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稲葉賀恵&一川華が「Downstate」日本初演に挑む、未成年者への性犯罪加害者を巡る会話劇

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稲葉賀恵

ポウジュ Vol.2「Downstate」が、12月11日から21日まで東京・駅前劇場で上演される。

ポウジュは、演出家の稲葉賀恵と翻訳家の一川華が“翻訳”という営みを追求するために、昨年設立した演劇ユニット。第2弾となる今回は、トニー賞やピュリツァー賞を受賞したアメリカの劇作家ブルース・ノリス作品の日本初演に挑む。「Downstate」は、未成年者に対する性犯罪の刑期を終えた4人の男たちが暮らすグループホームを舞台に、“許されざる罪”に対する社会の向き合い方を問う作品。2018年にアメリカ・シカゴのステッペンウルフ・シアター・カンパニーで初演されたのち、イギリス・ロンドンのナショナル・シアターやアメリカ・ニューヨークのオフブロードウェイでも上演された。

日本初演に向け、メインキャストのオーディションの開催も決定した。オーディションの詳細はポウジュ公式サイトにて確認しよう。稲葉と一川のコメントは以下の通り。

稲葉賀恵コメント

一川さんよりこの戯曲をもらって読み終えた時、その当時我が国を取り巻き露見するさまざまな「性犯罪」と呼ばれる事象について思考をめぐらせました。やがてどうして良いか分からない徒労感に囚われました。私自身少なくとも「性犯罪加害者」に対して強い憤りを感じています。しかし憤り以上の語る言葉を持ち得ていないこと、声をあげた当事者の行動を皮切りに「加害」と「被害」の二元論で殴り合ってはかき消されていく声とその世情に自分自身無力感を感じていたからです。

この作品は「性犯罪加害者」を一人の人間として造形し、その人生に触れ、想像し共有していく作業を必要とします。その行為に強い疚しさを感じることもあるかもしれません。しかしこの作品は「加害」と「被害」の二元論のその先の道に手を伸ばそうとしているとても稀有な作品です。人間の想像力の可能性を強く信じている作品です。

ポウジュという団体を翻訳者の一川華さんと創って早半年、攻めの覚悟で第二弾作品のスタートを切りたいと思います。共に伴走して下さる方を求めます。たくさんの方に出会いたいです。少しでも興味があったら声をかけてください。届きますように。

一川華コメント

この戯曲と初めて出会ったのは2023年でした。読み終わった後、これは今すぐにでも翻訳したい、上演したいと思った日のことを今でも覚えています。その後、演出の稲葉賀恵さんと共に走り出したこの企画は、多くの方からサポートをいただき、本日の情報解禁に至りました。未成年者への性犯罪加害者が主役となる本作は、本国での上演の際、激しい賛否両論を巻き起こしました。「モンスター」と社会から呼ばれるような犯罪者を、一人の人間として捉え直す。それは、非道であり、彼らの肩を持つことと同じじゃないか、と感じたお客さまがいたのかもしれません。しかし、彼らを人間として見つめ直すことは、彼らの味方をする、いわば「それは加害しても仕方ないね」という許しに繋がる行為では全くない、と思います。どんなに被害者を守り、ケアしても、加害者がこの世界にいる限り、新たな被害者が生まれてしまいます。だからこそ、彼らについて、一度立ち止まって考える時間が必要なのではないでしょうか。とても苦しく、壮絶な創作体験になると思います。並々ならぬ覚悟で、翻訳者として、ポウジュとして、この戯曲に挑む所存です。同じ船に乗ってくださる方、ぜひ奮ってご応募ください。

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