THE ROB CARLTONがいたって真面目に稽古中、“壮大で些細すぎる”「ENCOUNTERS with TOO MICHI」
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THE ROB CARLTON 19F「ENCOUNTERS with TOO MICHI」稽古の様子。左からボブ・マーサム演じるジェネラル、森下亮演じるプレジデント、高阪勝之演じるセクレタリー。
6月11日に開幕するTHE ROB CARLTON 19F「ENCOUNTERS with TOO MICHI」の稽古が進行中。ステージナタリーでは京都で行われている稽古場を取材した。
「ENCOUNTERS with TOO MICHI」は、村角太洋が作・演出を手がける“異星人との遭遇というシチュエーションをもって、コミュニケーションの可能性を探るコメディ”。当初は四人芝居の予定だったが、村角ダイチが家庭の事情により降板したため、三人芝居に変更して上演される。これまでもTHE ROB CARLTONでは、平安貴族の世界や世界的ジーニアスが集まる研究室、高級ホテルのスイートルームなど壮大かつ非日常的な世界で起きる、ちょっとした勘違いや“取るに足らないやり取り”を通して、人間の滑稽さや愛おしさを描いてきた。その真骨頂ともいうべき今作では、世界の危機という最大級の問題を前にしてもなお、社会と個人の問題のはざまで、右往左往する人間たちの姿がテンポよくつづられる。
登場するのは、クロムモリブデンの森下亮演じるプレジデント、男肉 du Soleilの高阪勝之演じるセクレタリー、村角太洋ことボブ・マーサム演じるジェネラルの3人。最初はボブ・マーサムの代役(村角家三男!)が入って、村角いわく「いたって真面目なトーンで」の稽古がスタートした。
周りを海に囲まれた小さな島国の上空に、国土とほぼ同じ大きさの未確認飛行物体が現れた。世界の危機かと思われたが、未確認飛行物体はずっと静止したまま、何もしてこない。官邸の地下にあると言われるシチュエーションルーム(状況分析室)では、今後の対応について3人が議論を重ねている──と書くとシリアスに思われるかもしれないが、中身はいたってコメディ。他国の要人たちとの会議からイライラとしながら戻ったプレジデントによると、会議では「“未確認飛行物体”はもはや“未確認”でも“飛行物体”でもないから名称を変えるべきではないか」といった緊張感のない議論がなされたそうで、しかしかく言う彼らの議論の中身も、もっともらしい単語を織り交ぜつつ、内容はトンチンカンで……。
森下は、寛容さや冷静さを見せようとしつつ、時折本音をポロッと吐き出してしまうプレジデントを、どこか憎めない存在として表現。高阪は、誠実でクレバーな部下であるがゆえに、時折間違った方向性で“やりすぎて”しまうセクレタリーをシャープに演じた。彼らのテンポ良い会話の様子を見ながら、村角は演出席近くに立ったり床に座り込んだりしつつ、あるときは声を出して笑ったり、またあるときはタブレットにささっと何かを書き込んだりと、目と手を忙しく動かして俳優たちを見つめていた。
5分程度のシーンを続けたのち、村角は「プレジデントはあまり温厚な人ではなくてもいいのかもしれません。セクレタリーはそんなプレジデントの人柄をよくわかっている存在で、2人の関係にあとから加わったジェネラルは彼らと少し立場が異なります」と3人のイメージを的確に伝える。さらにいすの座り方や身体の向き、セリフの“間”について「ここはとてもいいですね」「そこはこうしてみてはどうでしょうか」とジェントルな口調で提案。その後同じシーンを繰り返すと、各登場人物の輪郭がくっきりとしただけでなく、笑いのポイントがグッと増えた。
稽古の後半では、村角も出演に回って稽古が進められた。キレのある受け答えで会話に緩急をつけていくボブ・マーサムに、森下と高阪のペースもどんどん上がっていき、ふとしたシーンにも笑いが増えていった。数シーン続けて通したところで、村角は「(“いたって真面目にやる”という)ベースがあるからこそ、それが崩れたときが面白いですね!」と満面の笑みを見せ、その日の稽古が終了した。
公演は6月11日から15日まで東京・赤坂RED/THEATER、20日から22日まで大阪・ABCホールで行われる。
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