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ユーロスペース代表の堀越謙三が死去、日本のミニシアター文化に多大な貢献

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ナタリー

©ナタリー

ユーロスペース代表で映画プロデューサーの堀越謙三が6月19日、間質性肺炎のため死去した。80歳だった。葬儀は近親者で営んだ。後日お別れの会を開く予定。

1945年東京生まれ、早稲田大学卒業後、ドイツ留学を経て、1977年にヴィム・ヴェンダース、ヴェルナー・ヘルツォーク、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーらニュー・ジャーマン・シネマの作品群をいち早く紹介する「ドイツ新作映画祭」を開催。自主上映活動を開始した。

1982年、東京・渋谷に独自の買い付けによって興行・配給を行う映画館「ユーロスペース」を開館。レオス・カラックスやアッバス・キアロスタミ、アキ・カウリスマキ、ラース・フォン・トリアー、ツァイ・ミンリャンといった監督たちの作品を紹介する。1987年8月には、ほかの会社が配給を断念した原一男の「ゆきゆきて、神軍」をユーロスペースで公開。単館系として記録的なヒットで26週間にわたるロングランとなり、堀越およびユーロスペースの存在は1980年代から90年代にかけてのミニシアターブームを牽引した。1999年には石川・金沢にミニシアター「シネモンド」を開館している。

プロデューサーや製作としても多くの作品に関わり、石井岳龍「エンジェル・ダスト」、ウェイン・ワン「スモーク」、ダニエル・シュミット「書かれた顔」、黒沢清「大いなる幻影」、佐藤真「SELF AND OTHERS」、フランソワ・オゾン「まぼろし」、キアロスタミ「ライク・サムワン・イン・ラブ」、レオス・カラックス「アネット」などを手がけた。

映画人の育成にも尽力し、1997年にアテネ・フランセ文化センターとともに「映画技術美学講座」(現・映画美学校)を開講。2005年、東京藝術大学大学院の映像研究科を立ち上げ、13年まで同大学院の教授を務めた。両校からは現在活躍する多数の監督やスタッフが輩出している。2021年から新潟の開志専門職大学のアニメ・マンガ学部教授を務め、2023年4月には学部長に就任。同年には実行委員長を務めた「新潟国際アニメーション映画祭」が始動し、今年3回目の開催を迎えていた。

2008年にはフランスの芸術文化勲章シュヴァリエを受章。著書に「インディペンデントの栄光 ユーロスペースから世界へ」がある。