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前進座「裏長屋騒動記」に監修・脚本の山田洋次「笑いでセリフが聞こえないくらい楽しい舞台に」

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前列左から曽我廼家寛太郎、山田洋次、柳生啓介。後列左から河原崎國太郎、嵐芳三郎。

前進座歌舞伎公演「裏長屋騒動記」が、5月30日から6月8日まで東京・サンシャイン劇場で上演される。それに向けて5月13日に東京都内で制作発表が行われ、監修・脚本を手がける山田洋次と、らくだの馬役を演じる松竹新喜劇の曽我廼家寛太郎、藩主 赤井綱正役の河原崎國太郎、屑屋久六役の柳生啓介、緋鯉の半次役の嵐芳三郎が登壇した。

「裏長屋騒動記」は、山田が古典落語「らくだ」「井戸の茶碗」をもとに書き下ろし、山田と前進座により創作歌舞伎として2017年に初演された作品。今回の上演では小野文隆が演出を担当する。

1985年に前進座に加入した柳生は「まさかこの年齢で、憧れの山田洋次監督の作品で大役をいただくとは、夢にも思いませんでした」としみじみと話し、「とはいえ時々、夢を見ております。帝国ホテルのような(立派な)部屋に記者が100人くらいいらして、監督の横で心境を聞かれ、私が話そうとしたらカラスが『カア』と鳴いて目が覚めてしまうんです(笑)。今も夢の続きを見ている気がしますが、目が覚めないうちに夢中で演じ、夢をかなえたい。私の存在のすべてをこの舞台に注ぎ込みたいと思います」と語る。

本公演で緋鯉の半次役を勤める芳三郎は、「8年前の初演で屑屋久六役を演じたのですが、初めて監督にこってりと演技指導をしていただき、大変な宝物になりました。1つのお芝居で2つの役を監督に見ていただけるなんて、これほど幸せな役者はいません。もう1つ楽しみなこととしては、40年来の大親友で飲み仲間の柳生啓介と、役としてお酒を飲むシーンがあります。お客様に親友同士の飲み会を見せるわけではないので(笑)、飲むうちに立場が逆転していく面白さ監督に教えていただきながら、作り上げていきたい」と意気込みを述べた。

國太郎は「女方をやっている役者ですが、8年前に監督にお殿様の役をやってみないかと言われました。凛々しいお殿様ではない、というのが監督の私への見解かと思うのですが、おかげで『一万石の恋』というお芝居に発展し、お殿様の芝居を作っていただきました。5分も出ていないような役ですが、印象に残れば良いなと思っております」とコメント。また、「今回はほとんど新配役でやらせていただきます。前身座がお送りする山田洋次監督書き下ろしの歌舞伎作品を、しっかりと継承していってもらえれば」と続けた。

寛太郎は「伝統ある前進座さんの歌舞伎公演に参加させていただき、緊張と光栄な思いでいっぱいです。まして山田洋次監督の手ほどきのもと、この作品に関われることは、うれしいやら怖い思いをするやらでございます」と心境を話しつつ、「藤山寛美が亡くなる5年前に國太郎さんのおじい様が新橋演舞場の松竹新喜劇公演に特別出演をしていただいて以来、交流を持たせていただいております。40年経ち、歌舞伎の劇団に新喜劇の私が出させてもらうことにご縁を感じます。劇団の任意を損なうことなくお客様に喜んでもらうということを第一に、また、山田洋二監督によって新たな私を見いだしていただけたらなと、期待しております」と笑顔を見せた。

山田は「伝統的な歌舞伎の演じ方にリアリズムの演劇を結び付け、笑える舞台を作りたい。お客様の大笑いで俳優のセリフが聞こえなくなってしまうくらい、楽しい舞台になったら。それはとても大変なことですが、その大変さを前進座の皆さんと一緒に体験したいと思います」と語った。

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