八代目尾上菊五郎がティファニーブルーの祝幕に感慨「夢のよう」、銀座三越で「襲名展」も開幕
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松竹創業百三十周年 尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎襲名披露 尾上丑之助改め六代目尾上菊之助襲名披露「六月大歌舞伎」祝幕お披露目会見の様子。
本日5月29日、東京・銀座三越で開催された「尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎 尾上丑之助改め六代目尾上菊之助 襲名展」のオープニングセレモニーと、東京・歌舞伎座で行われた松竹創業百三十周年 尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎襲名披露 尾上丑之助改め六代目尾上菊之助襲名披露「六月大歌舞伎」祝幕お披露目会見に、八代目尾上菊五郎が出席した。
歌舞伎座では、尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎襲名披露、尾上丑之助改め六代目尾上菊之助襲名披露として、5月に「團菊祭五月大歌舞伎」を上演。6月2日には同じく襲名披露として「六月大歌舞伎」が開幕する。襲名を記念して銀座三越で行われる「襲名展」では、これまでの出演舞台や活躍を振り返るほか、襲名演目にまつわる歌舞伎の衣裳や小道具、2人がこれまでに出演した舞台の台本などを展示。また等身大アクリルスタンドが設置されたフォトスポットも用意されている。
「襲名展」オープニングセレモニーでは、八代目菊五郎と、銀座三越の山下賢二店長がテープカットを行った。八代目菊五郎は「350年の歴史を持つ三越で襲名展をさせていただけて光栄。三越は、お客様が違う物事に触れたことで起きる“心の化学変化”と、グローバルストアとしての伝統、品格、多様性を大切にしていると伺いました。音羽屋も伝統と革新の両輪で歌舞伎界に貢献し、お客様の心に化学変化を起こし、歌舞伎を楽しんでもらう努力をしてきた。6月はぜひ三越でお弁当を買って、歌舞伎座の公演を観てほしい(笑)。そして襲名展もご覧いただきつつ、三越でお買い物を楽しんでいただけたら」と笑顔を浮かべた。
続いて報道陣は歌舞伎座へ。祝幕は、初舞台や襲名披露興行の際に、定式幕の代わりに使用される特別な引幕。ティファニーが贈呈する「六月大歌舞伎」の祝幕では、原画を日本画家の大河原典子が担当した。
会見冒頭、定式幕が引かれると、ティファニーブルーを基調とした美しい祝幕が現れる。今回の祝幕に描かれたのは、“菊富士曙”。大河原は祝幕について「菊の花(八代目)を富士山に見立て、大らかに清々しく高くそびえる心意気を込めました。横に咲く蕾は六代目菊之助さんをイメージして、今花開こうとされているエネルギーをイメージしました。脇に3個ある蕾は、お二人を支えるご家族や一門の方々を象徴するものとして、今後ますますのご発展を寿ぐ気持ちで描きました。背景にはティファニーブルーのグラデーションを取り入れ、右下から左上に向かって夜が明けていく様を象徴しています。実際の菊はこの絵のようには咲くことはないのですが、いわゆる絵空事を描くことで、視覚ではみえないけれどそこにあるものを表現したいと考えました。この度の御襲名、心よりお祝いを申し上げます」と、コメントを寄せた。
花道から登場した八代目菊五郎は感慨深そうに幕を見上げ、「大輪の菊の花(の幕)がこの歌舞伎座にかかった。『六月大歌舞伎』も気持ちを新たにして、“高潔”を花言葉に持つ菊が咲くように、親子で襲名披露興行を懸命に勤めます」とコメント。また結婚指輪がティファニーだという八代目菊五郎は「我が家には節目ごとに、ティファニーの品物が増えてきた。襲名の折に祝幕を贈呈いただくとは夢のようなお話で、感激しています」と喜びを口にした。
5月27日に千秋楽を迎えた「團菊祭五月大歌舞伎」では千秋楽のみ、七代目尾上菊五郎、八代目菊五郎、六代目菊之助が並んだ。六代目菊之助の希望で実現したという親子三代の“共演”について、八代目菊五郎は「伝統や継承の重みを、身をもって感じた。私はかつて祖父(七代目尾上梅幸)から『菊之助を襲名しないか』と勧められたときに自信が持てず、結局、襲名する前に祖父は亡くなってしまった。その後悔が残っていましたが、息子が舞台をがんばってくれたので、父にも祖父にも少しは恩返しができたかなと」と話す。
また八代目菊五郎は「團菊祭五月大歌舞伎」での六代目菊之助の奮闘ぶりを「『京鹿子娘道成寺』で、息子は(坂東)玉三郎のお兄さんにも私にも、必死に食らいついていた。菊之助としての修行の第一歩を素晴らしい形で踏み出せた」「11歳なりに白拍子花子、(『弁天娘女男白浪』の)弁天小僧菊之助になりきれていたと思う」と称賛した。
さらに八代目菊五郎は、「團菊祭五月大歌舞伎」の口上で、同級生である市川團十郎が“同級生ならでは”のエピソードを語ったことにも言及。「口上で、團十郎さんが毎日のように思い出話をしてくれて驚いた。幼なじみのように育ったのに、お互いに忙しく一緒に食事する機会も減っていた。『團菊祭』を機にまた2人で会ったり、子供同士で交流したりと共に過ごせたら」と述べた。
退場間際、八代目菊五郎はもう一度花道に戻り、改めて祝幕を眺めて「素晴らしいですよね」とニッコリ。笑顔で記者たちに一礼し、会見は終了した。
「六月大歌舞伎」は、6月2日から27日まで東京・歌舞伎座で上演される。
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