杉原邦生の“KUNI オペラ”、全国共同制作オペラ「愛の妙薬」ビジュアル&詳細発表
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2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」ビジュアル
2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」の公演詳細とビジュアルが公開された。
全国共同制作オペラは、2009年度にスタートしたプロジェクト。全国の劇場・音楽堂、芸術団体等が連携し、単館では成しえない、独創的かつ高いレベルのオペラを新演出で制作する。今回は指揮をセバスティアーノ・ロッリ、演出をオペラ初演出の杉原邦生が担当し、東京・大阪・京都で上演される。
「愛の妙薬」は美人で聡明、ちょっと勝ち気な娘アディーナと、彼女に恋する純真無垢な青年ネモリーノが、偽の惚れ薬・愛の妙薬によって結ばれるロマンティックコメディ。今回、アディーナ役を高野百合絵、ネモリーノ役を宮里直樹(東京・大阪公演)と糸賀修平(京都公演)、ベルコーレ役を大西宇宙(東京・大阪公演)、池内響(京都公演)、ドゥルカマーラ博士役をセルジオ・ヴィターレ、ジャンネッタ役を秋本悠希が演じ、ダンサーとして福原冠、米田沙織、内海正考、水島麻理奈、井上向日葵、宮城優都が出演する。
上演に向け、ロッリは「ベートーヴェン、そしてシラーも想いを託した『人類みな兄弟』という言葉は、今作のドニゼッティの声を通して、 より強く、今を生きる私たちに響くことでしょう」とコメント。杉原は「『愛の妙薬』を初めて観た(聴いた)とき、なんだかカワイイ作品だな、と一番に感じました。スペインのバスク地方の小さな村を舞台に、偽りの恋薬に翻弄される人々の姿が、僕にとってはとてつもなくカワイく思えたのです。いまや〈カワイイ〉は世界共通語となり、その言葉の持つ意味も大きな拡がりを見せています。僕が感じた〈カワイさ〉をキーワードに、祝祭感と多幸感溢れる作品にしたいと思っています」「このメンバーでお贈りする『KUNI オペラ』第一弾(笑)にどうぞご期待ください!」と意気込みを語った。
公演は11月9日に東京・東京芸術劇場 コンサートホール、16日(日)大阪・フェニーチェ堺 大ホール、来年1月18日に京都・ロームシアター京都 メインホールにて行われる。東京公演は7月4日、大阪公演は6月14日、京都公演は6月28日に一般前売りをスタートする。
セバスティアーノ・ロッリ コメント
ロマン派喜歌劇の礎となった「愛の妙薬」を深く理解するには、それ以前の様式との比較が鍵となります。それまでイタリア・メロドラマの喜劇といえば、登場人物も音楽も、共感が望めないものでした。そんな典型を覆したのが、1832年生まれの今作です。観客が登場人物たちと一緒に泣いたり笑ったりできるようになったことは、当時、大変画期的な出来事でした。背景には、フランス革命で見いだされた、社会の平等への理想や憧れがあります。喜劇は社会参加の場となり、劇場は娯楽としての空間から成熟へと向かう契機となりました。ドニゼッティの特筆すべき音楽的手法は感情移入を誘い、狡猾なドゥルカマーラ博士や、貧農のネモリーノをはじめとした登場人物へ観客は自身を投影していきます。それまで女王など高貴な人物のための楽器であったハープが、農民の若者の涙ぐましい歌声を支えるようになった変化には、人間の気高さとは出自などの生得的なものではなく、精神的なものであるというメッセージが込められています。ベートーヴェン、そしてシラーも想いを託した「人類みな兄弟」という言葉は、今作のドニゼッティの声を通して、より強く、今を生きる私たちに響くことでしょう。
杉原邦生 コメント
〈演出家〉という肩書きを主として活動しているからには、いつかオペラの演出をしたいと思い続けてきました。なので、「初めまして、お待ちしておりました」という気持ちです。しかも、どちらかといえば〈悲劇の演出家〉に属する僕にとって〈喜劇〉というのも新鮮で、「そうきましたか!」という思いです。
「愛の妙薬」を初めて観た(聴いた)とき、なんだかカワイイ作品だな、と一番に感じました。スペインのバスク地方の小さな村を舞台に、偽りの恋薬に翻弄される人々の姿が、僕にとってはとてつもなくカワイく思えたのです。いまや〈カワイイ〉は世界共通語となり、その言葉の持つ意味も大きな拡がりを見せています。僕が感じた〈カワイさ〉をキーワードに、祝祭感と多幸感溢れる作品にしたいと思っています。
指揮のセバスティアーノ・ロッリさんをはじめ、素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんにお集まりいただきました。また、ダンサーには過去に僕の演出作品を彩ってくれた俳優、ダンサーたちが名を連ねてくれました。このメンバーでお贈りする「KUNI オペラ」第一弾(笑)にどうぞご期待ください!
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