呉美保・吉沢亮が歓喜、「ぼくが生きてる、ふたつの世界」批評家大賞で作品賞など4冠

第34回日本映画批評家大賞の授賞式が本日6月9日に東京・東京国際フォーラムで開催され、作品賞に選ばれた「ぼくが生きてる、ふたつの世界」の監督・呉美保、キャストの吉沢亮、忍足亜希子らが登壇した。

現役の映画批評家たちが、映画人に贈る賞として1991年に設立された日本映画批評家大賞。今回は2024年公開の日本映画作品の中から16賞・18組に授与された。

「ぼくが生きてる、ふたつの世界」は、耳が聞こえない両親のもとに生まれ、コーダ / CODA（Children of Deaf Adults）として育った青年の葛藤と家族の絆を描いた物語。このたび作品賞のほか、吉沢が主演男優賞、忍足が助演女優賞、田端華子が編集賞（浦岡敬一賞）を獲得した。

呉は10年前の2015年、監督作「そこのみにて光輝く」で第24回日本映画批評家大賞の監督賞、主演男優賞（綾野剛）、助演男優賞（菅田将暉）、助演女優賞（池脇千鶴）を受賞。「当時、子供がお腹にいたので陣痛で入院して。苦しみながら病院でニュースを見て、その翌日に長男を出産したという思い入れのある映画賞です」と伝え、再びの受賞への喜びをあらわに。「ずっと私生活がバタバタしていたので、もう私はこういう映画を作れないんだろうなと思っていましたが、本作で4つの賞をいただき、この場に立てているということに感謝しております」と感慨深げに語った。

授賞式では、父親役・今井彰人のサプライズ登壇も。今井は「マイノリティを映画で取り上げていただき、コーダという見えない部分を映画を通して多くの人に知っていただけました。また役者を目指す方々にも大きな影響を与えられたと思っています」と確かな手応えを口にする。吉沢は「家族がそろいましたね！」と笑顔。「現場ではお二人（忍足・今井）の手話……言葉から愛を感じました」と感謝をあふれさせ、「今井さんは現場では貫禄のある父親だったんですけど、実は僕と3歳しか違わないんです（笑）。こういう場でお会いするさわやかな今井さんにギャップを感じて、どういう感情でいればいいかわからないですけど（笑）……お世話になりました！」と言って笑い合い、撮影を通して深めた絆をうかがわせた。