八代目尾上菊五郎&六代目尾上菊之助の襲名披露興行開幕、「伝統と革新に則り精進してまいる覚悟」
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松竹創業百三十周年 尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎襲名披露 尾上丑之助改め六代目尾上菊之助襲名披露「團菊祭五月大歌舞伎」昼の部「京鹿子娘道成寺」より。
松竹創業百三十周年 尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎襲名披露 尾上丑之助改め六代目尾上菊之助襲名披露「團菊祭五月大歌舞伎」が、昨日5月2日に東京・歌舞伎座で開幕した。
「團菊祭」は、九世市川團十郎と五世尾上菊五郎の偉業を顕彰し、毎年5月に行われる公演。今回は、尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎、尾上丑之助改め六代目尾上菊之助の襲名披露興行として実施される。
昼の部は「寿式三番叟」で幕開け。中村又五郎の翁、中村雀右衛門の千歳をはじめ、尾上松也、中村歌昇、中村萬太郎、尾上右近、中村種之助の三番叟、中村米吉の附千歳といった花形がそろう。そして「勧進帳」では、武蔵坊弁慶を市川團十郎、富樫左衛門を八代目菊五郎、源義経を中村梅玉が勤めた。襲名披露狂言より前の演目に、襲名する俳優が出演することは異例だが、“令和の團菊”の共演で「團菊祭」の幕を開けたいという八代目菊五郎たっての希望で実現した。
続く「三人吉三巴白浪」では中村錦之助が和尚吉三、坂東彦三郎がお坊吉三、中村時蔵がお嬢吉三を演じ、3人の盗賊が運命的に出会い、義兄弟の契りを交わす場面「大川端庚申塚の場」が披露された。昼の部のラストを飾る「京鹿子娘道成寺」は、八代目菊五郎と六代目菊之助の親子共演に、坂東玉三郎が華を添える“三人花子”の趣向で上演された。襲名披露興行ならではの豪華絢爛な道成寺に、客席からは惜しみない拍手が送られた。
夜の部の幕開きを飾るのは「義経腰越状」。禁酒を破り、大酔して三番叟を踊る五斗兵衛を尾上松緑が勤めるほか、九郎判官義経役を中村萬壽、亀井六郎役を尾上左近、伊達次郎役を種之助、錦戸太郎役を坂東亀蔵、泉三郎忠衡役を河原崎権十郎が担う。
続く「口上」では、舞台上に八代目菊五郎と六代目菊之助をはじめ、七代目菊五郎、梅玉、玉三郎、坂東楽善、松緑、團十郎らが顔を合わせた。八代目菊五郎は「親子2代で盛大に襲名興行を催せること、ご列座の皆々様のお力添え、関係各位のご厚情、いずれも様方のご後援の賜物と篤く篤く御礼申し上げ奉りまする。歴代の菊五郎が大切にしてまいりました伝統と革新に則りまして、精進してまいる覚悟」と決意を示す。八代目菊五郎が「初代が菊五郎を名乗りまして約300年。ここに、史上初めて2人の菊五郎が並び立つことに成りましてござりまする」と述べる場面では、客席から温かい笑い声が響いた。六代目菊之助は「大きな名跡を襲名させていただく感謝とともに、立派な歌舞伎俳優になれますよう、いずれも様、この後もご後援のほどお願い申し上げ奉りまする」とあいさつし、七代目菊五郎も「こうして親子3代そろって舞台に立てること、この上の喜びはございません」と感謝を口にした。
夜の部を締めくくるのは襲名披露狂言「弁天娘女男白浪」。五世菊五郎が初演で弁天小僧菊之助を演じてから、音羽屋ゆかりの芸として受け継がれてきた河竹黙阿弥の名作となる。今回は、「浜松屋見世先」「極楽寺屋根立腹」の場で八代目菊五郎が、「稲瀬川勢揃い」の場で六代目菊之助が弁天小僧菊之助を勤める。白浪五人男がツラネを述べる名場面「稲瀬川勢揃い」の場では、弁天小僧菊之助役の六代目菊之助をはじめ、日本駄右衛門役の市川新之助、忠信利平役の坂東亀三郎、南郷力丸役の尾上眞秀、赤星十三郎役の中村梅枝といった同世代の俳優が勢ぞろい。彼らの堂々とした演技に客席が盛り上がりを見せる。大詰「滑川土橋」の場では、青砥左衛門藤綱役の七代目菊五郎、その子分・伊皿子七郎役の八代目菊五郎という“2人の菊五郎”が、日本駄右衛門役の團十郎と共演し、襲名披露興行を締めくくった。
「團菊祭五月大歌舞伎」は5月27日まで。
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