京極夏彦「巷説百物語」が真山隼人により浪曲化、京極「大変光栄なこと」
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「浪曲『巷説百物語』~小豆洗いの巻~」チラシ表
「浪曲『巷説百物語』~小豆洗いの巻~」が、7月19日に東京・北とぴあ ペガサスホール、8月16日に大阪・朝日生命ホールで上演される。
京極夏彦による妖怪を描いた時代小説「巷説百物語」を浪曲化するプロジェクトが、浪曲師の真山隼人と曲師の沢村さくらにより始動した。本公演では、同小説の発端を飾る「小豆洗い」が披露されるほか、1人のデザイナーが人気作家になるまでを描く浪曲「京極夏彦物語」が同時上演される。さらに、京極と真山によるトークも行われる。
京極は「口承文芸は、コトバを繰り声音を操って聞く者の脳内に物語を生み出します。中でも節と啖呵を織り交ぜ、三味線の音に乗せて“モノ語る”浪曲は、きわめて技巧的かつ原初的な形式です。『巷説百物語』は小説ですが、“語り / 騙り”という口承文芸が積み上げてきた“技”に立ち戻ろうという試みでもありました。そんな拙作を浪曲の素材として選び取っていただきました。これは大変光栄なことと感じております」と喜びを語っている。
京極夏彦コメント
三味線の音が“りん”と聞こえる日
本邦近代小説の直接的な祖型は口承文芸だと考えています。落語や講談の文章化が言文一致運動に拍車をかけたことは疑いようがないことです。口承文芸は、コミックよりも映像作品よりも、演劇よりも小説に近しい表現形式だといってよいでしょう。
視覚情報のみで構成される小説は、言葉を選び文字を選び、文を組み立て版面を組み上げることで読む者の脳内に物語を立ち上げる仕組みです。一方、音声情報だけで創られる口承文芸は、コトバを繰り声音を操って聞く者の脳内に物語を生み出します。中でも節と啖呵を織り交ぜ、三味線の音に乗せて“モノ語る”浪曲は、きわめて技巧的かつ原初的な形式です。「巷説百物語」は小説ですが、“語り / 騙り”という口承文芸が積み上げてきた“技”に立ち戻ろうという試みでもありました。そんな拙作を浪曲の素材として選び取っていただきました。これは大変光栄なことと感じております。真山隼人さんと沢村さくらさんの文芸浪曲を、どうぞ、お楽しみください。