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劇団壱劇屋「DEATH WONDERLAND」再演に向けて、大熊隆太郎「血肉注いだ作品の完全版を」

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劇団壱劇屋本公演「DEATH WONDERLAND」出演者(撮影:河西沙織)

劇団壱劇屋本公演「DEATH WONDERLAND」の記者会見が、4月21日に大阪府内で行われた。

「DEATH WONDERLAND」は2023年に劇団壱劇屋15周年記念として披露された作品。大阪と東京に拠点を置く劇団壱劇屋が、東西チーム合同で行った3演目のうちの1つだ。再演となる今回は6月13・14日に兵庫・神戸朝日ホールで上演される。記者会見には、座長で本作の作・演出・一部音楽を手がける大熊隆太郎をはじめ、河原岳史、湯浅春枝、𠮷迫綾音の劇団員と、匿名劇壇の石畑達哉、中村るみが登壇し、それぞれが思いを語った。

「DEATH WONDERLAND」では、独り身を貫き、老衰で死去したシゲオが、奇天烈なあの世で愛を取り戻す様子がつづられる。大熊は「DEATH WONDERLAND」再演の決め手について、「長く劇団をやっていると、いい作品やがんばったけどあまり跳ねなかった作品などがありますが、中でも『DEATH WONDERLAND』は賛否がありつつ、大きな手応えを感じた作品でした。1本30分の作品を3つ上演したのですが、これは50分を37分、いや40分に凝縮させた作品で、本番でのお客さんの反応も良く、盛り上がった。血肉を注いで上演した作品の完全版をやりたいという気持ちがありました」と語る。また、劇中ではラップが多用されるため、音楽に適した神戸朝日ホールでの上演は「強みを生かせる」と思ったという。

今回は主人公を演じる半田慈登をはじめ、大熊、山本貴大、湯浅、吉迫が前回公演より続投し、そのほかのキャストを一新。大熊はキャスティングについて「超若手でもなく、ベテランでもなく、エネルギッシュな肉体と人間的な機能スキルがある同年代であることを重視した」と述べた。再演にあたり、キャラクターの描き方を深掘りするという大熊は、「自称リアリストの主人公・シゲオが、死後、生前の人間関係の“説明できない部分”と再び向き合うようになる。恋愛、敬愛などを学んでいく様子を馬鹿馬鹿しさもありつつ、色濃く描きたい」と構想を明かす。さらに、「ラップで語る最後のシーンでは、大きな感情をストレートな言葉でお客さんにぶつけます。個人的にはそこが一番手応えがあった部分なので、早く神戸をぶち上げたい」と意気込んだ。

湯浅は「劇団員として中堅、もはや古株になりました(笑)。ほかのキャラクターとは違う立ち位置にいる神さま役を、今まで培ってきたことを盛り込んで、貫禄のある姿で演じられたら。大熊さんが作る音楽とラップを良い音響でバージョンアップしてお届けできると思うとテンションが上がります」、河原は、本作での男性キャストがパンツ1枚でいることが多い点に触れつつ、「皆さんに良いものをお届けするという気合いを、62kg・体脂肪率10%以下という目標に宿して、11月末から身体を絞ってきました。初演のときに主に削られたのが、私が今回演じる“ふるさと”という役だそうで。僕のパーソナルな部分を活かしつつ、愛嬌あふれるふるさとを演じたい」とコメント。𠮷迫は「劇中の衣裳もそうですが、1つ1つの技がインパクトがあり、お客さんを驚かせたり、次何がくるのかなと期待してもらったりするものづくりが楽しかった」と振り返り、「兵庫県出身なので地元で上演できることがうれしいですし、新しくなったメンバーと見せられるパフォーマンスが増えた状態でお届けできることが楽しみです」と話す。

自身がシゲオの母親役を演じることに驚いたという匿名劇壇の石畑は、「匿名劇壇は、壱劇屋さんをライバルであり同志であると思って活動してきました。『DEATH WONDERLAND』は2023年の年末に観て、『観劇納めに質の良いエンタメを浴びたな』と思った作品です。身体が絞られた皆さんを前に一抹の不安はありますが、楽しい作品になると思うので、お客さんにも楽しんで帰っていただけたら」と微笑んだ。また、「初めてこの作品を観たときにめちゃくちゃ笑ってめちゃくちゃ泣いた人の1人」という中村は「作品のテーマである愛をいろいろなところに感じて、涙が止まりませんでした。体力と身体を使うこと、ひっくり返ったり回ったりすることに自信があるので、そういう部分で私もこの劇団の一部になっていきたい」と言葉に力を込める。寺井は「壱劇屋さんは物静かな方々が集まっている印象なのですが、そんな方々の肉体がこんなにもキレるというギャップが魅力だと思っています。前回公演は拝見できなかったのですが、『この作品に出る』と言うと、周囲の俳優たちがざわつくので(笑)、めっちゃ楽しみやなと。パンツ一丁になる覚悟はできています」と気合い十分な様子を見せた。

最後に大熊が、映画館を経て、2023年に6年ぶりに再開した神戸朝日ホールで再演を行うことについて、「劇団にもホールを利用してもらいたいということで、僕らにお声がけいただいたことがうれしい。劇場に足を運ばなくても楽しめる時代になった今、神戸朝日ホールに来てくれるお客さんに、消費するだけの体験ではなく、何かを持って帰ってもらえるような“行きがい”がある公演を作って、神戸から発信していきたいと思っています」とアピールし、記者会見を締めくくった。

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