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TAAF2018長編グランプリ、台湾の長編アニメ「幸福路上」公開決定

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「幸福路のチー」

東京アニメアワードフェスティバル2018(TAAF2018)で長編グランプリを獲得した台湾の長編アニメ「幸福路上/On Happiness Road」が、「幸福路のチー」の邦題で2019年晩秋に公開される。

台湾・台北郊外に実在する「幸福路」を舞台に、祖母の死をきっかけに故郷に戻った主人公チーが、幼い頃の思い出とともに自分を見つめ直す姿を描いた本作。友人や家族との懐かしい思い出、老いていく親と大人になった自分の葛藤などが、蒋介石の死、ひまわり運動、1999年の大地震など、戒厳令時代を経て民主化した現代台湾の大きなうねりとともに描かれていく。

監督は京都大学で映画理論を学んだのち、コロンビア・カレッジ・シカゴで映画修士号を取得した台北生まれのソン・シンイン。「幸福路のチー」のもとになった12分の短編アニメを2013年に発表し、その後4年の歳月をかけて長編アニメとして完成させた。彼女はアニメーション産業の土壌が整っていない台湾で自らスタジオを立ち上げ、資金集めにも奔走。日本円にして2億以上の製作費を集め本作を制作した。

チーの声は「藍色夏恋」のグイ・ルンメイが担当。「セデック・バレ」2部作の監督として知られるウェイ・ダーションも出演している。台湾の女性歌手ジョリン・ツァイが主題歌を歌った。「幸福路のチー」はTAAF2018のほか、ドイツのシュトゥットガルト・アニメーション国際映画祭で長編部門グランプリ、カナダのオタワ国際アニメーションフェスティバルで長編部門のスペシャルメンションを獲得している。

TAAF2018以降、本作に魅せられたファンが「拡福隊」を結成し、SNSで日本公開への応援活動を続けていた本作。本日3月16日には東京・台湾文化センターにて本作のキックオフイベントが開催され、TAAF2019の審査員として来日中のソン・シンインも参加した。

拡福隊の1人で、「チェブラーシカ」「ちえりとチェリー」の監督として知られる中村誠が「どうして50歳近いおじさんの僕が『幸福路のチー』でこんなに泣いてしまうんでしょう?」と質問する場面も。ソン・シンインは「実は台湾で初めて上映したときも中年の男性がみんな号泣していました。マーケティングでは女性向けと思っていたからとても驚いて、どうして泣いたのかお客さんに直接訊いたんです。そうしたら『この映画が、今まで自分が歩んできた人生を肯定してくれた気がした』と言ってくれてすごくうれしかった」とコメント。さらに「世界各国の映画祭に呼んでもらったのですが、国籍、年齢、性別がばらばらの人たちから『自分の一部がこの映画にあると思った』と言ってもらいました」と明かした。

イベントでは、本作のクラウドファンディングがMakuakeで行なわれることも明らかに。ソン・シンインが登壇する特別先行上映付きトークイベントを東京と京都で開催するための資金を募っている。リターンなどは公式ページで確認を。

「幸福路のチー」は東京・新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で順次ロードショー。

(c)Happiness Road Productions Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED.