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メジャーリーグを舞台に同性愛、人種差別などを描く『Take Me Out』2025開幕!三浦涼介、玉置玲央、章平、原嘉孝らが魅せる重厚なセリフ劇

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舞台『Take Me Out』2025初日前会見より、前列)演出の藤田俊太郎(左端)とレジェンドチーム 後列)ルーキーチームの面々

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メジャーリーグのスター選手が同性愛者であるとカミングアウトしたことに端を発したチームの混乱を描き、2003年のトニー賞演劇作品賞に輝いた舞台が『Take Me Out』2025として、2016年、2018年に続く日本で3度目の公演を迎える。“レジェンドチーム”、“ルーキーチーム”という2チームでの公演となるが、5月17日の開幕を前に16日、両チームが出席しての会見が行われ、レジェンドチームによるゲネプロの模様も公開された。

会見には玉置玲央、三浦涼介、章平、原嘉孝、小柳心、渡辺大らキャスト陣23名(※ルーキーチームの八木将康は欠席)と演出の藤田俊太郎が出席した。メジャーリーグの定番ソング「Take Me Out to the Ball Game(私を野球に連れてって)」が流れる中、キャスト陣はユニフォーム姿で登壇。レジェンドチームの玉置は「今日まで良い稽古ができたと思います」と語り、三浦は「この日を迎えて、身が引き締まる思いです」とうなずく。原はレジェンドチームについて「チームワークがすごく良いです。もっともっと深いところに辿り着くように1日、1日、考えながら精一杯演じていきたいと思います」と意気込みを口にする。

前列左から)三浦涼介、玉置玲央、章平
前列左から)加藤良輔、渡辺大、原嘉孝、三浦涼介

一方、全キャストが一般公募(計330名)によるオーディションを経て選ばれたルーキーチームも、富岡晃一郎が「(レジェンドとは)全く違う作品になっていると思います」と自信をのぞかせ、野村祐希も「レジェンドチームに負けないように頑張っています!」と対抗心を燃やしていた。

演出として2チームの指揮を執る藤田は「制作発表の時に『重厚なセリフ劇のレジェンドチームと躍動する群集劇のルーキーチーム』と言いましたが、稽古を重ねて、全く違う作品になっております。オープニング、エンディング、解釈、上演時間も違います。とことんいこうと、同じシーンをつくらないことを目標にキャスト一人ひとり個性も魅力も炸裂しています。『言葉で始まり言葉と光で終わるレジェンドチーム』と『言葉で始まり言葉と心で終わるルーキーチーム』となっています。自信あります!乞うご期待です!」と言葉に力を込めた。

キャスト陣は、互いのチームの稽古の見学もしたそうで、玉置は「(チームごとに)見せたいもの、意図がまるっきり違う」と驚きを口にする。三浦はレジェンドチームについて「返事(の声)がデカいですね。気に入られたいのかな……(笑)? ルーキーチームは純粋で……」と自由気ままに語り、これにはチームメイトから「おい!言葉を選べ(笑)!」とブーイングが飛ぶ。原は「みんなでゴールを共有できて、充実した稽古期間となり楽しかったです」と笑顔を見せた。

前列左から)玲央バルトナー、加藤良輔、渡辺大、原嘉孝、三浦涼介、玉置玲央、章平

重厚かつ刺激的なセリフ劇。玉置玲央、三浦涼介、章平、原嘉孝ら出演レジェンドチームゲネプロレポート

この日は、翌日(17日)に初日を迎えるレジェンドチームによるゲネプロが公開された。物語は、メジャーリーグで首位を走るエンパイアズのスター選手であるダレン(章平)が、シーズンの途中で突如、自身が同性愛者であることをカミングアウトした記者会見の直後から始まる。チームメイトでダレンと仲の良いキッピー(三浦)や監督、キャッチャーのジェイソンも好意的に受け止め、ダレンの財務を担う会計士のメイソンもダレンへの憧憬と敬意を胸に彼に寄り添おうと努める。一方でチーム内でもトッディ(渡辺)はダレンの言動に明らかな敵意を見せ、ドミニカ出身のマルティネス(陣内将)、ロドリゲス(加藤良輔)らも怪訝な態度を示す。

『Take Me Out』2025 レジェンドチームゲネプロより
『Take Me Out』2025 レジェンドチームゲネプロより
『Take Me Out』2025 レジェンドチームゲネプロより
『Take Me Out』2025 レジェンドチームゲネプロより

チームは足並みがそろわず、負けが続くが、そこに救世主として現れたのが若きピッチャーのシェーン・マンギット(玲央バルトナー)。彼の活躍もあって、再びチームは活気を取り戻すが、TVのインタビューでシェーンが発した言葉が物議を醸し、再びチームは混乱に陥っていく……。

『Take Me Out』2025 レジェンドチームゲネプロより

本作がアメリカで初演されたのは23年前の2002年。性的マイノリティや人種差別といった事柄に対する世界(そして日本)の認識や受け止めは大きく変わったはずだが、四半世紀近くを経ても色あせることなく、観る者を惹きつける。それは、ここで扱われるさまざまなテーマがいまなお変わらずに存在し続けているという事実はもちろん、それだけでなく、本作で描かれるのは、そうした特定の事象のことだけではなく、アイデンティティの確立、他者への想像を働かせ、相手を理解する難しさといった、我々の社会に常に存在する普遍的なテーマを描いているからに他ならない。

『Take Me Out』2025 レジェンドチームゲネプロより

一連の喧騒の中心にいるダレンは、白人の父親と黒人の母親を持ち、裕福な中産家庭に生まれ育ち、幼い頃から人種差別とは無縁のエリートの道を歩んできた。そんな背景もあってか、彼はカミングアウトをしても、周囲に対し同情を求めず、性的マイノリティであっても“弱者”として見られることをハッキリと拒否し強くあろうとする。カミングアウト直後、この先の苦労を気遣うキッピーにダレンは「つらいことなんてない」と言い放ち、あくまでもスーパースターとして自信満々にふるまうが、そんな彼の姿勢がまた周囲の理解や反発との齟齬を生んでいくことになる……。

『Take Me Out』2025 レジェンドチームゲネプロより

ダレンのカミングアウトにまつわる喧騒だけでなく、異国の地で周囲とのコミュニケーションもままならずに苦悩する日本人投手のタケシ・カワバタ(原)の抱える孤独、シェーンの壮絶な過去など、さまざまな事実が露わになっていくが、キッピーはこうしたトラブルや衝突に直面しても冷静さを保ってチームメイトの間に立ち、言葉と理性で“理解”することをあきらめない。だが、そうした正しく、温かい姿勢が、必ずしも当事者の求めているものではなく、問題を解決に導くわけでもないという現実も見えてくる……。

『Take Me Out』2025 レジェンドチームゲネプロより
『Take Me Out』2025 レジェンドチームゲネプロより
『Take Me Out』2025 レジェンドチームゲネプロより

章平、三浦、玉置、原らキャスト陣はそれぞれ、複雑に絡み合った事情や背景を抱えるキャラクターを知性とユーモアを交えて見事に演じている。まさに藤田の予言通り、実力派俳優陣による重厚かつ刺激的なセリフ劇としてじっくりと楽しめる作品となっており、23日に初日を迎えるルーキーチームがどんな違いを見せてくれるかも楽しみだ。

『Take Me Out』2025 レジェンドチームゲネプロより

東京公演は有楽町よみうりホールにて6月8日(日) まで。5月23日(金) からはルーキーチームによる公演も行われる。その後、レジェンドチームによる愛知(名古屋)公演(Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール)が6月14日(金)、15日(土)、岡山公演(岡山芸術創造劇場 ハレノワ 中劇場)が6月20日(金)、21日(土)、兵庫公演(兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール)が6月27日(金) から29日(日)まで開催。

取材・文:黒豆直樹

<公演情報>
舞台『Take Me Out』2025

作:リチャード・グリーンバーグ
翻訳:小川絵梨子
演出:藤田俊太郎

出演:
[レジェンドチーム] 玉置玲央、三浦涼介、章平、原嘉孝、小柳心、渡辺大、陳内将、加藤良輔、辛源、玲央バルトナー、田中茂弘
ベンチ入り(スウィング):本間健太

[ルーキーチーム] 富岡晃一郎、八木将康、野村祐希、坂井友秋、安楽信顕、近藤頌利、島田隆誠、岩崎MARK雄大、宮下涼太、小山うぃる、KENTARO
ベンチ入り(スウィング):大平祐輝

【東京公演】
2025年5月17日(土)~6月8日(日)
会場:有楽町よみうりホール
※ルーキーチームは5月23日より
※全30公演(レジェンドチーム20回、ルーキーチーム10回)

【愛知(名古屋)公演】
2025年6月14日(土)・15日(日)
会場:Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
※全3公演(レジェンドチーム3回、デイビー・バトル役は宮下涼太が出演)

【岡山公演】
2025年6月20日(金)・21日(土)
会場:岡山芸術創造劇場ハレノワ 中劇場
※全3公演(レジェンドチーム3回、デイビー・バトル役は宮下涼太が出演)

【兵庫公演】
2025年6月27日(金)~29日(日)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
※全4公演(レジェンドチーム4回、デイビー・バトル役は宮下涼太が出演)

チケット情報
https://w.pia.jp/t/takemeout/

公式サイト
https://takemeout.jp/

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