10.7以降のパレスチナを日本人ジャーナリストが撮影「壁の外側と内側」8月公開
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「壁の外側と内側」チラシビジュアル
中東ジャーナリストの川上泰徳がパレスチナ・イスラエルを取材し製作した映画「壁の外側と内側」が、8月30日より東京・ユーロスペースほか全国で順次公開される。
2023年10月7日、イスラエルに“壁(分離壁)”で封鎖されたパレスチナ・ガザ地区からイスラム組織ハマスが越境攻撃を行い、イスラエル軍が報復した。死者は5万人を超え、そのうち1万8千人以上が子供という惨状に。停戦する様子が見えない中、その数は増え続けている。
外国人ジャーナリストがガザに入ることが困難な中、川上は2024年7月にヨルダン川西岸地区に入り、ベツレヘムからヘブロンへ。第97回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞した「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」で映されたパレスチナ人居住地区マサーフェル・ヤッタにも向かい、イスラエル軍による攻撃・破壊やユダヤ人入植者の暴力の激化を目の当たりにする。一方、イスラエル側では国民の多くが“壁”の外側の惨状に目を向けない中、兵役を拒否する3人の若者の姿があった。
本作は“壁”の外と内の現状を見つめ、現地の人々の日常からイスラエルとパレスチナの戦争の背景を見出すもの。川上は「30年、ジャーナリストとして中東を見てきた私にとっても異常な事態でした。何が起こっているのかを知るために、パレスチナとイスラエルを一か月かけて歩きました」と振り返り、「メモ帳を携帯カメラに持ち替えて、取材のすべて記録し、私が出会った光景、出会った人々、予想もしない展開、そして見えてきたことを、皆さんにも体験していただき、共に考えたいと思って初めての映画をつくりました」と製作経緯を語った。
YouTubeでは予告編が公開中。配給はきろくびとが担う。
川上泰徳 コメント
ハマスによる越境攻撃と、その後のイスラエルによるガザの破壊と大量殺戮。30年、ジャーナリストとして中東を見てきた私にとっても異常な事態でした。何が起こっているのかを知るために、パレスチナとイスラエルを一か月かけて歩きました。ガザは封鎖され、入ることは出来ませんでしたが、イスラエルが建設している「壁(分離壁)の外側」のヨルダン川西岸のパレスチナでは、人々の生活を破壊し、排除するイスラエル軍の占領の実態を見て、人々の訴えを聞きました。一方で、イスラエル国民は自分たちの軍隊による壁の向こうでの加害を知らない、という「壁の内側」の実態も。メモ帳を携帯カメラに持ち替えて、取材のすべて記録し、私が出会った光景、出会った人々、予想もしない展開、そして見えてきたことを、皆さんにも体験していただき、共に考えたいと思って初めての映画をつくりました。
©Kawakami Yasunori