『江戸の名プロデューサー 蔦屋重三郎と浮世絵のキセキ』千葉市美術館で 写楽や歌麿など蔦重が見出した絵師たちを中心に浮世絵の名品を大公開
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東洲斎写楽《三代目大谷鬼次の江戸兵衛》寛政6年(1794) 千葉市美術館蔵
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すべて見るNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』をきっかけとして再注目されている、江戸時代中期〜後期に活躍した版元、「蔦重」こと蔦屋重三郎。その蔦屋重三郎を中心に、蔦屋とともに浮世絵を制作した絵師たちの浮世絵の数々を紹介する『江戸の名プロデューサー 蔦屋重三郎と浮世絵のキセキ』が、5月30日(金)〜7月21日(月・祝)、千葉市美術館で開催される。
1750年に吉原(現在の東京都台東区千束)に生まれ、安永から寛政の時代に版元として活躍。これは多色摺の浮世絵が発展した時期と重なっている。なかでも天明・寛政期にはより奥深く繊細な色彩が出せるようになったことから優れた浮世絵師たちが活躍。江戸の町人文化の隆盛とともに、大衆芸術としての浮世絵が華開いた「浮世絵の黄金期」と言われている。
そんな時代に彗星の如く現れた蔦屋は、新興の版元として、喜多川歌麿を人気絵師へと仕立てた。上半身をクローズアップした妖艶な美人大首絵を手がけた歌麿。また、現代ならブロマイドとも言われる役者の大首絵を描いた東洲斎写楽。彼らを見出し、いわばプロデュースした蔦屋は、その後の浮世絵を大きく変えた。

同展では他にも、浮世絵の始祖で房州出身の菱川師宣、多色摺の浮世絵を創始し、可憐な美人画を描いた鈴木春信、「凄艶」とも表される退廃的な美人画を得意とした渓斎英泉、言わずと知れた葛飾北斎や歌川広重などを紹介。蔦屋が生まれた時代から黄金期の浮世絵の展開、やがて世界のUkiyo-eとして発展していく様子をたどる。浮世絵のコレクションでも名高い千葉市美術館だけに楽しみだ。

また、開館30周年の千葉市美術館ではほかにも『日本美術とあゆむー若冲、蕭白から新版画まで』、常設展『千葉市美術館コレクション選』が同時開催され、重なる時代の作品やその先の美術の流れなども知ることもできる。ぜひ併せて鑑賞したい。
<開催概要>
『開館30周年記念 江戸の名プロデューサー 蔦屋重三郎と浮世絵のキセキ』
会期:2025年5月30日(金)~7月21日(月・祝)
会場:千葉市美術館
時間:10:00~18:00、金土は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(7月21日は開室)
料金:一般1,500円、大学1,000円
公式サイト:
https://www.ccma-net.jp/exhibitions/special/25-5-30-7-21/
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