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和×ロックな世界観で佐藤流司、橋本良亮らが魅せる男たちの友情と生き様 舞台『近松忠臣蔵』稽古場レポート

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近松門左衛門の末裔である近松洋男の『口伝解禁 近松門左衛門の真実』をベースに、武士を捨てて戯作者となった近松門左衛門と大石内蔵助(大石良雄)のドラマを描く舞台『近松忠臣蔵』。上演台本・演出の鈴木勝秀が2019年に 舞台『THE BLANK!~近松門左衛門空白の十年~』に描いた二十代の近松門左衛門と大石良雄の友情物語の続編となる物語だ。

佐藤流司

大石内蔵助(大石良雄)役を演じる佐藤流司、近松門左衛門役を演じるA.B.C-Zの橋本良亮は、2023年に鈴木が上演台本・演出を務めた、音楽劇「『逃げろ!』~モーツァルトの台本作者 ロレンツォ・ダ・ポンテ~」でも共演経験があり、今回の作品においてもバディとして大石と近松の友情を描き出す。

橋本良亮

さらに、瀧陽次朗、瀬戸祐介、細見大輔、ブラザートムが、音楽を務める大嶋吾郎をはじめとするミュージシャンとともに魅力溢れる舞台を作り上げる。開幕まで約1週間というタイミングで、稽古場取材を行った。

鈴木の演出は、稽古終盤になると毎回通し稽古を行い、その上でシーンごとに返しをし、ブラッシュアップをしていくスタイルだという。この日はキャスト、ミュージシャン全員が紋服を身にまとった状態での通し稽古を見ることができた。

客入れの音楽が終わり、ミュージシャンがステージ上に現れると、冒頭から客席を巻き込むパフォーマンスがスタート。ロックテイストな楽曲を佐藤と橋本が歌唱し、他キャストも手拍子や観客の声出しを煽るという、ライブのような空気を作っていく。稽古場ではスタッフやステージに出ていないキャストが盛り上げ、熱気あるシーンを作り上げていた。

『忠臣蔵』といえば、江戸時代に赤穂藩主・浅野内匠頭長矩が高家肝煎・吉良上野介義央に刃傷に及んだ事件を発端に、幕府の処分を不服とする赤穂藩の浪士たちが吉良邸に討ち入ったという出来事を描いた作品。

とはいえ、本作においては史実に関する深い知識は必要ない。ミュージシャンと竹本義太夫(ブラザートム)がジャズのセッションのように語りを展開したり、浅野内匠頭長矩(瀬戸祐介)と吉良上野介義央(細見大輔)がコントのような応酬で刃傷沙汰に至るまでのバトルを見せたりと、ユニークな演出で、物語を追うのに必要な情報を伝えてくれる。

瀧 陽次朗
瀬戸祐介
細見大輔
ブラザートム

また、物語の軸は歴史というよりも大石と近松の友情。価値観や生き方は違うがお互いを尊重する二人の生き様に胸を打たれるはずだ。

佐藤は、武士としてはいい意味で適当な雰囲気の大石を好演。周囲から「昼行燈」と揶揄されているものの、藩の状況やそれぞれの能力をきちんと理解している視野の広さ、自分らしさを貫く芯の強さが伝わってくる。

橋本が演じる近松は、少し頑固なところもあるが賢く多彩な青年といった印象。武士の身分を捨てて戯作者の道を突き進む、思い切りの良さや凜とした佇まいが見ていて気持ちいい。

二人が藩のことを話すときはお互いに大人びた表情を見せる一方で、たわいもない話をするときは少年のような無邪気さを見せるバランスが絶妙だ。

大石が祇園の魅力を語る様子を近松が楽しそうに聞く様子、勘六(瀧陽次朗)のダンスを二人で真似る姿、台本かアドリブかわからないゆるいやりとりなど、チャーミングな二人に惹きつけられる。佐藤と橋本が共演した『逃げろ!』を彷彿とさせるシーンもあり、二人の共演や鈴木とのタッグを心待ちにしていた方はより楽しめるだろう。

そして物語は「松の廊下」での一件からはシリアスな雰囲気に。自らの立場と葛藤する大石の苦悩、親友として側で見ている近松の思いが描かれる。口調こそ前半と変わらず軽やかだが、表情の些細な変化で言葉の裏にある覚悟や深い友情、信頼を感じさせる二人の芝居が心憎い。

勘六を演じる瀧は、素直で血気盛んな若者を爽やかに表現し、犬猿の仲である浅野・吉良を演じる瀬戸と細見は力関係やお互いの嫌味をコミカルに見せ、義太夫役のブラザートムはクセの強いキャラで笑いを起こす。

キャスト6名とミュージシャン4名という、歴史物を上演するうえではかなり少人数のカンパニーながら、それぞれが個性と魅力を発揮し、上質なエンターテインメントを生み出していた。様々な楽器を駆使し、多彩なジャンルの楽曲はもちろん、効果音も担当するミュージシャンたちの活躍も大きな見どころと言えるだろう。

通し稽古後には、現在あまり使われない単語や言い回しを観客にしっかり伝えるための修正が入ったり、キャスト陣から音楽について確認が出たりと、カンパニー全体で芝居を見直していく。鈴木の「精度を上げていきましょう」という呼びかけを受けてさらに士気が高まっている様子が見られ、本番までのさらなる進化が楽しみになった。

最後に通し稽古を終えた佐藤に、稽古の手応えや意気込みを聞いた。

──日々のお稽古で見えてきた見どころ、注目ポイントを教えてください。

佐藤 『忠臣蔵』はすごく有名な話ですし、内容を知っている方も多いと思います。多くの作品がある中でも今回はかなり高難易度なのかなと思っていて。役者の力が試されるというか、役者次第で良くも悪くもなるような構成です。役者力みたいなものを感じてもらえる作品になっている気がします。

──高難易度ということですが、今回の作品ならでは大石と近松の魅力はどんなところに感じますか?

佐藤 やはり、皆さんが予想している大石内蔵助と近松門左衛門ではないところです。実際の彼らがどんな人物だったかというのは、史実を辿っても正確に証明しようがありません。その中で本作では、はっしーくん(橋本)と俺が演じている要素が強いというか、僕らが演じる意味が前面に押し出されている『近松忠臣蔵』だと思います。

──現時点での稽古の手応えは?

佐藤 暗中模索もいいところです(笑)。いまだにわかっていないというか、さっき「役者の力が試される」と言いましたが、今回は『忠臣蔵』をやるときに必要になってくるだろう立ち回りがありません。あらゆるキャストが動きを最小限に抑えていて、セリフと感情の動きのみで見せるスタイルになっているので本当に難しいです。自分が普段どれだけ立ち回りやアクションに頼っているのかということを痛感させられる舞台です。やる側も見る側も高いレベルが求められる気がしています。

──最後に、楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。

佐藤 スズカツさんを筆頭に、久しぶりのはっしーくんや見知ったメンバー、今回初めましての瀧くんと、のびのびお芝居ができることが嬉しいです。こういった機会は当分ないと思います。キャスト6人で、東京公演ではIMM THEATRE、大阪ではCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールを埋めるという暴挙に出ています(笑)。お暇だったらぜひ来てください。

取材・文/吉田沙奈
★稽古ダイジェストムービー公開中!

<公演情報>
舞台『近松忠臣蔵』

〈東京公演〉
日程:2025年5月30日(金)~6月15日(日)
会場:IMM THEATER

〈大阪公演〉
日程:2025年6月20日(金)~6月22日(日)
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/chikamatsu/

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