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狩野元信《酒伝童子絵巻》を起点に、日本一名高い“鬼退治の物語”の多様な展開をたどる 『酒呑童子ビギンズ』サントリー美術館で

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重要文化財《酒伝童子絵巻》(部分) 狩野元信 三巻のうち下巻 大永2年(1522) サントリー美術館 【通期展示】

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平安時代、京の都で貴族の娘や財宝を次々に略奪し、武将・源頼光とその家来によって退治された鬼・酒呑童子(しゅてんどうじ)の物語。この物語を描いた狩野元信筆《酒伝童子絵巻》を出発点に、数多く描き継がれた「酒呑童子絵巻」の知られざる歴史と多様な展開をたどる展覧会が、4月29日(火・祝)から6月15日(日)まで、東京・六本木のサントリー美術館で開催される。

14世紀以前に成立した酒呑童子の物語は、絵画や能などの題材になって広く普及した。なかでも同館の所蔵する《酒伝童子絵巻》は、室町時代の古例。作品によって、酒呑童子の住処は丹波国大江山か近江国伊吹山として描かれるが、この絵巻は、伊吹山系の最古の絵巻として知られている。また、狩野派の確立者である元信が描いていることから、酒呑童子絵巻は狩野派を代表する画題のひとつとなり、また江戸時代には、流派も超えて何百という模本や類本がつくられた。「サントリー本」とも呼ばれるこの絵巻は、このように「図様のはじまり」とも言える重要作なのだが、これまでは保存状態の問題から十分に展観することができなかったという。それが解体修理を終えたことで、同館史上最大規模に広げて展示することが可能となった。鮮やかな色彩と精緻な描写で表された物語の全容を目にできるのが、同展の大きな見どころだ。

重要文化財《酒伝童子絵巻》(部分) 狩野元信 三巻のうち上巻 大永2年(1522) サントリー美術館 【通期展示】

もうひとつ興味深いのは、「はじまり」という点に別の面からも着目していること。実は近年、サントリー本とほぼ同じ内容を含みながらも、酒呑童子の生い立ち、つまり「鬼のはじまり」ともいえる出生の秘密を大胆に描き加えた絵巻が相次いで発見されているという。今回は、こうした絵巻のうち、ドイツに渡って以来初の里帰りとなる貴重な作品も登場する。

同展ではまた、同じ物語を扱った絵画と能の間にどのような関連性があるのか、また酒呑童子絵巻が婚礼調度として好まれたのはなぜかなど、興味深いテーマの紹介もある。酒呑童子絵巻の知られざる歴史と多様な展開をたどりつつ、日本人が古来より親しんできた鬼退治の物語を楽しみたい。

重要文化財《酒伝童子絵巻》(部分) 狩野元信 三巻のうち中巻 大永2年(1522) サントリー美術館 【通期展示】

<開催概要>
『酒呑童子ビギンズ』

会期:2025年4月29日(火・祝)~6月15日(日) ※会期中展示替えあり
会場:サントリー美術館
時間:10:00~18:00、金曜、5月3日(土・祝)~5日(月・祝)、6月14日(土)は20:00まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:火曜(4月29日、5月6日、6月10日は18時まで開館)
料金:一般1,700円、大学1,200円、高校1,000円
公式サイト:
https://www.suntory.co.jp/sma/

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