野村康太が自分を変えるために大切にしていること「勇気を振り絞って一歩を踏み出す」
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野村康太 ( 撮影/梁瀬玉実)
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すべて見る手足が長く、スラリとしたモデル体型の野村康太。俳優業だけでなく、メンズノンノモデルとしても活躍。この日の撮影でもカメラを前にすると、しなやかかつ爽やかにポージングを決めてみせた野村だが、映画『6人ぼっち』で演じた役どころは、友達が一人もいない、“ぼっち”の陰キャ役。本人とは、かけ離れたキャラクターだと思いきや、「自分に陰キャの要素はあると思います!」とキッパリ。野村が一体、どんなキャラクターなのか、主演作の『6人ぼっち』を通してその人となりを探ってみた。
自分は陰キャだって思い込んでお芝居しました

『6人ぼっち』は、高校生活一度きりの修学旅行をきっかけに6人の“ぼっち”が同じ班として行動することになることから始まる青春ストーリー。修学旅行当日に登校してきた引きこもりのぼっちの生徒に加え、誰とも班を作れなかった陰キャぼっち、空気が読めないぼっち、ネガティブぼっち、自己中ぼっち、ガリ勉ぼっち6人の旅は、予期せぬ方向に展開していく。
今作で主演を務めるのは、2022年にドラマ「新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~」で俳優デビューして以来、「silent」や「ホスト相続しちゃいました」など、数々の話題作に出演してきた注目の俳優・野村康太だ。
「主演を映画でやらせていただけると聞いた時は、すごく嬉しい気持ちでいっぱいでした。同世代の俳優が多いので、自分が座長として、みんなをまとめなければいけないなって思いましたね。それで最初から共演者のみんなには自分からたくさん話しかけようと思ってたんですけど、人見知りな性格をちょっと出してしまい、逆にみんなから話しかけられて、助けられました」
野村が演じた陰キャの加山糸は、可もなく不可もなく、目立たない透明人間のような存在。修学旅行では、強制的に班長を任されることになるが、自分を変えようとして班長の役割を果たそうとする役どころだ。演じるにあたっては、分かりやすく暗い雰囲気を作るのではなく、自然体を心掛けたという。
「自分は陰キャだって思い込んでお芝居していたら、割とナチュラルにできましたね。多分、僕自身、もともと心の奥底に陰キャの要素があるからだと思います。周りから『陰キャだね』っていう風には言われたことはないですけど、人見知りで物静かなほう。初めましての人と会う時は、頑張って『自分から話しかけよう』っていうマインドを作らないと話しかけられないですからね。でも、親しくなって慣れてくると、割と自分の気持ちを素直になんでも出してしまうような子供っぽいところがあるかもしれません(笑)」


青春できていない青春の日々を送る加山に対しては、共感する点が多く、「自分とは違うなと思う部分は、あまりなかったかもしれないです」と自分にとって、演じやすい役だったという。
「最初、台本を読んだ時に、監督さんに『これ、僕です。僕のまんまです!』って思わず言った記憶があります。それくらい加山の気持ちに感情移入できたんですよね。皆でバッティングセンターに行くシーンがあるんですけど、加山は勇気を振り絞って自分が打って、すごく下手くそなフォームなのに一生懸命にバッドを振るんです。そこは勇気あるなって思いました。僕だったら、自分が苦手なことは極力避けてしまいがちですからね。苦手なスポーツを、まだ仲良くないみんなの前で盛り上げるためにやる姿は、ちょっとカッコいいなと思いました」
加山が修学旅行で行動を共にすることになるのは、一癖も二癖もある“ぼっち”の面々。修学旅行の自由行動では、班長の役割を果たそうと加山は奮闘するが、ぼっちたちは、「友達でもないんだし」と渋々付き合う。加山を取り巻くぼっちを演じたのは、吉田晴登、三原羽衣、松尾潤、鈴木美羽、中山ひなのの5人。広島ロケでの日々を重ねて、毎日撮影終わりにキャストの皆でご飯を食べに行くほど仲良くなったという。
「撮影現場の雰囲気も和やかで楽しくお芝居をすることができました。男子は全員スマブラが好きで、広島の宿舎でも皆でゲームをやってましたね。6人が集まると同世代というここともあり、他愛もないことでゲラゲラ笑って盛り上がるんですよ。この作品をきっかけにいまだに連絡を取り合ったり、撮影が終わってからもご飯を食べに行ったりしました」
僕はなるべく1人ではいたくないです

修学旅行中に起きたある事件をきっかけに6人が本音をぶつけ合い、距離が縮まっていくシーンは印象的。それぞれが役に入り込んで演じていたのが伝わってくるエネルギッシュなお芝居がみどころだ。
「橋の上で6人が感情をぶつけ合うシーンがあるんですが、本当に大切なシーンになりました。そこではそれぞれが感情を爆発させてお芝居に挑んだので、カットがかかった後に6人で思わず、抱き合いましたね。吉田くんは、このシーンで何回も何回も同じセリフを感情をのせて言わなくてはいけなかったんですが、毎回全力で、100%の力でお芝居をしていて。その姿を見て、自然と感情移入できたと思います。僕以外のみんなも吉田くんの熱いお芝居に引っ張られて、役をまっとうすることができたと思います」
誰にも気を遣わずに自由気ままにふるまえる“ぼっち”行動は、気楽なもの。人見知りで加山の気持ちが理解できるという野村自身は、1人ぼっちでも何でもできてしまうタイプなのだろうか。
「僕はなるべく1人ではいたくないです。ご飯はやっぱり誰かと食べたほうが美味しいですし、サウナに行くのも友達と行ったほうが楽しいと思います。でも、洋服の買い物だけは1人がいいです。人に気を遣わず、自分のペースで見たいじゃないですか。待たせているかなと思うとゆっくり見られないですから。でも、買い物以外は誰かと一緒に時間を過ごした方が楽しさも倍増すると思うので、ぼっちが好きというわけではないかもしれません」


狭いコミュニティの中で人間関係を築くのは得意という人もいれば、苦手な人も多いはず。学生時代、新学期に学校でクラスになじめず、友達をどう作ったらいいか分からないという悩みを抱える人は多いもの。積極的に自分からいけない加山のような“ぼっち”の気持ちは痛いほど理解できるという。
「僕は高校3年生の時に今まであまり話したことのない子たちがたくさんいるところに一人放り込まれた経験があって。『うわー、どうしたらこの場になじめるのかな』って悩んでた時期があったんです。『どうしたら、皆の輪に入れるのかな』って考えたんですが、やっぱり自分から話しかけることが大切だと思いました。話しかけられるのを待っているだけでは状況は変わらないので自分からいくようにしましたし、周りの人たちのいいところをたくさん知ろうと心掛けて。そんな風に自分の殻を破ろうと、もがいた経験があるので、加山たちの気持ちは分かりますね。加山もぼっちでいることを悩んでるだけじゃなくて、修学旅行で班長になったことをきっかけに勇気を振り絞って、ちゃんと行動していきます。その結果、同じ班になった面々とは、仲良くなれた。自分を変えることができたので、すごいと思います」
青春時代を振り返ってみると……

これまで等身大で演じられる普通の学生役をやりたいと言い続けてきたという野村は、今作で叶ったと笑顔を覗かせる。
「制服を着られただけでもすごく嬉しかったですし、やっぱり同年代の方々とお芝居すると、いい刺激になったので、これからもどんどん学園ものをやっていきたいと思いました。でも次は、陰キャじゃなくて、陽キャの役をやってみたいです(笑)。割と学園もので陰キャが続いたので、次はもうちょっと明るい、ちょっと天真爛漫な役もやってみたいですね。内気な役はわりとすんなり役に入り込めるんですけど、明るい役はどうなのか、やったことがないので、好奇心がくすぐられます。僕自身、高校時代は、クラスの中では物静かなタイプで。ただ、バスケットボールをやっていたので、部活では割と皆と騒いでいたと思います。」

バスケットボールに打ち込んでいた時は、仲間と過ごす時間は、まさに青春だったという。仲間たちとの日々は、どんなものだったのだろうか。
「僕はバスケ部で寮生活をしていたんです。なにか特別な出来事があるわけではないのですが、くだらないことで笑い合う時間は、楽しかったです。自主練の時も、先輩にふざけてちょっかい出したり、逆に後輩にちょっかい出されたり。振り返ると皆で、体育館で追いかけっこしながら走り回っていたあの時間は、青春でした」
今作は青春できていない側の青春映画。登場人物たちは、学校イチの人気者でも、部活に汗を流す青春を送ることもなく、決してキラキラはしてないが、愛すべきキャラクターばかり。不器用すぎて、なかなか人と交われない6人のぼっちは、どこか愛おしく映るはずだ。
「6人のキャラクター一人一人にフォーカスを当てたシーンがあるんです。それぞれにスポットが当たってるシーンを通して、自分も学生の頃、こんな感じだったなって、懐かしい気持ちにもなれると思います。僕は中学の時は修学旅行に行けたんですが、高校はコロナ禍で修学旅行に行けなかったんですよね。この映画の宣伝にあたって、今作のことを青春できてない青春映画ってすごくたくさん言ってるんですけど、6人のぼっちがひとつになっていく姿は、グッとくると思います」
親しき仲にも礼儀あり、を大切に

この主人公のように「勇気を振り絞って1歩を踏み出そうとすることは大切」と映画を通じて改めて教えられたという野村。加山は修学旅行でいつの間にか“ぼっち”を卒業していたが、ぼっちを卒業したい人にアドバイスするなら?
「『好きな食べ物は何ですか?』とか、どんなちょっとした話題でもいいので、勇気を持って自分から話しかけることが大事だと思います。人見知りの僕でも撮影現場で共演してる方に、たくさん話しかけられると嬉しいですからね。自分に興味を持ってくれているんだなと思ったら、嫌な人はいないはず。僕の場合は、韓国ドラマがすごく好きなので、韓国ドラマの話題を振ってくれたら、話がめちゃくちゃ盛り上がります。あと、男女問わず、スキンケアの話も盛り上がりますね。『普段はどんなケアをしていますか』っていろんな方に聞いています。え、僕のスキンケア方法ですか? とにかくたくさんビタミン摂取することと日焼けをしないこと。夏は日傘を差して焼けないようにしています」


そんなモデルならではの美意識が高いエピソードも飛び出す。そして、現場でいろんな人と触れ合う機会も多い野村が人付き合いにおいて心掛けていることを尋ねると、日頃から大切にしているポリシーがチラリと垣間見れた。
「何よりも感謝の気持ちを持つことを大切にしています。親しき中にも礼儀ありっていう言葉がありますけど、本当に些細なことでも何かしてもらった時は『ありがとうございます』という言葉を忘れないようにしています。そして、自分が悪いことをしたなと思った時は、『すみません』とか『ごめんなさい』ってすぐに言葉で謝罪の気持ちを伝えるようにしていますね。それは当たり前のことに思えて、なかなかできないと思うので、意識して言うように心掛けたいです」
今年は『クジャクのダンス、誰が見た?』、『パラレル夫婦 死んだ“僕と妻”の真実』、『ディアマイベイビー~私があなたを支配するまで~』など、多数のドラマに出演。今後は俳優としてどんな存在を目指したいのか、質問をするとまっすぐな眼差しで回答してくれた。
「お芝居が上手になりたいのはもちろんですけど、俳優は表舞台に立つ人間。見る人に良くも悪くも影響を与えてしまう立場でもあるので、お手本になるような人間を目指したいです。表現力と人間性により磨きをかけて、たくさんの人に愛されるような俳優さんになりたいですね。スタッフさんや周りにいる人たちを大切にして、常に感謝の気持ちを持ちながら、俳優として活躍できたらいいですよね」

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<作品情報>
映画『6人ぼっち』
5⽉2⽇(⾦)より新宿ピカデリーほか全国順次公開

配給 : ギグリーボックス
©2025『6⼈ぼっち』製作委員会
野村 康太 吉田 晴登 三原 羽衣 松尾 潤 鈴木 美羽 中山 ひなの
小西詠斗 賀屋壮也(かが屋)
Sora 八条院 蔵人 雪見 みと 溝口 奈菜 伊吹(伊吹とよへ) 篠崎 彩奈 倉本 琉平 河本 景
下野 由貴 黒江 こはる 神志那 結衣 桜木 那智
監督/ 宗綱 弟 企画・脚本 / 政池 洋佑
エグゼクティブプロデューサー / 野田 爽介 プロデューサー / 熊田 泰祐
音楽 / 坂本 秀一 編集 / 上野 聡一
製作幹事 / FOR YOU 制作プロダクション / isai
配給 / ギグリーボックス 配給協力 / フューレック
©2025『6人ぼっち』製作委員会
2025年作品/カラー/上映時間:85分/シネスコサイズ
公式HP:https://6ninbocchi.com/
公式SNS X・Instagram:@6ninbocchi
撮影/梁瀬玉実、取材・文/福田恵子
ヘアメイク/SUGA NAKATA(GLEAM)
スタイリスト/能城匠(TakumiNoshiro)
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