「見える子ちゃん」中村義洋が追求したのは静のホラー表現「理解できない状態が恐怖」
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「見える子ちゃん」監督の中村義洋
ホラーコメディ映画「見える子ちゃん」より、監督・中村義洋のコメントが到着した。
泉朝樹の同名マンガをもとにした本作では、ある日突然霊が見えるようになった高校生・四谷みこが、恐怖におびえながらも霊たちをひたすらスルーし続けるさまが描かれる。主演の原菜乃華がみこを演じた。
これまでも「仄暗い水の底から」や「残穢(ざんえ)-住んではいけない部屋-」などのホラーを手がけてきた中村。「霊は動かさないほうが怖い」というこだわりから、本作では“静のホラー表現”を追求したという。「一番恐ろしいと感じるのは、やはりわからないということだと思います。何かが動くというのは、それだけでなんらかの意味を帯びていますが、例えば、怒っているのか、こちらに向かって来ようとしているのか……そうした意図が見えてしまえば、むしろ恐怖は薄れる。つまり、霊の気持ちがわかれば、怖さも和らぐのだと思います。結局のところ、どういう理屈で、なぜ、こういうことが起きているのかという理由がわからない、理解できない状態こそが、人にとってもっとも恐ろしい」と語る。
また「ずっと立ち続けているとか、こちらを向くかもしれないといった点が、狙いどころなのかもしれません。例えば、劇中で神社に現れる女性の霊も、同じ動きを繰り返すような反復性を持たせているんです。動かす・動かさないという問題ではなくて、ずっと画面に映り続けているという発想を重視しています」と伝えた。
なお本作で、中村はラジオのチューニングのように周波数がぴたりと合うと霊の姿は鮮明だが、波長が合わないとぼやける“周波数理論”による演出手法も導入。これは、出演者であり、霊が“見える”人である松嶋初音が語る霊の見え方を参考にしたものだ。
「見える子ちゃん」は、6月6日より全国ロードショー。
©︎2025『見える子ちゃん』製作委員会