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狭間の揺らぎを描く、赤堀雅秋プロデュース「震度3」に荒川良々・丸山隆平・上白石萌歌

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赤堀雅秋プロデュース「震度3」出演者

赤堀雅秋プロデュース「震度3」が8・9月に東京・大阪・福岡で上演される。

本作は、赤堀雅秋が作・演出を手がけ、自ら出演もする最新作。気象庁が“屋内にいる人のほとんどが、揺れを感じる”と定めた震度、「震度3」をタイトルに掲げ、市井の人々の物語を立ち上げる。2022年「ケダモノ」以来の赤堀プロデュース作品出演となる荒川良々が主演を担い、共演者に丸山隆平、上白石萌歌のほか、水澤紳吾、山下リオ、西本竜樹、松浦祐也、あめくみちこが名を連ねた。なお、上白石、山下は本作で赤堀作品に初出演する。

赤堀は作品について、「とにかく泥臭い、人間臭い作品にしたいと思っています」「タイトル『震度3』は、平穏なのか不穏なのか、錯覚なのか現実なのか、日常なのか非日常なのか、その狭間の揺らぎを描きたいという想いから生まれました」と説明し、「今、世界には大小様々な問題があり過ぎる。そんな飽和した世の中だからこそ、目の前のどうでもいいチンケな事象をしっかり見つめたい」とコメントした。

公演は、8月21日から9月7日まで東京・本多劇場、10日から16日まで大阪の梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、19日から21日まで福岡・J:COM北九州芸術劇場 中劇場にて。チケット一般販売は7月18日10:00に開始される。赤堀のコメント全文、出演者のコメントは以下の通り。

赤堀雅秋 コメント

とにかく泥臭い、人間臭い作品にしたいと思っています。

荒川良々、あめくみちこ、水澤紳吾、松浦祐也、西本竜樹は、その格好の材料です。その中に初めてご一緒する上白石萌歌、山下リオが、いい意味で異物として化学反応を起こしてくれたら、と。特に丸山隆平という、今までは看板として大きな商業作品に幾つも立ってきた方が、本多劇場という場所で、主役ではなく泥臭く作品の中に混在することに、今からとてもワクワクします。

タイトル「震度3」は、平穏なのか不穏なのか、錯覚なのか現実なのか、日常なのか非日常なのか、その狭間の揺らぎを描きたいという想いから生まれました。

今、世界には大小様々な問題があり過ぎる。そんな飽和した世の中だからこそ、目の前のどうでもいいチンケな事象をしっかり見つめたい。最近は何回転もして、また同じ所に戻ってきてるようなジレンマを感じることもありますが、結局、書き・創る姿勢は変わらない。そういう演劇人生なんだと思います。

本多劇場は現状で、自分の作品の空気感を出すため最適の場所です。そこで醸される空気感を、旅公演でもしっかりと伝えることを毎回目指しています。観劇経験のあまりない若い人たちに、「こんな演劇があるんだ」と心を震わせてもらえるような作品を届けられるよう、力を尽くしたいと思っています。

荒川良々 コメント

赤堀作品は「ケダモノ」以来、約3年振りになります。この3年の間に元総理大臣の安倍晋三が射殺されたり、小池都知事が再当選したり、トランプが大統領に返り咲くとは思いもしませんでした。

またロシアがウクライナに侵攻したりと世の中が3年前より確実にヘンな事になっていってるような気がしてます。

少し前に呑みの席で赤堀さんに作品を創作にするに辺り核になるものはなんなのかと、ある俳優の先輩が聞いたところマジメな顔でボケもせずに、世界平和です!とキレイな眼で……もとい濁った黄色い眼で真っ直ぐに応えられてました。

そんな人です。そんな赤堀雅秋の新作です。まだ「震度3」という題名しか決まっておりませんが、お客さんや共演者、誰よりも自分が一番楽しみにしております。

丸山隆平 コメント

赤堀さんが大好きな自分にとって、「パラダイス」に続いての2度目の演出・共演にお声がけいただけたことが、まず素直に嬉しいです!

最初の、赤堀作品との出会いは映画「その夜の侍」。続いて映画「葛城事件」、さらに舞台を何作も拝見したのですが、作品の登場人物たち、そのグロテスクな部分を誇張して表現するのではなく、等身大に描いているところが大きな魅力だと感じています。今回、共演の皆さんは赤堀作品ベテランの方から初めましての方まで幅広くいらっしゃいますが、ただただ一緒に役を生き切ることが楽しみでなりません。

またタイトル「震度3」には、昔は危機感があったのに、どこかで麻痺してしまってる……。そんな印象を受けてドキッとしました。赤堀さんはじめ、共演者の方々、そして観客の皆様と一緒に、タイトルが表す“現実よりも現実”にトリップするのが楽しみです。

僕にとっては初めての本多劇場。こんな殺伐とした世の中ですが、お客様とは是非とも無事劇場でお会いしたいと思います!

上白石萌歌 コメント

初めて赤堀雅秋さんの作品に参加させていただきます。

昨年上演された「台風23号」を拝見した時は、軽快に飛び交う言葉の奥に生と死の香りがするような、不思議な感覚を覚えました。誰もがそっと胸に抱くストレンジを、どの作品でも生々しい息づかいで描いてらっしゃる印象があります。

共演の皆様は初めましての方が多いのですが、宣伝ビジュアル撮影で一堂に会した際、既によい空気が感じられたので、創り上げていく過程をご一緒できることが、さらに楽しみになりました。

タイトルから感じたのは、「日々を生きる中で生まれる心のたゆたい、不確かなものへの漠然とした不安、ぐらぐら、ふつふつと沸き立つ気持ち」。

赤堀さんの劇世界を泥くさく生きられるよう、必死に稽古にしがみつきたいと思っています。

水澤紳吾 コメント

今作で5回目の参加となる赤堀さんの舞台。回を重ねるたびに身の引き締まる思いも増して、今はよじれて切れてしまいそうな心境です。

自分にとっての赤堀作品の魅力は、劇中で描かれる、登場人物たちの心身に溜まっているよどみが暴発するところ。傍からみたら「なんで?」と引いてしまうけど、切実さの発露する瞬間に心をえぐられます。中でも「ケダモノ」での、あめくさんと荒川さんのやりとりはすごかったです。

今回共演には、私と同じく“乞食担当”の西本さん、松浦さんがいます。このところ本当に素晴らしい芝居をしているお二人で、追いついていけるか心配です。私には、気合で食らいついていくしかできないので、必死にやります。

赤堀さんの戯曲と演出で一緒に稽古し、近くで芝居を観られるのが嬉しい出演者の方々が揃う今回。ビビッていますが是非、劇場にお越しください。

山下リオ コメント

赤堀雅秋作品に出演できて、ようやく一端の役者になれると思っていたので、お声がけいただいた時は率直に嬉しい気持ちと、そこに踏み込む恐怖の半分半分でした。

赤堀さんの作品には、たばこみたいな人たちが出てきます。燃え尽きていく、その周りに立ち上る黒い煙が、たまに美しく見える時もあるなぁなんて。物語としてハッピーエンドでなかったとしても、私は観終えた時、どこか救われた気持ちになるんです。同時に観劇中は、あまりのリアリティに何度も圧倒されるのですが、その空気が稽古場でどうつくられるのか、自分にできるのかを、試されるような気持ちにもなっています。

座組の方々は、私にとってはレジェンドの集まりにしか見えません。尊敬する先輩方の背中をしっかり見ながら、置いてけぼりにならないよう食らいついていきたいと思います。

西本竜樹 コメント

2021年の舞台「白昼夢」で、赤堀さんの稽古場代役としてお手伝いをさせて頂き、荒川さんともご一緒させて頂きました。その後、赤堀さん演出の「蜘蛛巣城」(23年)に呼んでいただき、水やん(水澤紳吾)とはそこで初めて共演。その後も仲良くしてもらっています。松ちゃん(松浦祐也)は共演は初めてですが、水やんと一緒に東京乾電池の舞台をよく観に来てくれて、仲良くしてもらっています。

この方達と創作するということは、よくある仲良しこよしのプロデュース公演には絶対になりません。それがとても楽しみであり、緊張感も持っています。

赤堀作品の魅力は、人間のダークな部分が笑いに繋がっているところだと、個人的には思っています。加えて「震度3」という、不穏で胸騒ぎのイメージがするタイトルがつく今回。面白くなる予感しかありません! 是非、観にきて下さい!

松浦祐也 コメント

先日、内装仕事をしていた時のこと。

施主さんから菓子の差し入れをいただきました。年配の職人さんがマーブルチョコを全部出し、難しい顔をしながら黄色だけ選んで食べていました。「黄色が好きなんですか?」と訊くと、その職人さんは「黄色はバナナ味で美味いんだよ」と真面目な顔で教えてくれました。もちろんマーブルチョコは全部同じ味です。

「ああいうセリフ、なかなか書けないよなあ」と思ったのですが、帰りの電車の中で「赤堀さんなら書ける!」と思い至りました。赤堀さんは僕にとって、そんな稀有な劇作家です。

今回、赤堀さんに呼んでいただいてとても嬉しいし、荒川良々さんや水澤紳吾さんと再びやれることも楽しみです。でも、それ以上に怖い。久しぶりの演劇ですし、やっぱり赤堀さんの芝居は緊張します。とにかく懸命にやりますので、是非ご観劇下さい!

あめくみちこ コメント

前回出演させていただいた舞台「ケダモノ」では、真面目に働き、親の介護をしてきた普通のおばさんが、若い人(良々さん)に恋した挙げ句、煮詰まり、思いあまって殺してしまうという役を演じさせていただきました。

戯曲のラストシーン、その原稿を初めて読んだ時の衝撃は今でも忘れられません。

一生懸命生きようとすればするほど、世の中から外れ、はみ出してしまう。そんな人たちを遠慮なく描き切ってしまうところが、何度でも赤堀雅秋さんの芝居を観たいと思わせる、また俳優には参加したいと思わせる魅力なのだと思います。

だから今回お声がけをいただいた時も、血沸き肉躍る感覚に全身が包まれました。

まだどんなお話で、どんな役かは白紙状態。だから今の私は全身不安の固まりであり、同時に全身期待と楽しみの固まりでもあります!

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※初出時、一部コメントに誤りがありました。訂正してお詫びいたします。