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『まど・みちおのうちゅう』宇都宮美術館で 「ぞうさん」の作詞などでも知られる詩人が手掛けた抽象絵画にスポットを当てる

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《少女の顔》1961年8月22日 周南市美術博物館蔵

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「ぞうさん」や「やぎさん ゆうびん」など、誰もが幼い頃に口ずさんだ童謡の作詞者でもある詩人・まど・みちお(1909~2014)。親しみをこめて「まどさん」と呼ばれたこの詩人が50代の一時期に集中的に取り組んだ絵画作品に焦点をあてた展覧会が、4月27日(日)から6月29日(日)まで、栃木県の宇都宮美術館で開催される。

山口県に生まれたまど・みちおは、20代半ばで雑誌『コドモノクニ』に童謡詞の投稿を始めた。第2次大戦後、『チャイルドブック』の編集や『新児童文化』のカットの作画を手がけると同時に、数々の童謡を発表。1959年、50歳の年に国民図書刊行会を退社したのちは創作に専念するが、その彼が1961年から64年にかけての4年間、人知れず没頭したのが絵画制作だった。その大半は、宇宙に直結するような深い響きを宿すイメージをもった抽象画。まど自身は、「この世のどこにもない世界、この世にひとつきりの、自分の世界を描きたいと思ったのです」と語っていたという。

《五月の風》1961年10月17日 周南市美術博物館蔵

まどの故郷にある周南市美術博物館の収蔵品から精選した約60点を中心に、自由な創意に満ちたその絵画作品をまとめて展観する今回の展覧会は、会場構成にも工夫がある。小さなものの存在の淋しさと、それらを包む大きく深いもの——そのふたつが結び合わされたまどの絵が宇宙の中で響き合うように構成された展示空間の中で、作品1点1点にじっくりと向き合えるのが同展の大きな魅力となっている。

また、独学で描いたまどは、クレヨンやボールペンなどの身近な画材を複雑に組み合わせて多層的な画面をつくりあげた。同展では、高精細8K映像によって、マクロのレベルでその筆致をとらえ、まどの独自の絵画技法に迫るという。

《壁面》1964年9月 周南市美術博物館蔵

「ことばではいいきれないもの」に沈潜するかたちで絵画制作に没頭した時期を経たまどは、1968年、第一詩集『てんぷらぴりぴり』を上梓し、以後、平明で虚飾を排した詩境を深めていった。同展ではまた、創作ノートや自筆原稿、編集者時代に手がけたカットや愛用品など、約240点に及ぶ資料も並ぶ。深々とした慈しみにあふれる絵画の世界に包まれつつ、「まどさん」の100歳を超える生涯の歩みをたどれる展観となっている。

<開催概要>
『まど・みちおのうちゅう―うちゅうの あんなに とおい あそこに さわる―』

会期:2025年4月27日(日)〜6月29日(日)
会場:宇都宮美術館
時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜(5月5日は開館)、4月30日(火)、5月7日(水)
料金:一般1,200円、大高1,000円、中小800円
公式サイト:
http://u-moa.jp/

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