線を通して空間と時間を可視化する鈴木ヒラクの個展『海と記号』 ポーラ ミュージアム アネックスで
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海と記号 #10 (detail) 2025 photo by Ooki Jingu © Hiraku Suzuki Studio
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すべて見る鈴木ヒラク『海と記号』が、4月25日(金)〜6月8日(日)、ポーラ ミュージアム アネックスで開催される。1978年生まれの鈴木は、「描く」と「書く」の間をテーマとして、平面、彫刻、映像、インスタレーション、パフォーマンスなどさまざまな表現を展開しながら、ドローイングの概念を拡張してきた、国内外で活躍するアーティストだ。

少年時代からストーンサークルなどの遺跡に興味を持っていた鈴木は、やがて世界各地の古代の洞窟壁画などを巡るようになった。そこで植物や鉱物、光の軌跡など、人間ではないものが“描いた”、空間や時間に潜在する線を探求。それらを源(みなもと)として自身の身体を通して再構築することで、「ドローイングの生態学」ともいえる独自の体系を編み出してきた。

今回の個展では、深海や宇宙を思わせるような瞑想的な「青」の背景に、シルバーで描かれた連作《海と記号》を発表する。会場には、16点組の大型キャンバスを円環状に配置。そこには、水中を漂う発光プランクトンや細胞分裂、超新星爆発などを思わせる記号的な線がうごめく。光を反射するインクは、液体や粒子の飛沫となって広がり、生成と消滅の過程を映像的に物語る。また、考古遺物の写真をシルバーで塗り消し、架空の記憶を描く《Casting Ocean》や新作インスタレーションなども展示される。

海は生命の母体であり、現代の生活とも密接に結びついている。一方で海洋汚染や洪水など、世界を取り巻く気候変動や環境問題をも想起させる。点と点、点と線を目で辿りながら、長大な時間・空間感覚に浸り、さまざまな視点から思いを馳せたい。
<開催概要>
鈴木ヒラク『海と記号』
会期:2025年4月25日(金)~6月8日(日) 会期中無休
会場:ポーラ ミュージアム アネックス
時間:11:00~19:00(入場は18:30まで)
公式サイト:
https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/
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