ヤン・シュヴァンクマイエルが“最後の長編劇映画”と宣言、「蟲」など最新3作が公開
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「蟲」場面写真©Athanor Ltd.
ヤン・シュヴァンクマイエルが2018年に完成させた「蟲」が、8月9日より東京のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開。シュヴァンクマイエルを追ったドキュメンタリー「錬金炉アタノール」と、彼のコレクションを映し出す記録映画「クンストカメラ」も同時上映される。
シュヴァンクマイエルが「最後の長編劇映画」と宣言して完成させた「蟲」は、チェコの国民的作家であるチャペック兄弟の戯曲「虫の生活」に取り組む、小さな町のアマチュア劇団の物語だ。とある稽古日、コオロギ役を兼任する演出家はメンバーたちのやる気のなさに怒りが収まらない。不穏な空気でリハーサルが進む中で劇の展開と役者たちの行動が交錯し、舞台には惨劇が訪れる。演劇の中の物語、それを演じる役者の姿、さらには「蟲」のメイキングも同時進行で提示されるメタ構造になっている。制作時にはクラウドファウンディングが行われ、スティーヴン・クエイとティモシー・クエイのクエイ兄弟やギレルモ・デル・トロのほか、日本を含めた世界中のファンからの出資によって完成した。
「錬金炉アタノール」は、シュヴァンクマイエルの創作上のパートナーでもあった亡き妻エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーの思い出や、製作を長年支えてきたプロデューサーであるヤロミール・カリスタとの愛憎入り交じる関係、そして日常生活を送る姿など、彼のさまざまな側面が赤裸々に映し出される。監督はヤン・ダン、アダム・オルハが務めた。
「クンストカメラ」の舞台はチェコの南西部ホルニー・スタニコフにあるお城と旧穀物庫。シュヴァンクマイエルが世界中から集めた絵画や彫像、動物の剥製や貝殻、自身や妻の作ったオブジェなどのコレクションが、ヴィヴァルディの「四季」の流れる中、ナレーションもなしに延々と映し出される。
あわせて3作の本予告がYouTubeで公開されたほか、コラージュアーティストのQ-TAによる「蟲」のポスタービジュアルも到着した。シアター・イメージフォーラムでは特典付き前売り券が販売中。チェコ版ビジュアルのポストカード付き1回券と、チェコ版ビジュアルのミニポスター付き3回券の2種が用意された。またシアター・イメージフォーラムでは、最新3作品に加えて「アリス(1988年)」「ファウスト(1994年)」「オテサーネク 妄想の子供」「サヴァイヴィング ライフ -夢は第二の人生-」も上映予定。