれていく感覚だ。
月見ル君想フでの弾き語りライブは2016年以来であり、そのときは飛行機が遅れ到着がギリギリになったことや当時の打ち上げでの出来事を話し、会場を和やかにしたところで「息継ぎ」や「ドレミ」を演奏。曲では切なさにどっぷりと浸らせていった。乙女絵画など北海道出身のバンドについて、「音像もそうだし、北海道だからこそ生まれる音を見た気がします」という成山。1998年の結成から独自の空気感や温度感をもったサウンドで北の地の美しい抒情詩を紡いできたsleepy.abもそのひとつだ。ソロで弾き語りのライブも多い成山だが、4月12日(土) に東京・渋谷で開催されるイベント「SYNCHRONICITY 2025」には、sleepy.abで出演するという。そのアナウンスに観客から拍手がわく。
後半は、自身のソロ・アルバム『novelette』(2016年)から「high-low」や「街路樹」を歌い、ラストは自身の出身地である根室での思い、静かでたしかな気持ちを歌った、「ねむろ」を歌いあげステージを後にした。さらに大きな拍手に迎えられたアンコールで「ホログラム」を披露すると、「今日はありがとうございました」と温かく晴れやかな笑顔でイベントの幕を閉じた。
<公演情報>
『VINTAGE ROCK × チケットぴあ presents FUTURE RESERVE vol.7』
2025年3月19日 東京・外苑前 青山月見ル君想フ
出演:乙女絵画 / 成山剛(sleepy.ab) / fumi(band set)
■fumi(band set)
1. 名前のついていない人
2. 街
3. 天国
4. ハイライト
5. ワルツを忘れて
6. 夏の日
7. アラーム
■乙女絵画
1. 川
2. 冬子
3. 朝日について
4. 風の模様
5. Untitled
6. おやすみなさい
■成山剛(sleepy.ab)
1. メロディ
2. エトピリカ
3. 息継ぎ
4. ドレミ
5. high-low
6. ねむろ
7. 街路樹
fumi X:
https://x.com/fumi_tyo
乙女絵画 X:
https://x.com/Otomekaiga_spr
成山剛 X:
https://x.com/Nariyanma
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