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新原泰佑が青春映画で挑戦した“青さゆえの幼さ”「自分の新たな扉が開いた」

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新原泰佑 (撮影:堺優史)

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『YOUNG&FINE』では、青臭い青春の1ページを体当たりで演じた新原泰佑。悶々とした思春期のエネルギーをどこか愛おしいキャラに演じた彼は、BL漫画を実写化したドラマ『25時、赤坂で』でも攻めた役に挑んでいた。また日曜劇場『御上先生』では、主人公の御上孝の兄・御上宏太役を演じて注目を集めたばかり。孝が中学時代に亡くなったため回想シーンや幻影で登場する難しい役に挑み、役者としてステップアップを図った。現在は舞台を控え、多忙な彼が表現力を磨くために大切にしていることを教えてくれた。

その場で生まれたものが勝彦だと思って、自然体で挑みました

『YOUNG&FINE』は、山本直樹の漫画原作を実写化した青すぎる“性春”物語。今作の映像化で『ビリーバーズ』の他、数々の城定秀夫監督作品で助監督を務め、ピンク映画を手掛けてきた小南敏也が監督、城定が脚本を担当している。今作の主人公にオーディションで抜擢されたのが、第34回読売演劇大賞で杉村春子賞を受賞した注目の若手俳優の新原泰佑だ。

「台本を読んで、湿度を感じる画と原作の匂いを残しつつもオリジナリティーあふれる脚本だと思いました。僕はこの作品がただただ好きになって、オーディションを受けたんです。灰野勝彦を見ると、恥ずかしくなったり、憤りを覚えたりする方もいると思います。結構チャレンジングな役ではあるんですが、人生の中で悶々としている勝彦を演じることによって、自分の新たな扉が開くんじゃないかという期待もありました。この役は、あまり作り込みすぎると勝彦っぽくなくなる気がして、あまり頭で考えないようにしよう、その場で生まれたものが勝彦だと思って自然体で挑みました」

演じたのは、海辺の街で暮らす高校生の灰野勝彦だ。交際中の同級生・新井玲子とは最後の一線を超えられず、悶々とした日々を送っている。そんな中、勝彦の学校に赴任してきた新米女性教師の伊沢学が勝彦の家に下宿することになり、三角関係に陥っていく。新原は、高校生のマグマのようなエネルギッシュな感じをリアルに表現していた。

「僕は勝彦のように女の子のことばかり考えているような高校生活を送っていたわけではないですけどね(笑)。ラグビー部の青春も経験したことなく、ラグビーは今作で初めてやりましたし。どちらかというと放課後に陰キャ男子たちで集まって教室でゲームをして帰るみたいな生活を送っていたので、勝彦とはかなりかけ離れてはいると思います」

自分とはかけ離れているものの、もちろん勝彦に共感できる部分はあったという。

「勝彦は、男性ならではというか、思春期の人間ならではの青臭さみたいなのを持っているんですよね。自分とは全然違う人間でも惹かれるものがあります。気持ちが分からなくはないですし、キャラクターの魅力があるので、演じていて楽しかったですね。僕が勝彦と同じ高校生の時は、ずっとダンスをやっていましたね。。さっき放課後はゲームをしていた話もしましたが、ちょっとおたく気質な性格なタイプってくらいでしょうか」

相手のことよりも自分の欲に忠実な「幼さ」を意識した

勝彦は彼女の玲子に振り回されっぱなしなところも愛らしく映る。

「勝彦が玲子に『ラグビーでワントライ決めたらいい?』って言うシーンがあるんです。基本的に物事をしっかり言える人間ですけど、大事なところで『何でもいいか』ってあきらめてしまうようなところがある、可愛らしいところをもったキャラクターだと思いました。欲望に忠実な部分がありながら、気になっていることに見ないフリもできるような、ちょっとアンバランスさを合わせ持った感じは羨ましいですね」

玲子の一言で爆発的に部活のラグビーの試合にやる気が出すような単純さが面白い魅力を放つキャラクター。全力でまっすぐな勝彦を学校の校庭で行ったラグビーの試合のシーンでも体現した。

「玲子にある一言を言われて、勝彦がやる気を出すシーンは単純だなと笑いました。そこはホントに面白いところだと思います。ラグビーは、出演者のマネージャーさんが経験者だったので、タックルされたりしつつ、いろいろ教わったんです。そのマネージャーさんのタックルを受けてみたら、すごく包容力のあるタックルで優しかったんですけど、ラグビーのシーンのタックルは結構ハードでしたね。

ラグビー経験している方もエキストラさんの中にいらっしゃいましたし、ラグビー部員のキャストの皆様も本当にパッションある方ばかりで体当たりで撮影に挑まれていて青春そのもの。撮影の合間に兄貴役の高橋健介さんが差し入れでアイスを買ってきて、外でみんなで一緒に食べたりして本当の部活の仲間のように過ごした日々は楽しかったです」

新原は、「青さ故の幼さを胸にこの役を生きた」という。青春真っ只中の季節は遠い昔ではない彼が意識した幼さとは?

「相手のことをよりも自分の欲に忠実な感じを意識して演じましたね。大人からするとそれが可愛らしく映るかもしれないですけど、ちょっぴり愚かさもありつつという部分を丁寧に観ている方に伝わるようにしたいなと思いました。若さ故の言動はやったことなくても、その年齢を通り過ぎた方も多分、皆さん想像できるし、共感できるものだと思います」

楽しかった海辺でのキャンプシーン

勝彦と彼女の関係をかき乱すのは、酒飲みでがさつな高校教師の伊沢だ。

「先生が酒飲みで、なかなかぶっ飛んでいるので、今なら大問題ですけど、1990年代に『漫画アクション』で連載されていた作品。当時の時代感みたいなものは消さないでそのままなのが面白いですよね。先生役の向里祐香さんは、奇麗な方なのに髪をボサボサに振り乱して、ちょっとだらしがない先生をナチュラルに演じられていました。普段のご本人とはかけ離れたガサツぶりに衝撃を受けましたね。女優さんってすごいなって改めて思ったくらいです(笑)」

物語はキラキラと水面が輝く海辺の街が舞台。その美しい景色と官能的なシーンが混在していて、そのコントラストが面白いポイントになっている。

「すごく爽やかでオープンな空間なんですけど、登場人物たちにとっては、あの街は地元で当たり前にある風景なので、別に何も感じないんだと思うんですよね。あんなキレイな海辺の街だけど、もはや日常的なもの。自分たちの庭のような空間で、そこから出られない勝彦がいて。自分たちの地元であり、我が家みたいな空間では、何でもできてしまうみたいなところはあるかもしれませんね。

もちろん海辺の街というロケーションは、この作品で大切なポイントで、本当にいいロケ地だと思いました。撮影した勝彦の家も実際にお住まいになられている方がいらっしゃる家だったんですよね。近くのバス停など、ロケ現場のすべての場所が勝彦の家から3分くらいで移動できる近距離ばかり。移動もスピーディーでめちゃくちゃ便利で、あのロケーションを見つけてくださった方とお家を貸してくれた皆さんに感謝です」

とくにお気に入りのシーンを尋ねると、キャンプのシーンと即答。海辺で伊沢と焚き火をしながら、開放的になるシーンを上げた、その理由とは?

「海辺でキャンプするシーンは、撮影もすごく楽しかったです。毒々しい赤いしいたけが登場するんですが、あれは美術さんが頑張って染めた、こだわりのしいたけなんです(笑)。見た目は、絶対に不味いでしょ、こんなの鍋に普通は絶対に入れないよねっていうくらい怖い赤色なのが面白い。撮影の前になんで『このしいたけを鍋に入れるんだろう』って一瞬、冷静になってしまうくらいのインパクトあるきのこでしたが、暗めのシーンだったので、あんまり映ってなかったっていう……(笑)。

あのシーンってすごく不思議で奇妙な空間だと思うんですけど、あのシーンがあることによって、勝彦自身も自分の本心と向き合えたんだと思った場面です。この物語の核になりそうな出来事がいっぱい詰まっているので注目ですね。勝彦が酔っぱらって、服を脱ぎ始めるシーンから蛇に噛まれたと思ったら起きて、『これは夢だ』ってお兄ちゃんが現れるという、ものすごく不思議なシーンなんですが、勝彦が成長するひとつのきっかけになるので、僕はすごく印象に残りました」

文化祭ガチ勢だった青春時代

キャンプのシーンは夢か現実か分からない世界だ。

「勝彦がキャンプの最中に服を脱いでくシーンで、叫んでいる言葉は、アドリブなんですよ。地べたに寝っ転がりながら、暴れつつ自由に脱いでいくシーンだったので、何回もできなくて大変でした。僕も『え、待って、どっちの足から靴を脱いでたっけ?』とか、もうわけ分かんなくなっちゃって、好き勝手やったことを後悔しましたもん(笑)」

そんな自由に演じられた勝彦を生きた現場は、新原にとってどんなものになったのだろうか。

「監督とは本当にたくさん話し合いましたし、共感者の皆さんには本当にたくさん助けられました。スタッフさんの車に乗せてってもらって、コンビニでお菓子を大量に買い込んで、『差し入れです』って現場に持っていって、みんなでお菓子パーティーをしたのもいい思い出です」

2018年に日本一のイケメン高校生を決める「男子高生ミスターコン2018」の全国ファイナル審査でグランプリを受賞したこともある新原。今作で青い青春をやり直した新原自身の高校生時代は、どんな青春の思い出があるのか、気になるところだ。

「僕は小さい頃から行事ごとが好きで。文化祭ガチ勢だったんですよ。皆で何か作ったりするのがすごく好きだったので、文化祭は気合い入ってましたね。クラスでお化け屋敷の出し物をやった時は、オバケとかいろいろ作ったんです。夏休みなのに毎日のように学校へ行ってました。まぁ、毎日作業していたのは、基本的には僕1人だったかもなので青春ではないのかな?誰もいなくても一生懸命やってました。『やらないと全然作業が終わらないから』ってなぜか自主的にやってましたからね。

没頭すると、自分でスケジュール組んで、全部1人ででもやりたくなっちゃうタイプです。そのお化け屋敷の時は、企画から何から全部に携わりました。皆さんの衣装からお化け屋敷の動線決めとか、いろいろ細かいところまで決めました。物理の先生に壁の作り方を聞いて、手作りの柱をどうやって立てたら倒れないかを聞いたり。担任の数学の先生もいろいろ一緒に考えてくれたり。楽しかったなぁ。いろいろ考えて面白いことを形にすることが好きなのは、今の俳優のお仕事に活かされていると思います」

ドラマ、映画、舞台と様々なジャンルで活躍する新原が表現力を磨くために大切にしているのは、インプットする時間だ。

「最近は、ちょっと空き時間があれば、インプットする時間を大切にしています。美術館に行くのも好きなんです。……そう話して、ずっと行きたいと思っていた展示がもう終わってしまうことを今、思い出しました。最近は、知り合いの俳優さんたちが『〇〇展に行ってきました』ってインスタにあげているのを見かけるんですよね。僕は天邪鬼なので、皆が行っているようなメジャーなのはちょっと行きたくない気持ちもあって。誰も知らなさそうなニッチな催し物に行きたいです(笑)。

この間は、寺山修司展に行きましたし、新国立のオペラシティにある美術館に友達と観て来ました。いろんな演劇を観劇したり、映画を見たりとか、インプットできるような家から出る時間を増やそうと思っているところ。家にこもりすぎていることもあって、家から出る時間を増やしています。それにこの映画が公開する初夏は、舞台があって、アウトプットする日々が始まりますからね。それまでにいろいろ蓄えて、舞台では出し惜しみせずに行きたいです。このYOUNG&FINEもそうですけど、作品を通して、自分の持てる限りのアウトプットをするっていうのが僕の仕事ではあるので。表現力を磨くためにインプットは欠かさないようにしたいです」

取材・文:福田恵子 撮影:堺優史
ヘアメイク:青山佑綺子
スタイリング:秋山貴紀

衣装協力: カーディガン(ギャルリー・ヴィー)¥59,400/ギャルリー・ヴィー 丸の内
シャツ(キクス ドキュメント.)¥28,600/HEMT PR
パンツ(イレニサ)¥47,300/イレニサ
靴(ラッド ミュージシャン)¥41,800/ラッド ミュージシャン 原宿

『問い合わせ先』
・イレニサ https://irenisa.com/(電話番号非掲載)
・ギャルリー・ヴィー TEL 03-5224-8677
・ラッド ミュージシャン 原宿 TEL 03-3470-6760
・HEMT PR TEL 03-6721-0882

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※当選後、お送り先メールアドレスについてご連絡頂ける方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。

<作品情報>
『YOUNG&FINE』

6月27日(金) より新宿武蔵野館他 全国順次公開

公式サイト:
https://www.leonefordreams.com/young-and-fine

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