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二葉さんの『百年目』に志の輔師匠も「よくやった」と太鼓判!『桂二葉チャレンジ!! SECOND SERIES FINAL』レポート

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左より)桂二葉、立川志の輔 撮影:橘蓮二

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『桂二葉チャレンジ!! SECOND SERIES FINAL』が、4月3日に東京・有楽町朝日ホールにて開催された。

『桂二葉チャレンジ』は演芸写真家・橘蓮二のプロデュースのもと、桂二葉が落語界を代表する師匠に挑戦する企画。加えて『SECOND SERIES 2』では、毎回ネタ下ろしにも挑む。ラストとなる今回の公演では長講『百年目』を披露した。

前座が会場を温めると、一席目にまず二葉さんが登場。足掛け3年にも及んだ『桂二葉チャレンジ』もいよいよファイナル、しかもネタ下ろしに選んだのが大ネタの『百年目』ということで、会場に向かって「緊張してる?」と逆に問いかけ、「自分はものすごく緊張してる」と心境を吐露。

そして、今回のゲストである立川志の輔師匠のことについても触れ、「私らレベルでは呼ぶのが憚られる人」と前置きしつつ、前回ゲストだった柳家三三師匠は「ぴゃーっと出てくれはる」と言い放つと、会場は笑いに包まれ一気に雰囲気を掴んだ。

「今日のネタおろしは長編なので、一席目はちゃちゃっとやります」と言って高座にかけたのは『がまの油』。「がまの油」を売る男が儲けた金で酒を飲み、酔っぱらった帰りにまたひと儲けできそうだと画策するが、呂律が回らず滅茶苦茶な口上になってしまう滑稽噺。やはり後半の酔っぱらってからが、二葉さんの真骨頂。生き生きと酔っぱらいを演じ、それを見る観客もまたその一挙手一投足に注目し笑っていた。

続いて二席目は、ゲストの志の輔師匠。プロデューサーの橘さんが、わざわざ毎回チラシを持ってきては「こんな会をやりました」とだけ言って去っていくので、当然『二葉チャレンジ』については知っていたそうで、いつかオファーが来るのかと思ったらトリでしたと、まずは本シリーズに参加するまでの裏話を披露。

そこから話は転じて、日本人や日本語、とりわけ“あらかじめ”という魔法の言葉の素晴らしさに触れ、この言葉のおかげで列車が遅れようが、飛行機が引き返そうが問題になることがないと説明。そして「今日は『狸の札』や『がまの油』、この後の『百年目』と素晴らしい古典落語が口演されますが、これから私がやるのは自分が面白いと思って創作したネタですので、この会場全員が面白いと思うことはないということだけ、“あらかじめ”お伝えしておきます」と言うと、会場は爆笑に包まれた。

勢いそのままに披露したのは『ハナコ』。マクラで話した通りの日本人が口癖のように使っている“あらかじめ”という言葉を題材にした新作落語だ。温泉地を訪れ、旅館に到着した一行を女将が出迎える。正直を売りにしたいのだろうが、あまりに“あらかじめ”のおことわりや、聞いてもないことを話すので、かえって疲れてしまい、挙句の果てには旅館の売りも台無しになってしまう。

序盤の仲居さんの欠員が出てしまい……のくだりから話に一気に引き込まれ、タイトルの意味が分かる頃には会場中笑いが途切れないほどの状態に。志の輔師匠演じる女将が、最後に魔法の言葉を発してサゲたところで会場は大きな拍手に包まれた。

仲入りを挟んで、いよいよシリーズのトリを飾る二葉さん。『百年目』はある商家の旦那が、堅物で通っている番頭に店の者をいたわる心を持てと諭す人情噺だ。多くの場面展開があり、登場人物を演じ分ける技量が求められる大ネタだが、二葉さんは番頭の内と外の変身具合や、旦那の心の機微を繊細に表現。ひたすらに懐の広い旦那が、現代にも通ずる人間関係の在り方について語り終えると、会場からは割れんばかりの拍手が巻き起こった。

公演を終えて、志の輔師匠も再登場してフリートークに。「よくやったと思う。プレッシャーすごかったでしょ?」とねぎらう志の輔師匠。また、「花見のシーンあたりで終わってくれればちょうどいいんだけどね」とコメント。そして続けて「ネタ下ろしをこんなホールで、しかもこれまでの全8回を満員御礼にした人を私は知らない」と絶賛した。

二葉さんは、これまでのチャレンジの中でも『百年目』が一番難しかったという。志の輔師匠から、同じく大ネタの『らくだ』も難しかったのでは?と質問が飛ぶと、『らくだ』は途中から酔っ払いが出てくるので割と得意と答えると、会場からは納得したかのような笑い声が。

ただ、二葉さんは『百年目』が上方の商人の心意気を描く作品だから好きと語る。そして、最後の旦那の台詞にある「びっくりするほどのお金を使うからこそ、またびっくりする商いができる」を体現するため、人間国宝が仕立てた着物を身にまとって高座上がったと説明。すると、一瞬の間が空いた後、志の輔師匠が「もっと早く言ってくれれば、もうちょっといい着物着てきたのに」で大爆笑となった。

その後も、フリートークでは珍しくネタの考察が続き、終了の合図が鳴ってもトークを終わらせないなど内容の濃い時間が続く。最後に、志の輔師匠が「覚えてしまえば、あとは練り上げるだけだから、また少し時間が経ってから二葉さんの『百年目』を聴かせてください」と語り、三本締めで公演は終了した。

<公演情報>
『桂二葉チャレンジ!! SECOND SERIES FINAL』

2025年4月3日(木) 東京・有楽町朝日ホール
開場 18:30 / 開演 19:00
ゲスト:立川志の輔

■演目
三笑亭夢ひろ 『狸の札』
桂二葉    『がまの油』
立川志の輔  『ハナコ』
-仲入り-
桂二葉    『百年目』

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