「愛されなくても別に」南沙良、毒親に傷付く若者演じるも「救いがある物語」

映画「愛されなくても別に」の公開記念舞台挨拶が、本日7月5日に東京・新宿ピカデリーで行われ、キャストの南沙良、馬場ふみか、本田望結、基俊介（IMP.）、監督の井樫彩が登壇した。

「響け！ユーフォニアム」で知られる武田綾乃の同名小説を映画化した本作は、毒親のもとで生まれ育ち、人生を奪われてきた大学生たちの姿を描く“青春逃走劇”。浪費家の母親から経済的虐待を受ける宮田陽彩を演じた南は「原作を読んだとき、悲壮感がなくて。登場人物は重たいものを抱えているんですが、その先に救いがある物語で、意外とポップな感じがしました」と振り返る。

過酷な家庭で育った雅を演じた馬場は「ドライで冷たそうに見えるけど、実は優しさや愛がたくさんあるところがかわいい」と役についてコメント。過干渉の母親から逃れるため、宗教にのめり込む水宝石（あくあ）を演じた本田は「監督から『家族や愛に（悩んでいる）イメージがない人にこそ演じてほしい』と言われ、それなら私がやらせていただく意味があるのかなと思いました。これだけ本田望結を封印した役は初めて」と明かした。

そんな本田に対して、なぜかクスクス笑いが止まらない南。「1年間くらい、ずっと聞きたかったことがあるんですよ。撮影当時、私がハマっていたゲームを入れてくださったんです。友達の島にも遊びに行けるゲームなんですけど、本田さんのペットの名前が『沙良』で。どういうこと？って。でも私の『沙良』じゃないかもしれないし……」と疑問をぶつけると、本田は「沙良さんに教えていただいたゲームだから」と名前の由来を正直に答える。本田の律儀な行動に、南は「ヤバいですね！」と興奮気味の様子。馬場は「そんなやり取りがあったなんて」と2人の仲良しぶりをほほえましく見守った。

一方、コンビニの店員・堀口を演じた基は「撮影日数が短くて、ほとんど皆さんと話せてないんです」と話しつつ、「実は今日びっくりしたことがあって。控え室にいたら『どうもー！』という声がして。IMP.の影山拓也と松井奏が、白Tとデニムに野球帽という双子コーデでカメラを回しながら入ってきたんです。一瞬、迷惑系YouTuberかなと思いましたけど……わざわざ朝早くに準備して来てくれて、メンバーってすごくいいなと思いました」と述懐。その様子を見ていた井樫が「ほほえましい光景でした」と言うと、基は「本当はたぶん監督に挨拶するのが目的だったと思うんで。僕のほうにはヘラヘラして、監督の前では丁寧に頭を下げていましたから」と冗談めかして会場を沸かせた。

最後に南は「陽彩みたいな環境に置かれている方もいらっしゃると思うし、生きづらさを抱えている方に寄り添えるような映画になっています。たくさん観ていただけたらうれしいです」と改めてメッセージを呼びかける。井樫も「“毒親”という重いワードから始まるけれど、自分の人生を確かに生きていこうとする、力強い2人の物語になっています。観た方の心に何かが残れば」と言葉に力を込めた。

「愛されなくても別に」は全国で上映中。

©︎武田綾乃／講談社 ©︎2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会